米系商業不動産サービス会社CBREが、2020年のカンボジアの不動産部門についての見解を発表した。カンボジアの経済は急速に成長しており、2020年も概ね好調に推移すると見られているが、堅調を維持するためには課題への調整も必要になるという。

2019年のカンボジアは、継続的な建設ブームやカンボジアへの投資先としての関心の高まりなどを受け、7.1%のGDP成長率を記録した。(CBRE見積もり)

昨年、カンボジアでは4,446件のプロジェクトで総額93億ドル(約1兆140億円)の投資が行われた。ベトナム・ホーチミン市で下りた建築承認は3件のみであったのに対し、プノンペンでは405件の承認が下りている。

コンドミニアムについては27件16,500ユニットのプロジェクトが立ち上げられ、11件3,800ユニットが完成している(2019年第4四半期の時点)。現時点のコンドミニアムの内訳としては、高級物件が23%、中級物件が53%、手頃な価格の物件が24%となっている。2020年については、高級物件が24%、中級物件が46%、手頃な価格の物件が30%の割合になると見られている。手頃な価格の物件の割合が増えるのは、カンボジア国民の健全な需要によるものである。

今後発売される予定のコンドミニアムプロジェクトについては、スケジュール通りに進めば、すべての区分で価格は下がると予想されている。

近隣諸国の例にもれず、カンボジアは魅力的な投資先として注目を集めている。例えばベトナム・ホーチミン市の地価は、1㎡当たり30,000ドル(約327万円)に値上がりしているが、プノンペンのダウンペン地区の地価は1㎡当たり6,000ドル(約65万円)と手頃な価格に収まっている。

カンボジアの経済については2020年も堅調に推移すると見られているが、課題がないわけではない。ポイントとなるのは、EBA(Everything But Arms:武器以外の全品目に関する無関税)政策の撤廃と不動産物件の供給過剰である。

EUとカンボジア間におけるEBAについては、EU側が見直しの検討を行っているが、撤廃されればカンボジア経済に少なからず影響を与えることは間違いない。不動産部門にも波及的に影響が及ぶとも見られえているが、具体的にどの程度どのような形で影響が現れるかはわからないという。

不動産物件の供給過剰については、供給が増えることで価格上昇が続くことは考えいくい。ベトナムでは、政府が不動産の外国人所有に関する規制緩和を行ったところ、不動産市場が低迷したという例がある。カンボジアの不動産部門でも同じ状況が起こり得る可能性がある。

新しい開発の時代に入るカンボジア。カンボジアの強みを理解し、課題に的確に対処できるかどうかが、投資家やデベロッパーにとっての今後の成功のカギとなるだろう。

【参照】CBRE Cambodia fearless forecast 2020: winners and losers

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セカイプロパティ編集部
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