人々の往来がコロナ禍前に戻った現在、海外不動産の需要も戻りつつあります。これから海外不動産にも挑戦してみたいけれど、買い方が分からないと悩まれている方も多いのではないでしょうか。
日本国内の不動産を購入する方法と異なるため、海外不動産の購入方法を把握しておくことが大切です。本記事では、海外不動産を初めて購入する方でもわかりやすいように詳しくまとめているので、ぜひ検討材料にしてみてください。
海外不動産の購入方法は2つ
それでは、海外不動産に投資する際には、どのように購入すればよいのでしょうか。海外不動産の購入方法を2つご紹介します。
海外現地で直接不動産を購入する
1つ目の購入は、海外現地で直接購入する方法です。海外の不動産会社を訪問し、物件を紹介してもらったあとに購入先を決定します。
海外現地の不動産会社を介して購入する場合、日本の不動産仲介会社が紹介していない幅広い物件から選べるのがメリットです。一方で、十分な知識がないと、法外な手数料を請求されてしまったり、物件購入のプロセスに支障が出たりする恐れがあります。
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日本の不動産仲介会社を通じて購入する
2つ目の購入方法は、海外に拠点やコネクションを持っている日本の不動産仲介会社から購入する方法です。日本の不動産仲介会社が海外現地のディベロッパーと契約を交わしたうえで、日本人向けに不動産を販売しています。
日本人のスタッフと相談できるため、安心感を得られるほか、日本語で対応してもらえるのがメリットです。投資対象として安全性の高い物件を紹介していることから、リスク回避にも適しています。
海外不動産の購入が注目されている理由
海外不動産の注目度が高まっていますが、どのような理由があるのでしょうか。日本の不動産にはない、海外不動産の魅力やメリットを紹介します。
不動産価格が上がり続けている国が多い
1つ目の理由は、不動産価格が上がり続けている国が多いことです。とくに、東南アジアの新興国では、経済成長とともに不動産価格も上昇する傾向にあります。
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas, BSP)の最新発表によると、2024年第4四半期における全国の住宅不動産価格は、前年同期比で6.7%、前期比で5.3%の上昇を記録しました。
この価格上昇は、経済の回復や住宅ローン金利の安定、都市部での住宅需要の増加など、複数の要因によるものと考えられます。マニラ首都圏やセブ、ダバオなどの主要都市では、コンドミニアムや戸建て住宅の需要が引き続き高い水準を維持しています。
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人口が増加している国や地域は家賃収入が得られる
購入した不動産を賃貸に出すことで、家賃収入という形でインカムゲインを得ることが可能です。人口が増加している国や都市では、賃貸需要が高まる傾向にあり、安定的かつ継続的な収益が期待できます。
また、国によって異なるものの、一般的に海外不動産は比較的高い利回りが得られる点も大きな魅力です。これにより、資産の分散や収益性を重視する投資家にとって、海外不動産は有力な選択肢となっています。
資産分散によるリスク回避意識が高まっている
資産の分散を目的として、海外不動産への投資を検討する方が増えています。日本国内では経済成長の鈍化や政府債務の増大といった不安要素が指摘されており、国内資産に偏った保有にはリスクが伴うという認識が広まりつつあります。
もちろん、海外に資産を持てば無条件に安全というわけではありません。しかし、地理的・通貨的に分散されたポートフォリオを構築することは、リスクヘッジの観点から極めて重要です。多様な市場に資産を分けることで、ある地域の経済情勢や為替変動による影響を抑えることが可能になります。
海外不動産購入時の注意点
投資先として魅力的な海外不動産ですが、さまざまなリスクが存在します。日本の不動産売買とも制度が異なることもあるので、十分に注意するようにしましょう。
現地管理者とのコミュニケーションが必要
海外不動産を購入すると、現地管理者とコミュニケーションを交わす機会が増えます。また、書類の手続きに関しても、英語や現地語でのやり取りとなるため、言語力がないとトラブルにつながりかねません。
当社では、マレーシアとカンボジアに現地法人を設置し、不動産の購入や賃貸管理、売却といった一連の手続きを日本語でサポートしています。言語に不安がある方や、現地での手続き方法がわからないという方は、当社までお問合せください。
海外不動産購入による節税スキームが難しくなりつつある
海外不動産に投資する方のなかには、減価償却費を活用した節税スキームを目的とする方も多くいます。しかし、近年、海外の不動産投資における節税対策への取り締まりが強化される傾向にあります。
2020年の「税制改正大綱」では、2021年分の確定申告から、海外で購入した不動産の減価償却を計上することが認められなくなりました。今後も、海外不動産を購入することによる節税スキームが厳しくなる可能性がある点に注意しましょう。
出典:財務省「2020年税制改正大綱 3.租税特別措置等」
海外不動産購入では融資を受けられない可能性が高い
海外不動産を購入する際には、金融機関から融資を受けられない可能性が高いです。通常、日本国内の不動産を購入する場合、金融機関が指定する条件を満たせば、比較的容易に融資を受けることができます。
一方で、海外不動産を購入する際には、現金での支払いが一般的です。というのも、海外不動産を購入するにあたって、日本国内金融機関から融資を受けにくいのが理由に挙げられます。また、海外の金融機関も同様に融資を受けるハードルが高く、基本的に物件購入費用を現金で用意する必要があります。
為替変動によって損失を被る可能性がある
海外不動産を購入する以上、為替変動のリスクが伴います。日本円と外貨の為替レートは常に変動しており、政治や経済的な要因で外貨の価値が下がり、不動産の資産価値が相対的に低下する恐れがあります。
また、為替変動に関しては、数十年先のレートを予想することが難しく、メリットになることもあれば、デメリットになることも考えられます。為替リスクによる損失を防ぐためにも、将来的な経済成長が見込まれる国や、不動産価格が上昇しているエリアなどに投資することを推奨します。
不動産価格が思うように値上がりしない可能性がある
海外不動産を購入したものの、想定していたほど物件価格が値上がりしないケースも多くあります。そもそも賃貸需要が少ないエリアや、経済成長が鈍化している国などの不動産を購入しても、投資効果を期待することができません。
不動産投資で成功するためには、数年、数十年先の発展状況を見据えて選ぶことが大切です。各国の情報を徹底的に調査したうえで、不動産投資に適した国やエリアを探すようにしましょう。
海外不動産購入におすすめの国5選
海外不動産への投資と言っても、どの国の不動産を購入すれば高い投資効果を見込めるのでしょうか。東南アジアを中心に、海外不動産の購入先としておすすめの国を5つご紹介します。
関連記事:海外移住におすすめの国5選!メリット・デメリットや失敗しない方法は?
カンボジア
カンボジアは、経済成長が著しい国の1つで、今後不動産価格の上昇が見込まれているため、キャピタルゲインを狙う方に適しています。
また、カンボジアの人口比率は、2020年現在、労働生産人口と呼ばれる15~64歳の割合が51%と最も高く、2030年に66%にまで上る予測があります。労働者が増加することで、賃貸需要も高まり、家賃収入(インカムゲイン)も狙えるのがメリットです。
出典:経済産業省「医療国際展開カントリーレポート新興国等のヘルスケア市場環境に関する基本情報カンボジア編」
フィリピン
フィリピンは、平均年齢が24歳と東南アジアのなかでも比較的若いのが特徴です。また、人口も増加傾向にあり、フィリピンの全人口は1億人を突破しているほか、マニラ首都圏の人口だけでも1,300万人に上ります。
マレーシア
14年連続で移住したい国No.1に選ばれたマレーシアは、首都クアラルンプールを中心に不動産投資が盛んです。マレーシアのGDP成長率は、2022年に5.3~6.3%と予測されており、まだまだ成長余地が残っています。
クアラルンプールの繁華街である「ブキッ・ビンタン地区」や、日本人居住者が多い「モントキアラ地区」など、魅力的な不動産投資エリアから選ぶことができます。
出典:マレーシア中央銀行「BNM Annual Report 2021」
タイ
日本人だけでなく、世界中の国から集まるタイも、海外不動産投資におすすめの国です。人口の伸び率が低下しているものの、タイ国内の最低賃金は2011年と2018年を比較し、100バーツ(約380円)以上上昇しています。今後、中間層にも余裕が生まれていくことで、住宅需要や賃貸需要が期待できます。
出典:厚生労働省「タイ王国 労働施策」
アメリカ
アメリカは、不動産投資におけるリスクを防ぎたい方におすすめです。東南アジアと比較して、不動産投資に関する法律が整備されているため、購入や売却、賃貸契約などでトラブルが発生しにくい点がメリットです。また、アメリカでは、外国人の不動産購入に規制がなく、不動産だけでなく土地を購入することもできます。
海外不動産の購入が向いている人の特徴
投資商品として魅力のある海外不動産ですが、すべての人に向いているというわけではありません。自身の投資目的や金銭的な部分を踏まえたうえで、海外不動産の購入が適切であるかを調べるようにしましょう。
海外不動産を現金で購入可能な資産を持つ方
海外不動産の購入が向いている人の特徴として、海外不動産をキャッシュ(現金)で購入できる人が挙げられます。というのも、日本国内の金融機関は、海外不動産を融資対象としていないことが多く、購入資金の用意が難しいためです。
また、海外現地の金融機関から融資を受けることも難しく、仮に申請が通ったとしても金利が高いうえに、物件価格の5割~6割ほどの融資しか借り入れられない可能性があります。以上の理由から、自分自身で購入資金を準備できる方が、海外不動産投資に適していると言えます。
関連記事:日本の住宅ローンで海外不動産は購入可能?申請手順や海外在住者の申請について
投資においてキャピタルゲインを重視している方
海外不動産への投資は、キャピタルゲインによるリターンを重視している方におすすめです。とくに、経済成長が続く東南アジア諸国の不動産は、物件価格が購入時よりも高くなる可能性があります。
海外不動産によって資産を分散させたい方
海外不動産投資は、自身の保有資産を分散する際に適した投資先と言えます。「1つのカゴに卵を盛るな」という投資の格言があるとおり、資産を分散させることが投資で成功するための重要なポイントです。
日本国内のみに資産を持っていると、円安や経済鈍化に伴い、資産価値が目減りする恐れがあります。一方で、経済成長や人口増加が著しい東南アジアに不動産を持つことで、1か所に資産を保有するリスクを軽減できます。
海外不動産によって永住権を獲得したい方
自分が好きな国で永住権を獲得したい方は、海外不動産を購入することが1つの条件となることがあります。たとえば、スペインでは、50万ユーロ(約6,800万円)以上の不動産を購入することで、永住権の取得が可能です。ただし、移住が必要となるケースもあることから、不動産購入による永住権取得は慎重に考えるようにしましょう。
相続税が非課税の国で節税対策がしたい方
たとえばシンガポールでは、贈与税と相続税がなく、節税対策に効果的です。しかし、シンガポールに不動産を保有していても、日本に居住している場合、日本国内で相続税を納める必要があります。つまり、現地に移住し、居住することが最低条件となるため、日本との文化や商習慣の違いを受け入れられる方でないと難しいのが現状です。
まとめ
海外不動産への投資は、キャピタルゲインの獲得や、資産分散によるリスク回避といったメリットにつながります。とくに、東南アジアは経済発展が目覚ましく、今後の不動産価格上昇が期待されています。自分が海外不動産でどのような目的を果たしたいのかを整理したうえで、購入に向けて準備を進めるようにしましょう。