アーリーリタイアや退職後の移住先の候補として、カンボジアを検討している方も多いのではないでしょうか。経済成長が著しく、近年は日系企業の進出も目立つようになりました。
今回の記事では、カンボジアへの移住を考えている方向けに、移住のメリット・注意点や、ビザの種類を解説します。カンボジアの魅力を踏まえたうえで、移住するかどうかを考えていきましょう。
カンボジアの概要
カンボジアへの移住を検討するにあたって、国の概要を把握しておきましょう。東南アジアのインドシナ半島南部に位置する国で、西側はタイ、北側はラオス、東側はベトナムに囲まれています。
1970年代後半からポル・ポト政権による残虐行為が発生し、全人口の20〜30%が亡くなったとされています。1970年代後半にポル・ポト政権が崩壊したあとは、さまざまな政治家が首相を務めました。現在はフン・セン氏が政権を握っており、国の立て直しを行っています。かつては「貧困のイメージ」が強かったカンボジアですが、近年は著しい経済成長を遂げています。
※1:外務省「カンボジア王国基礎データ」
項目 | 概要 |
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首都 | プノンペン |
人口 | 1690万人(2023年国連人口基金「カンボジア」) |
面積 | 181,035平方km |
言語 | クメール語 |
主要通貨 | 米ドル |
宗教 | 仏教(一部イスラム教) |
名目GDP | 約262億米ドル(2021年IMF推定値) |
一人当たりのGDP | 1,655米ドル(2021年、IMF推定値) |
物価上昇率 | 3%(2022年4月予測値、IMF資料) |
カンボジア移住のメリット
移住先としても注目を集めているカンボジアですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。カンボジアに移住する際のメリットを確認しましょう。
生活コストを抑えられる
カンボジア移住は、生活コストの削減につながります。現地のスーパーマーケットで売られている水500mlは、0.25ドル(約33円)です。また、以下に日常生活でかかる費用を一覧で紹介しています。食費にもよりますが、1ヶ月で約10万円ほどあれば十分に満足な生活を送れます。
項目 | 概要 |
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水道代 | 5ドル(約675円) |
電気代 | 100ドル(約13,500円) |
通信費(スマートフォン) | 10ドル(約1,350円) |
食費 | ローカルレストラン:1食1ドル〜 観光客向けレストラン:1食5ドル〜 日本料理店、高級レストラン:1食30ドル〜 |
家賃 | コンドミニアム:400ドル〜 |
交通費 | トゥクトゥク:40〜50ドル(トゥクトゥク:4kmで1.5ドル) |
1年中暖かい気候が続く
寒いのが苦手な方にとって、カンボジアは過ごしやすい天候が続きます。1年を通して温暖な気候で、日中の時間帯には20℃後半〜30℃前半まで気温が上昇します。ただし、一部の飲食店では冷房を強くしていることもあり、薄手の上着を持っておくと安心です。
また、カンボジアは熱帯モンスーン気候に属しており、雨季(6〜10月頃)と乾季(11月〜5月頃)に分けられます。雨季にはスコールと呼ばれる突発的な大雨も発生するので、雨具も用意しておきましょう。
経済発展とともに街の変化を感じられる
カンボジアは経済発展の真っ只中です。2023年におけるカンボジアの実質GDPは、5.8%になると予想されています。(※2)
実際に、カンボジアの首都プノンペンでは、コンドミニアムや高層ビルといった建物が建設ラッシュを迎えています。映像で見るのではなく、経済成長を肌で感じながら生活を送れるのが魅力です。
参考記事:【弊社代表取締役不動産購入インタビュー】経済発展が続くカンボジアは不動産投資に魅力的な国の1つ
首都プノンペンでも不動産価格が安い
経済成長とともに建設ラッシュを迎えているカンボジアですが、不動産価格はまだまだ安いです。すでに不動産価格が上昇しているシンガポールや、タイ、マレーシアといった国々と異なり、カンボジアはこれから不動産価格が上昇すると考えられています。
当社が取り扱っているプノンペンの高級エリア「ボンケンコンエリア」に位置するコンドミニアムは、1000万円台から購入可能です。また、プノンペン市内の新都心開発エリアにも、1000万円台の物件を販売しています。
物件①:アジャイルスカイレジデンス(カンボジア)
項目 | 内容 |
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物件名 | アジャイル スカイ レジデンス |
所在地 | プノンペン(一等地と呼ばれるボンケンコンエリア) |
価格(諸経費込み) | 1000万円台中盤 |
階数 | 44階 |
完成 | 2022年12月 |
物件詳細ページ | https://ja.sekaiproperty.com/global/property-agileskyresidences |
物件②:タイムスクエア
項目 | 内容 |
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物件名 | タイムスクエア |
所在地 | プノンペン(中でも一等地と呼ばれるボンケンコンエリア) |
価格(諸経費込み) | 1000万円台(月々10万円台~の分割可能) |
階数 | 45階 |
完成予定日 | 2026年6月 |
物件詳細ページ | https://ja.sekaiproperty.com/global/property-timesquare |
物件③:ビューアストン
項目 | 内容 |
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物件名 | ビューアストン |
所在地 | プノンペン新都心エリア(都心から約3km) |
価格(諸経費込み) | 1000万円台 |
階数 | 38階 |
完成予定日 | 2023年12月 |
物件詳細ページ | https://ja.sekaiproperty.com/global/property-vueaston |
米ドル通貨が使われている
カンボジアでは、自国通貨「リエル」以外に、アメリカの「ドル」が流通しています。ドルの流通量は90%を超えるとされており、日常生活でドルを使用しても問題ありません。
また、コンドミニアムの購入・賃貸付けによる収入や、金融機関での預金も、ドルに対応しています。東南アジアにいながら、ドルで生活を送ったり、投資を行えたりするのがカンボジアのメリットです。
近隣諸国への旅行を楽しめる
カンボジアに移住すると、近隣諸国への旅行も楽しめます。隣国にはタイやベトナム、ラオス、さらに海を超えるとマレーシアやシンガポールも行けます。また、世界的にも有名な観光地「アンコール・ワット」があるシェムリアップは、プノンペンから飛行機で1時間ほどの距離です。
2024年半ばには、プノンペン市内に新国際空港が完成する予定もあります。既存の国際空港よりも規模の大きい空港が完成することで、近隣諸国への旅行が便利になるでしょう。
長期滞在がしやすい
カンボジアは長期滞在がしやすく、移住にぴったりな国です。まず、観光ビザに関しては日本のパスポートを保有している場合、最長1ヶ月滞在可能です。
また、移住向けのビザも豊富に用意されています。後述するカンボジアに移住可能なビザの種類や手順をチェックしたうえで、どのビザを使うべきかを考えるようにしましょう。
カンボジア移住で注意すること
移住に魅力的な国であるカンボジアですが、注意するべきことも多くあります。どのようなポイントに注意するべきか1つ1つ確認しましょう。
インフラが整っていない
1つ目の注意点は、場所によってはインフラが整っていないことです。日本と比較すると、交通インフラや、電気・水道といった生活インフラが弱く、不便を感じる可能性があります。
とくに、水道については日本と異なり飲用水ではないので、ウォーターサーバーの設置や、飲料水が入ったペットボトルの確保が必要です。また、大通りを中心に渋滞も発生しやすく、生活環境に慣れるまでに時間を要するかもしれません。
急な天候の変化に気を付ける
カンボジアは、雨季の時期に「スコール」と呼ばれる大雨が降ります。晴れていたと思ったら、急に分厚い真っ黒な雲が発生し、バケツを引っくり返したような雨が降り出します。
雨の排水システムが整っていないので、スコールによる大雨が降ると、あたり一面が冠水することもあります。1時間ほどで雨は止みますが、雨季に外出する際には注意が必要です。
外出時は軽犯罪に巻き込まれないようにする
カンボジアでは、軽犯罪には注意しましょう。観光客を相手にした窃盗事件が発生しており、外出の際には貴重品の管理を徹底する必要があります。
また、日本人を含む外国人がカンボジアを拠点に犯罪行為を行う事件も見られるので、巻き込まれないようにしてください。
在留邦人が少なく、情報が得られにくい
カンボジアの在留邦人は、2022年のデータによると「3,363人」です(※3)。国別在留邦人数は全体の29番目ですが、在留邦人が少ないことから情報が得られにくい可能性があります。
都市部では英語が通じることもありますが、語学に自信が無い方だと情報の入手に苦戦してしまいます。どの国でも言えますが、ビザ情報や、現地での生活方法などを現地に精通している日本人から入手することが必要となってきます。
カンボジアに移住可能なビザの種類と移住手順
カンボジアに移住したいけれど、どのビザを使って入国するか迷っている方も多いのではないでしょうか。カンボジア移住向けにビザの種類や、移住の手順を紹介します。
カンボジアに移住可能なビザの種類
カンボジアに移住可能なビザの種類は4つあります。各ビザの条件や、取得方法を解説します。
ビジネスビザ
ビジネスビザは、カンボジア国内で仕事をするために必要なビザです。日本から短期で出張するビジネスパーソンや、カンボジア現地企業で働く日本人、フリーランス、個人事業主もビジネスビザで滞在できます。
なお、ビジネスビザは、カンボジア入国前、あるいは入国時に申請します。就業期間に関わらず、30日間の滞在許可をもらえるので、カンボジア入国後に再度申請して長期用に切り替える必要があります。申請費用は初回が35ドルで、延長する場合は1年に300ドルを支払います。
投資ビザ
投資ビザは、2022年7月に始まったばかりのビザです。「CM2H(カンボジア マイ セカンド ホーム)」と呼ばれるビザで、一定の投資要件と財政的要件を満たすと、10年間のビザが発給されます。なお、ビザ取得から5年後には、カンボジア国籍の取得も可能です。
投資ビザを取得する要件は、「カンボジアに10万USドル以上の投資資金を有していること」や、「カンボジア政府が認可する不動産を所有していること」などが条件となっています。
求職者ビザ
求職者ビザは、カンボジア国内で就職活動を行う外国人を対象としたビザです。現時点では、最大6ヶ月間まで延長が可能ですが更新は不可となっています。
なお、求職者ビザの取得方法はビジネスビザと同様です。日本国内のカンボジア大使館にて「ビジネスビザ(シングルビザ)」を取得し、カンボジア入国後に求職者ビザに切り替える必要があります。
退職者ビザ
退職者ビザは、55歳以上の退職者や、年金を受け取っている方を対象としたビザです。カンボジア滞在中の生活を維持するのに必要な資金が必要となります。
1点注意しておきたいのは、退職者ビザを使ってカンボジア国内で働くことはできません。ビジネスビザと同じ取得方法で、1年ごとに更新する必要があります。
カンボジアへの移住手順
カンボジアへの移住ビザを決めたあとは、実際にカンボジアへの移住を計画していきます。ビザ取得から、カンボジアへの入国、部屋探しまでの手順を把握しておきましょう。
必要書類の準備とVISA申請
まずは、ビザ取得に向けて必要書類を準備します。ビジネスビザであれば、パスポート、証明写真、ビザ申請書類(カンボジア大使館・領事館で入手可能)などを入手し、申請を行います。
日本国内でビザを申請する際には、カンボジア大使館、または領事館に行きます。ビザ取得までに時間を要する場合もあるので、余裕を持つようにしましょう。
カンボジアへの入国
ビザを取得したあとは、カンボジアに入国します。ビザの種類でも解説したとおり、一部のビザを取得した場合は、入国時に30日間の滞在許可を得られますが、その後はカンボジア国内で再度申請が必要です。
2023年6月現在、日本からカンボジアへの直行便がないので、バンコク、ソウル、香港などを経由して入国します。
賃貸契約・物件購入
カンボジアで生活を行うにあたって、物件を探す必要があります。近年、プノンペンを中心にコンドミニアムの開発が進んでおり、日本人にも住みやすい環境です。
日系の不動産会社も多く進出しており、日本語でやり取りしながら賃貸を探せます。場所にもよりますが、プノンペンであれば月5万円〜を想定しておきましょう。
また、物件を購入するのも選択肢の1つです。冒頭でも紹介したとおり、首都プノンペンでは1000万円台〜購入可能な物件も多くあります。
カンボジア移住がおすすめな人
カンボジア移住のメリットやデメリットを紹介しましたが、実際にカンボジアに移住してみた結果、自分に合わなかったと後悔してしまう可能性があります。最後に、カンボジア移住がおすすめな人をまとめていきます。
カンボジアの文化を楽しみたい
カンボジア移住がおすすめな人の特徴として、カンボジアの文化を楽しみたい方が挙げられます。カンボジアは日本と同じ仏教ですが、信仰上の考え方が異なり、日本よりも仏教が生活のなかに入っています。たとえば、寺院に行くときに露出が多い服装が禁止されていたり、女性は僧侶に触ってはいけないといったりするものです。
また、インフラをはじめとした生活環境も異なるので、慣れるまで時間を要する場合があります。ストレスになる場面もあるかもしれませんが、カンボジアの文化や生活を楽しむ気持ちが大切です。
経済的に安定している
次に、経済的に安定している方です。カンボジアでも就職してお金を稼ぐことは可能ですが、日本と比べると給与も低く、日本と同じ生活レベルを送るのが難しいです。
そこで、日本で安定した収入があれば、カンボジアでもより水準の高い生活を送れます。自身の収入状況を踏まえたうえで、どのような生活を送れるのかをイメージしましょう。
まとめ
カンボジアは新興国のなかでも経済成長が進んでおり、刺激的な日々を過ごしたい方におすすめの移住先です。大手の日系スーパーや、スターバックス、セブンイレブンなども進出し、日本と変わらないほどの生活を送れます。
今後、カンボジアへの移住を希望する方は、まず旅行で一度訪れてみましょう。実際にカンボジアで生活を送り、自分に合うのかを確かめることが大切です。
※2:世界銀行「カンボジア」