ミラノは、イタリアの経済と文化の中心地であり、ファッションやデザインの世界的な拠点としても知られています。不動産価格が近年上昇しているミラノは、居住用のみならず投資用の不動産を購入する魅力もあります。

しかし、投資を検討するうえでは、イタリア特有の法制度や税金についての理解が必要です。

本記事では、ミラノの不動産投資に関するメリットとデメリット、購入の流れや税制・法制度ついて詳しく解説します。またミラノのおすすめエリアも合わせてご紹介するので、投資を検討される方は参考にしてみてください。

ミラノの概要

最初に、ミラノについての基本情報を整理します。ミラノはイタリア北部に位置する経済の中心地であり、約140万人の人口を擁しています。

主要な言語はイタリア語で、英語も観光業や国際的なビジネスの場で広く使われています。宗教は主にキリスト教(カトリック)が主流です。在留邦人数は約1,000人程度とされており、日本人コミュニティも一定の存在感を持っています。

項目概要
人口約140万人
言語イタリア語
宗教キリスト教(カトリック)が主流
主要産業商業、工業、金融、観光の分野で国際的に著名
文化ファッション、デザイン、建築が特に有名
為替1ユーロ=約160円(2025年1月時点)
在留邦人数約1,000人

 

ミラノ不動産投資のメリット

ミラノの不動産投資にはいくつものメリットがあります。今回はミラノ不動産投資のメリットを3つご紹介します。

1. 安定した経済基盤

ミラノはイタリア経済の中心地であり、多国籍企業の拠点や国際的な展示会が開催される都市です。このような安定した経済基盤は、不動産市場における継続的な需要を支えています。

また、金融、ファッション、テクノロジーなど多様な産業が集積しているため、地域経済のリスク分散にもなっています。こうした環境は投資家にとっての安心材料です。

2. 高い賃貸需要

ミラノは観光地としてもビジネスハブとしても人気が高く、賃貸物件の需要が非常に高い都市です。特にビジネス出張者や留学生の需要が顕著で、安定した賃貸収益を見込むことができます。

また、エアビーアンドビー(Airbnb)のような短期賃貸プラットフォームを活用することで、観光シーズン中には高い収益性を確保できる可能性があります。このような多様な需要は、空室リスクの低減につながります。

3. 価値の上昇余地

ミラノの不動産市場は近年、徐々に価格が上昇しています。特に、ポルタ・ヌオーヴァのような再開発エリアや新興住宅地では、インフラ整備や都市計画の進展によってさらに価格が上昇すると見込まれています。

また、ミラノはイタリア国外の投資家にとっても注目の都市であり、国際的な資本流入が不動産価値の向上を後押ししています。これにより、将来的な売却益も期待できる投資環境が整っています。

ミラノ不動産価格推移

【出典】ミラノ不動産価格推移|Immobiliare

このグラフを見ると、ミラノの平米単価はここ10年弱で2,000ユーロ近く値上がりしていることがわかります。

ミラノ不動産投資のデメリット・リスク

ミラノ不動産投資のメリットを先にご紹介しましたが、デメリットやリスクがあることも事実です。以下に解説する3つのマイナス面に気をつけて不動産投資を検討することをおすすめします。

1. 初期投資の高さ

ミラノの中心地や人気エリアでは、不動産価格が非常に高いことが一般的です。物件価格だけでなく、購入時にかかる登録税や手数料、公証人費用などの諸経費も高額になるため、投資開始時に多額の資金が必要です。

このため、自己資金やローン計画を事前に十分に練る必要があります。また、購入後の維持費や改装費用も考慮する必要があります。

2. 法規制の複雑さ

イタリアの不動産取引に関する法規制や手続きは、他国と比べても複雑です。特に外国人投資家の場合、現地での税務登録や銀行口座開設、各種許可の取得が必要な場合があります。

また、不動産購入契約には専門的な法律知識が求められるため、弁護士や会計士のサポートが不可欠です。これらの手続きには時間とコストがかかることを理解しておく必要があります。

3. 市場の変動リスク

不動産市場は、イタリア国内外の経済状況や政策の変化による影響を受けやすいです。

例えば、観光客の減少や金利上昇、地元経済の低迷は、物件価値や賃貸収益にマイナスの影響を与える可能性があります。市場動向を注視し、長期的な視点で計画を立てることが大切です。

ミラノのおすすめ投資エリア3選

ミラノと一括りにいっても、様々な特色のエリアが点在しています。今回はミラノでおすすめの不動産投資エリアを3つピックアップしてご紹介します。

1. ブレラ地区

ミラノの中心部に位置し、高級住宅地として知られています。美術館や劇場があり、文化的な魅力が高いエリアです。さらに、歴史的な建物が多く、観光地としての価値も高いため、賃貸市場でも高い需要があります。

このエリアは、富裕層向けの物件を探している投資家に特に適しています。また、周辺には高級レストランやブティックが多く、生活の利便性も高いです。

2. ポルタ・ヌオーヴァ

近年再開発が進み、高層ビルが立ち並ぶ新興エリアです。ビジネスエリアとしての需要が高く、将来的な価値上昇が期待されます。モダンな建築が特徴で、多国籍企業のオフィスが集まるため、ビジネスプロフェッショナルや高所得者層に人気があります。

また、地域全体でのスマートシティ計画も進行中で、環境に配慮した都市設計が行われています。交通アクセスの良さも魅力の一つです。

3. ナヴィーリオ地区

運河沿いのエリアで、観光客に人気があります。飲食店やバーが多く、短期賃貸に適したエリアです。特に若い世代や観光客に人気のあるエリアで、夜間も活気があります。

季節ごとに開催されるマーケットやイベントも多く、地域全体が文化的に豊かです。さらに、周辺地域の再開発が進んでいるため、将来的な不動産価値の上昇も期待されています。

ミラノ不動産投資に関する税制・法制度

ミラノ不動産投資を検討する際、課される税金や法制度についての理解は重要です。他国と共通の基本的なものから、イタリア特有の制度までご紹介します。

ミラノ不動産購入にかかる税金

イタリアで不動産を購入する際には、いくつかの税金が課されます。主要な税金には、物件価格の2%から9%の範囲で設定される登録税、付加価値税(VAT)、購入後の固定資産税があります。

1. 登録税(Imposta di Registro)

不動産取引時に課される税金で、物件の種類や購入者の条件によって税率が異なります。一般的に、主な居住用物件の場合は2%、セカンドハウスや投資物件の場合は9%の税率が適用されます。

【出典】イタリア歳入庁(Agenzia delle Entrate)

2. 付加価値税(IVA)

新築物件や大規模改修が行われた物件の購入時には、付加価値税(IVA)が適用されることがあります。標準税率は22%ですが、主な居住用物件の場合は4%、その他の住宅用物件では10%の軽減税率が適用されることがあります。

【出典】イタリア歳入庁「VAT in Italy」

3. 固定資産税(IMU)

不動産所有者は、毎年固定資産税(IMU)を支払う義務があります。税率は各自治体によって設定され、物件のカテゴリーや評価額に基づいて計算されます。主な居住用物件は免税となる場合がありますが、セカンドハウスや高級物件には適用されることが一般的です。

【出典】イタリア歳入庁(Agenzia delle Entrate)

上記の他に、不動産の売却時に課される譲渡所得税があります。購入から5年以内の売却では課税額が増えるため、長期保有がおすすめです。

外国人のミラノ不動産購入に関する規制

外国人がイタリアで不動産を購入する場合、特別な規制が適用されることがあります。一部の国籍を持つ購入者には、相互主義の原則が適用され、イタリア人がその国で不動産を購入できる場合のみ購入が許可されます。

また、外国人購入者はイタリア国内で税務番号(Codice Fiscale)を取得し、現地の銀行口座を開設する必要があります。さらに、高額な取引の場合には資金の出所証明が求められることが一般的です。

これらの規制は、不動産購入手続きの透明性を確保するためのものであり、弁護士や不動産エージェントの専門的な支援を受けることがおすすめです。

ミラノで不動産を購入する4つのステップ

1. エリア選定と市場調査

目的や予算に応じて投資エリアを選定します。不動産エージェントやオンラインプラットフォームを活用して情報を集めましょう。これには、地域の賃貸需要や価格推移、将来的な開発計画の確認が含まれます。市場データを詳細に分析し、リスクを軽減するための慎重な判断が求められます。

2. 物件視察と交渉

選定した物件を視察し、条件に合うか確認します。その後、売主と価格交渉を行います。物件の状態や周辺環境を確認することが重要で、専門家の同行を依頼することで隠れた欠陥を発見できる可能性が高まります。交渉では、購入価格だけでなく引き渡し条件や修繕費の負担も検討する必要があります。

3. 購入契約の締結

契約書を作成し、双方が合意の上で契約を締結します。この際、弁護士の助言を受けることが重要です。契約には、支払い条件や引き渡し時期、修繕責任などの詳細が明記されます。不備があると後々のトラブルにつながるため、専門家のサポートを活用しましょう。

4. 支払いと登記手続き

購入価格の支払いを完了し、不動産の登記手続きを行います。登記後、正式に所有権が移転します。支払いには、銀行送金が一般的で、資金の出所証明が求められることがあります。登記が完了すると、物件の所有権が法的に認められるため、安心して運用を開始できます。

ミラノ不動産購入にかかる費用

ミラノ不動産購入にかかる費用がイメージできない方も多くいます。今回は最新情報を基にミラノのエリアごとの平米単価や税金以外の諸費用についてご紹介します。

ミラノの平米単価と物件相場

ミラノの不動産市場では、物件の平米単価はエリアによって大きく異なります。高級エリアであるブレラ地区やポルタ・ヌオーヴァでは、平米単価が7,000–10,000ユーロを超えることが一般的です。

一方で、郊外エリアでは平米単価が2,500–5,000ユーロ程度となり、コストを抑えた購入が可能です。中古物件と新築物件では価格差があり、新築物件の方が平均的に高価格となる傾向があります。これらの相場を理解し、投資計画を立てることが重要です。

ミラノ不動産価格ヒートマップ

【出典】ミラノ物件価格ヒートマップ|Immobiliare

ミラノ不動産購入にかかる諸費用

ミラノで不動産を購入する際には、物件価格以外にもさまざまな諸費用が発生します。

イタリアでは公証人(ノタイオ)という職業があり、不動産の購入のみならずさまざまな契約の場面で公的文書の作成や認証を担当します。公証人費用は1,500–3,000ユーロ程度が一般的で、契約の法的有効性を確保するための必須コストです。

また、エージェント手数料は物件価格の3%前後が相場とされます。加えて、購入手続きに伴う翻訳費用や資金移動の手数料なども発生するため、事前に詳細な費用計画を立てることが重要です。

ミラノ不動産に関するよくある質問と回答

Q. ミラノ不動産の相場は?

ミラノの不動産市場はエリアによって価格が大きく異なります。高級エリアでは平米単価が7,000〜10,000ユーロを超えることもありますが、郊外では2,500〜5,000ユーロ程度です。

Q. ミラノの土地は外国人でも購入できる?

イタリアでは、外国人による不動産購入に特別な制限は設けられていません。ただし、購入手続きには税務番号(Codice Fiscale)の取得や、現地の銀行口座開設などが必要です。

まとめ

ミラノは安定した経済基盤と高い賃貸需要に支えられた魅力的な不動産投資先です。文化的にも栄えているため投資用に限らず居住目的での購入もおすすめですが、初期投資の高さや法規制の複雑さといったリスクも存在します。投資判断を踏み切る前に、現地の情報収集や他国との比較を入念に行うことが大切です。

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