温暖な気候が特徴のタイは、世界各地から旅行者が訪れる観光大国です。2024年の外務省の調べでは在留邦人数が7万人を超えており、アメリカ、中国、オーストラリア、カナダに次いで5番目に日本人の滞在者が多い国でもあります。

コンドミニアムやショッピングモールといった不動産建設も続々と進んでおり、投資用に物件を購入する方も少なくありません。

本記事では、外国人がタイ不動産を購入する方法と手順を解説します。また、タイの不動産購入時の注意点や価格相場もご紹介します。

タイ不動産購入の流れ

タイの不動産の購入に興味があるけれど、具体的にどのような購入手続きが必要なのかわからない方も多くいます。

ここでは、タイの不動産購入の流れを8つのステップに分けて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

①信頼できるエージェントを選ぶ

最初に、タイ不動産の購入にあたって、信頼できるエージェント探しから始まります。タイの不動産情報を検索すると、多くのエージェントが現地不動産を取り扱っています。日本に拠点を置く企業から、現地企業まで様々で、取り扱っている物件やエリアが異なることもあります。

ただし、扱う商品が「タイ」のものである以上、現地の商習慣が日本とは大きく異なるという点に気をつけなければなりません。タイの物件だからという理由で、タイ現地のエージェントから返答に時間がかかったり、日本の不動産ほどの詳細な情報が明示されなかったりという事例もあります。

日本のエージェントか現地のエージェントのどちらを通して手続きを進めるかを迷われた際には、日本のエージェントをおすすめします。

現地のエージェントは海外現地の情報に精通しており、紹介できる物件数も多いというメリットがありますが、不動産投資においては事前の調査やコミュニケーションが重要であり、現地エージェントとのやり取りには不安を感じるかもしれません。

日本のエージェントの中でも現地オフィスがあったり、過去の取扱実績が豊富な会社であれば、現地の情報も多く持っており、スムーズなやり取りが可能になります。

②購入物件の選定

エージェントを無事に選んだ後、購入物件の選定に移ります。選定の際に注意すべきポイントは2点で、1つは「新築か中古物件か」、もう1つは「居住・賃貸用どちらなのか」です。

物件には、新築物件と中古物件(リセール)の2タイプが存在します。

タイでの新築物件は、竣工前に売り出しを始めるプレビルド物件の販売が一般的です。売り出し開始の時期は注目度が非常に高く、人気物件のリリース日には多くの購入希望者がギャラリーに押し寄せます。最もユニットの選択肢が多いのもプレビルド物件です。

一方で、完成まで2〜3年かかることもあり、購入時には実際に買うユニットを見ることが出来なかったり、何らかの事情で建築が中止になったりするリスクに注意しなければなりません。

なお、中古物件は、条件によりプレビルド物件に比べて割安で購入できる可能性があります。すでに完成している物件であることから、即入居、即賃貸付けが可能で、購入すればすぐに物件を活用できます。

また、「プレビルド物件の購入者が竣工の直前にリセールに出す」というケースもあり、まもなく完成する未登記の物件を購入することも可能です。物件とは常にタイミングと巡り合わせですが、メリット・デメリットをよく理解したうえで検討する必要があります。

もう1つ購入前に決めておくべきことは、物件を居住用か賃貸用のどちらを目的として購入するかです。

居住目的の購入であれば、自分自身の気に入る立地、間取り、デザインで選んで問題ないでしょう。ご自身の行動エリアまでの移動が苦でなければ、交通機関からの距離などはあまり考えなくてもよいかもしれません。

ただし、自分では住まないけれど、賃貸として投資用に物件を購入したいとなると、購入する物件も変わってきます。

交通アクセスが悪ければ、居住対象は自家用車を持っている人に限られるほか、間取りによっても居住世帯のターゲットを変えなければなりません。

購入希望物件の位置するエリアには、どんな人が多く住んでいるか、賃貸の需要はあるかどうかも、現地情報に詳しいエージェントから情報を集めることが重要です。

③現地視察

購入物件の選定が終わったあとは、現地視察に移ります。

とくに、バンコクでは、コンドミニアムの建設ラッシュが進んでいるため、図面だけでは読み取れない周囲の環境なども含めて確かめる必要があります。

多くの新築コンドミニアムの場合、予定地にセールスギャラリーを併設し、実際の内装や設備にも触れることが出来るので、イメージを掴みやすいです。現地の風を感じて、自分の目で見て確かめてから購入へと進みましょう。

不動産購入の際に気をつけるべきポイントとしては、グロス面積とネット面積があります。

購入を希望する物件の広さについて、グロス面積がトイレや廊下などのスペースを含んだ全体の面積であるのに対し、ネット面積は実際に使用できる部分の面積を示します。

購入を検討する際にはどちらの面積で物件が紹介されているのかを確かめることが大切ですが、実際に現地で内覧することが最もおすすめです。

現地視察をしないでタイ不動産を購入することも可能ですが、過去にタイへの渡航歴がない方や、タイの土地に詳しくない場合には、現地視察を推奨します。

④予約金支払い

購入物件の選定を終えたら、予約金を支払います。通常、予約フォームへの記入と、予約金の納入が同時に必要です。

予約金は、条件やオーナーによって異なり、不動産購入価格の1%であるケースが多いです。支払い方法は、現金、または、一部のセールスギャラリーではクレジットカード決済に対応している場合があります。

いずれにしても、予約金を支払う際は、タイバーツの準備をしておくと安心です。

また、人気の不動産は、在庫の変動も激しく、気に入った物件が見つかったとすれば、早めに予約することを推奨します。予約金が返金不可の場合もありますので、慎重に進めるようにしましょう。

⑤購入の契約手続き

不動産購入の予約が完了すると、残金の支払いと、契約書の交付・署名の手続きへと進みます。タイ語の契約書に英訳がついている場合もありますが、英語が苦手な方は、エージェントと共に内容をしっかり確認しましょう。

この段階で、エージェントへのコンサルティング料金の支払いも発生します。

⑥頭金と残金の支払い

頭金と残金の支払い手続きは、購入物件が新築か中古かどうかで異なります。

新築の場合、売買契約と同時に、頭金を支払います。購入予約を済ませてから2週間〜1ヶ月以内に売買契約を交わし、物件価格の10〜20%の頭金を支払うのがタイ不動産購入の通例です。

このとき、支払いはタイ国外から、バーツ以外の外貨建て送金をする必要があります。そして、送金の目的を「コンドミニアム購入のため」と記入します。外貨送金証明書は、外国人がコンドミニアムを購入する際に重要な証明書です。

頭金の支払いが済んだあとは、建設状況の進捗とともに、残りの費用を支払います。完成間近になると、残金(全体の60〜80%)を送金します。同時に、修繕積立金、共益費、水道や電気のメーター費など、細かい費用をまとめて支払うよう求められることもあります。

中古の場合は、予約金もしくは手付金という形で10〜20%程を先に支払います。その後契約が完了すると、期日までに残金を払い込みます。

中古物件だと、支払いに関してはとてもシンプルですが、すぐに登記の移転手続きへと段階が進むので、早急な資金の準備が必要です。

⑦引き渡し

引き渡しの前に「インスペクション」と呼ばれる立ち入り検査が行われます。引き渡し時に注意しておきたいのが、タイの物件では、竣工後にさまざまなトラブルが発生する可能性があることです。

具体的には、水道や排水設備の異常、害虫の発生といったトラブルも少なくありません。この段階でしっかりと確認をし、必要であればデベロッパーに修繕を依頼してください。インスペクションが完了し、物件に住めるようになるまでに、2〜3ヶ月を見積もっておくと安心です。

⑧登記移転

登記移転の際に、土地局に支払う登記費用が発生しますが、新築と中古の場合で多少異なります。
まず、登記費用は購入価格もしくは評価額の約2%です。新築の場合は、デベロッパーと買主で登記費用を折半するのが一般的です。
中古物件の場合は、交渉次第で支払い条件が変わります。物件の売主側が負担してくれるケースもありますので、事前に確認しておきましょう。
登記の際に、売買の契約書、今までの外貨での支払いを証明する外貨送金証明書が必要となることだけ留意してください。

タイ不動産購入時の規制事項と注意点

タイ不動産の購入前に、外国人がタイ不動産を購入する際の規制事項を確認しておきましょう。主に、以下の3つの注意事項に気をつける必要があります。

外国人がタイ国内の土地を購入するのは法律違反

タイ国籍を持っていない外国人が、タイ国内の土地を購入することは法律で禁止されています。また、タイ国籍を持つ人の名義を使って、土地を購入することも法律違反です。

ただし、BOI(タイ投資委員会)に認定された企業や、タイ工業団地公社(IEAT)認定の工業団地に立地する企業であれば、外資比率に関係なく土地の取得が可能です。

1999年5月に改正した土地法によると、4,000万バーツ以上(約1億5,000万円)の投資条件を満たした場合のみ、居住用に1ライ(1,600平方メートル)以下の土地を取得が可能であるとされています。

コンドミニアム法による保有制限

外国人によるコンドミニアムの購入は可能です。しかし、コンドミニアム法で保有制限が設けられており、一棟のコンドミニアムのユニットの総床面積あたり49%としています。

タイのコンドミニアム購入を検討する際には、現在の外国人保有比率を確認しておくことをおすすめします。制限割合に近い場合は希望するコンドミニアムの購入ができない可能性があるほか、物件保有時にも好きなタイミングでの売却ができないといったトラブルに直面するかもしれません。

不動産購入時に資金源証明が必要

タイ国内の不動産を購入する際には、資金源証明が必要です。資金源を証明するためには、次の手順を進めます。

1. 物件の購入価格を上回る「外貨」を海外の口座からタイの口座へと送金する

2. 送金した先の銀行で「外貨送金証明書」を取得する

3.「外貨送金証明書」を土地局で証明する

「外貨送金証明書」は、タイ国内に5万米ドル(日本円で約750万円)以上の外貨を持ち込む、または送金する際に発行される書類です。こちらの証明書も忘れずに申請するよう気をつけましょう。

タイ不動産購入でおすすめのエリアと価格相場

観光大国のタイでは、首都バンコクだけでなく、北部のチェンマイや、リゾート地のプーケット、パタヤといったエリアでも不動産投資が行われています。タイ国内で不動産の購入を検討している方向けに、おすすめのエリアや、不動産価格の相場(平米単価)を紹介します。

(※)情報は全て2024年12月時点

エリア市内中心部相場(㎡)郊外相場(㎡)
バンコク約90万円約40万円
チェンマイ約30万円約15万円
プーケット約65万円約45万円
パタヤ約40万円約25万円

【出典】Numbeo|Cost of Living

このようにエリアによって平米単価が大きく異なっています。本記事ではこの中でも特に人気の高いエリアであるバンコクとチェンマイについて詳しく説明します。

バンコク

バンコク市内で不動産投資を行うのであれば、「外国人が多く住むエリア」や、オフィスや商業施設が集まる「CBD(Central Business District)」を中心にコンドミニアムを探すのがおすすめです。バンコク市内中心部の不動産価格の相場(平米単価)は、約90万円です。

スクンビット

スクンビットは、バンコクの中心に位置するスクンビット通り周辺のエリアです。BTS(スカイトレイン)と平行に続く通り全体を指し、ショッピングモールや多種多様の飲食店などが立ち並んでいます。日本人を含む外国人居住者が多いエリアで、不動産価格も比較的高めです。

プロンポン、トンロー、エカマイ

プロンポン、トンロー、エカマイは、スクンビット通りを南方向に進んだエリアです。日本人駐在員に人気のエリアで、日系の飲食店や日本語に対応した病院などが立ち並び、地元では「日本人街」と言われています。BTS「プロンポン駅」周辺には、現地の日本人や富裕層をターゲットにした「エンポリアム(The Emporium)」、「エムクオーティエ(EmQuartier)」といったショッピングモールがあります。

アソーク

アソークは、スクンビット通りと交差するアソーク通りを中心とするエリアです。BTS「スクンビット駅」と、MRT「アソーク駅」にあるショッピングモール「ターミナル21」は、アソークのランドマーク的な存在です。また、アソーク通りには、コンドミニアムや高層ビルの建設が進んでおり、今後の不動産価格上昇を期待できます。

シーロム、サトーン

シーロムは、バンコク市内を代表するオフィス街で、大手日系企業も入居するビルが並ぶエリアです。中規模のショッピングモールや飲食店も多く、地元タイ人だけでなく、外国人観光客からも人気があります。また、サトーンには、各国の大使館も多く、閑静な住宅街としても知られています。

チェンマイ

チェンマイは、タイ北部に位置する都市です。タイ第2の都市で、市内中心部の旧市街地には、歴史のある寺院や伝統工芸品を扱うショップが並びます。第2の都市でありながら、バンコクと比べるとチェンマイは自然に囲まれた静かな環境で、別荘地としても人気があります。チェンマイ市内中心部の不動産価格の相場(平米単価)は、約30万円です。

プーケット

プーケットは、タイを代表するリゾート地です。「アンダマン海の真珠」と呼ばれるエメラルドグリーンの透き通った海と白いサンゴの砂浜が特徴で、外国人観光客も多く訪れます。コンドミニアムを購入して、Airbnbでホテルとして運用することも可能です。ただし、前述したとおり、30日未満の短期賃貸運用は資格が必要です。

パタヤ

パタヤは、バンコク市内から車で2時間ほどのリゾート地です。バンコク居住者でも気軽に訪れやすく、週末だけパタヤで過ごす人も少なくありません。また、パタヤは、ベトナム戦争中に米国軍の保有地であった背景から、欧米人の観光客が多く見られます。ビーチ沿いを中心にコンドミニアムが立ち並んでおり、投資目的だけでなく、セカンドハウスとしてもおすすめです。

タイ不動産購入におすすめのコンドミニアム

セカイプロパティは、タイの物件も取り扱っております。ここでは、タイの物件の詳細についてご紹介します。

ザ・エッセ・スクンビット36

ザ・エッセ・スクンビット36の画像

ザ・エッセ・スクンビット36は、タイ文化の伝統的な要素を取り入れながらも、高級感のあるラグジュアリーな内装に仕上がっています。バンコクの中心部に位置するトンロー地区にあるこの物件では、海外での豪華な暮らしを実現することができます。

ザ・バンコク・トンロー

ザ・エッセ・スクンビット36の画像

ザ・バンコク・トンローは、先ほどご紹介した物件と同じくバンコクのトンロー地区に位置しています。周辺エリアはバンコクの若者文化の発信地として知られており、活気に溢れた街において優雅な暮らしを実現できます。

>>バンコクの物件を詳しく見る

タイ不動産購入に関するよくある質問と回答

Q. タイのコンドミニアムの購入の際の支払い方法は?

タイのコンドミニアムを外国人が購入する場合、タイの銀行口座を開設した後に日本からの海外送金といった形で支払います。送金の際には手数料や為替相場に気をつけてください。

Q. バンコクのコンドミニアムは300万円で買える?

バンコクの不動産価値は年々増加傾向にあり、残念ながら現在は300万円での購入は難しいです。しかしバンコクを含めたタイのコンドミニアムは世界的に見ればクオリティに対して割安で購入できます。

まとめ

タイ不動産の購入方法は、現地調査から始まり、契約の手続き、支払い、不動産の引き渡しと進んでいきます。一方で、外国人に対する不動産購入の規制が設けられているため、購入前に本記事を参考にしておきましょう。

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