公務員の方のなかには、自身の将来に向けて不動産投資を始めてみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、公務員は副業が禁止されていることから、不動産投資を始める際には注意が必要です。

今回の記事では、公務員における副業行為と不動産投資の関係性や、不動産投資に関する規定を紹介します。また、公務員の方が不動産投資で失敗しないように、対策方法をまとめているので参考にしてみてください。

公務員による不動産投資は副業に該当しない

公務員は、憲法第15条2項に「すべて公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と記載されているように、副業行為が禁止となっています。しかし、不動産投資を含む資産運用は例外であり、公務員でも不動産投資を行うことが可能です。

公務員の不動産投資に関する副業の条件

公務員が不動産投資を行うことは可能であるものの、条件が定められている点に注意が必要です。人事院規則14-8の記載事項(※1)をもとに、公務員による不動産投資に関する副業の条件を紹介します。

不動産投資の規模が5棟10室未満

不動産投資の規模について、「5棟10室未満」に抑える必要があります。人事院規則14-8によると、「独立家屋(戸建)5棟以上」、「マンションやアパートなど区分所有10室以上」の不動産投資を行っている場合、副業として見なされてしまいます。また、独自の制限を設けている自治体もあるので、どの程度まで不動産を運用して大丈夫なのかを確認しましょう。

家賃収入が年500万円未満

次に、不動産投資による家賃収入が年間500万円未満であることです。人事院規則14-8に、「不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上」であると記載されており、年500万円以上の家賃収入を得ている場合、副業と見なされます。つまり、約41万円(500万円÷12ヶ月)が、公務員による不動産投資が認められる月額家賃収入の範囲となります。

管理会社に業務委託していること

最後に、不動産の管理業務を外部に委託していることです。人事院規則14-8には、「入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること」との記載があります。不動産の管理業務を自ら行っている場合、副業と判断されるため注意が必要です。

公務員が不動産投資を行うメリット

一般のサラリーマンと異なり制限が設けられている公務員ですが、不動産投資にどのようなメリットがあるのでしょうか。公務員が不動産投資を行うことによるメリットを紹介します。

社会的に信用力が高く融資を受けやすい

1つ目のメリットは、公務員は比較的融資を受けやすいことです。通常、不動産投資を始める場合、金融機関で不動産投資専用のローンを組むこととなります。もちろん、民間企業に勤めている会社員の方でもローンを組むことは可能ですが、収入によっては審査に通らない可能性があります。

一方で、公務員は、社会的に信用力を得ているほか、給与も安定しているので、不動産投資用ローンの審査も通過しやすいと言われています。不動産投資でネックとなる資金調達のハードルが低く、自己資金が少ない状態でも不動産投資を始められるのがメリットです。ただし、海外不動産の購入に関しては、不動産投資用ローンの借り入れが難しい点に注意が必要です。

不動産投資に関する時間や手間が取られない

2つ目は、不動産投資業務の時間や手間が取られないことです。公務員の不動産投資に関する条件でも解説したとおり、不動産管理業務を外部に委託しなければなりません。

一見デメリットにも感じられますが、管理業務を外部に委託せざるを得ないため、本業に支障が出ないように不動産投資を行えます。委託料を支払う必要がありますが、代わりに本業に集中できる環境を用意できます。

公務員が不動産投資を始める際の注意点

公務員でも副業として不動産投資を始められる一方で、いくつか注意するべき点があります。不動産投資の注意点を踏まえたうえで、取り組むようにしましょう。

副業規定を超えた場合に許可を取る必要がある

公務員は、人事院規則14-8に記載されている不動産投資の規模を遵守しなければなりません。不動産投資を行っているなかで、規模が超えそうになった場合は事前に許可を取る必要があります。

仮に許可を得ないまま運用すると、副業行為であると見なされ、罰則を受ける可能性が出てきます。公務員の方は、そもそも規則で定められている規模を超えないように運用すること、もし規模を超えそうな場合はすぐに許可を得るようにしましょう。

不動産事業を法人化する際に役員になれない

不動産投資を行っているなかで、自身の不動産投資を法人化する際に役員になることができません。これは、国家公務員法の第103条、地方公務員法第38条1項において、公務員が自ら営利企業を営んではならないとの記載があるためです。

また、家族名義で法人化した場合でも、実質的に公務員本人が不動産事業を行っていると見なされると、罰則を受ける可能性があります。金融機関からの融資にも影響が出る恐れがあるので、不動産事業の法人化は慎重に判断しましょう。

職場や同僚に不動産投資がバレることがある

公務員の不動産投資は副業に該当しないので罰則を受けることはありませんが、職場や同僚に不動産投資を行っていることがバレる可能性があります。勤務先に不動産投資を行っていることがバレる理由は、住民税の天引きです。

基本的に、不動産投資で発生した所得に対する住民税は、公務員・サラリーマンに関係なく、給与から天引きされます。このとき、通常の給与における住民税よりも高い場合、不自然に思われてしまいます。勤務先全体にバレるリスクは低いものの、事前に報告をしておかないと事情を聞かれることも考えられます。

高額物件の勧誘やカモとして狙われる

公務員は社会的な信用力を持っているほか、給与も安定しているため、悪質な不動産仲介会社からカモとして狙われやすいです。相場よりも高額な物件を勧誘してくる業者も存在するので、営業マンのセールストークを鵜呑みにしないように注意が必要です。

公務員が失敗なく不動産投資を行う方法

公務員による不動産投資は、副業規定を逸脱しないように十分に気をつける必要があります。不動産投資を失敗なく行うためにも、1つ1つ注意しましょう。

本や専門家を介して不動産投資の知識を学ぶ

不動産投資を始める以上、公務員であっても不動産投資に関する知識を学ばなければなりません。公務員の副業規定はもちろんのこと、不動産投資の仕組み、不動産投資で儲ける方法など、不動産投資全般の勉強が必要です。

また、本業が忙しく、なかなか時間が取れない場合でも、不動産投資の専門家に相談してみることも大切です。本やインターネットを介して基礎を固めつつ、専門家に相談をしながら、自身の運用目的に適した不動産を見つけるようにしましょう。

確定申告を忘れずに行うようにする

公務員であっても、不動産投資の所得が発生した際には確定申告が必要です。公務員だけでなく、サラリーマンも本業との給与とは別に、20万円以上の利益がある方は確定申告が義務付けられています。時間を取られる作業ではあるものの、毎年忘れずに行いましょう。

賃貸需要や売却による利益を狙えるエリアを探す

不動産投資で儲けるためには、利回りが高いエリアや、不動産価格が上昇しやすいエリアを探していきます。一般的に、利回りや不動産価格は、経済状況との関連性が高く、新興国を含む海外の不動産にも注目をしてみてください。

たとえば、東南アジアの不動産における利回りは、以下のように世界的に高い数値が出ています(※2)。東京23区内の不動産表面利回り相場(区分マンション)は、2021年1月〜3月時点で築年数10年未満が4.40%、築年数10年〜20年未満で4.88%(※3)であることから、東南アジア不動産の利回りは高い数値と考えられます。

ただし、海外不動産の購入は、不動産投資用のローンを組むことが難しい点に注意が必要です。

国名利回り
フィリピン
6.13%
カンボジア
5.33%
タイ
5.13%
マレーシア
3.72%

信頼性が高い不動産仲介会社を選定する

最後に、信頼性が高い不動産仲介会社を選定しましょう。具体的には、「顧客と同じ目線で相談をしてもらえるか」、「予算に合った不動産を紹介してくれるか」、「メリットだけでなく、デメリットも包み隠さず教えてもらえるか」といったポイントを意識してみてください。

まとめ

副業が禁止されている公務員でも、不動産投資を始めることができます。ただし、不動産投資を始めるにあたって不動産投資に関する規則を遵守するほか、知識を身につけること、確定申告を忘れずに行いましょう。

また、海外不動産の購入を検討している方は、現地法人を設置しているかも重要な選定基準となります。当社では、マレーシアとカンボジアに現地法人を設置し、お客様に最新の不動産投資情報をお伝えできます。東南アジアの不動産投資にご興味がある方は、この機会にぜひお問い合わせください。

※1:人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について

※2:GlobalPropertyGuide「Rental Yields in Asia

※3: 健美家「築年別 利回りの推移