
タイは、2023年の在留邦人数が7万人を超えており、日本人の移住者や旅行者から人気が高い国です。物価の安さ、リタイヤメントビザの取りやすさから「老後はタイで過ごしたい」と考えている人が増加しているのが背景にあります。
出典:外務省「タイ王国」
また、「微笑みの国タイ」という言葉はあまりにも聞きなれた言葉かもしれませんが、仏教大国で、信仰深く礼儀正しく温和なタイ人の国民性は 日本人にもなじみやすいものでしょう。そこで、今回は、タイ移住のメリットに加え、デメリットや40代・50代からのタイ移住は可能であるかを紹介します。
タイ移住のメリット8選
世界的な観光地としても知られるタイですが、移住に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。「将来的にタイに移住したい」、「タイでどのような生活を送れるのか」といった方は、タイ移住のメリットを参考にしてみてください。
1.物価が日本よりも安い
経済発展とともに物価も上昇し続けているタイですが、まだまだ日本より全体的な物価も安く、暮らしやすい国と言えるでしょう。ただ、暮らしのレベルが選べる国とも言われ、日本と遜色ない暮らしをしようとすると、それなりに出費もかかるようです。
タイ移住にあたっての月間費用(概算):
項目 | 費用(タイバーツ/日本円換算) |
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家賃 | 15,000〜30,000バーツ(約68,250〜136,500円) |
食費 | 7,000〜15,000バーツ(約31,850〜68,250円) |
通信費 | 500バーツ〜(約2,275円〜) |
水道・光熱費 | 1,000バーツ〜(約4,550円〜) |
交通費・その他 | 2,000バーツ〜(約9,100円〜) |
合計 | 約40,500バーツ〜(約184,275円〜) |
※1バーツ = 4.55円で換算(2025年9月現在)
現地のフードコートなどでの食事は60〜100バーツ(240〜400円)程度で充分に空腹を満たせます。たとえば60〜80バーツ(約240〜320円)で満足できることも多く、
日系の飲食店と現地のローカル店を半々に利用すれば、食費をかなり抑えられます。
実際、2025年現在、屋台やフードコートでは1食30〜100バーツ(約120〜400円)が一般的で、観光地でも30〜150バーツ(約120〜600円)で提供されています。
また、水道・光熱費や通信費は日本より安い傾向にあります。住居に関しても、都心から少し離れたエリアでは1万〜1.5万バーツ(月額、約42,000〜65,000円)程度で、清潔かつ広めの物件が見つかります。ただし、バンコクでは交通渋滞が深刻です。毎日都心まで通勤・通学する必要がある場合は、時間的ストレスに注意が必要です。
なお、交通費の目安としては、地下鉄やスカイトレインの一回あたりの料金は15〜50バーツ前後(約60〜200円)です。これは日本(東京)と比較して約1/3〜1/2程度の水準であり、大変リーズナブルです。新路線の延伸も続いており、公共交通網の利便性は今後さらに高まる見込みです。
2.1年中温暖な気候が続く
タイは、東南アジアに位置しており、1年中温暖な気候が続きます。バンコクの年間平均気温は約29℃で、1年中半袖で過ごせます。しかし、日本と同様に湿度が高く、平均湿度は73 %です。また、1年のなかでも5〜6月は気温が高くなりやすい時期で、40℃にも及ぶことがあります。(※2)
3.公共交通機関が発達して便利である
首都バンコクでは交通渋滞に悩まされることもありますが、地下鉄(MRT)や高架鉄道(BTS・モノレール)などの公共交通機関が広く整備されており、移動は非常に便利です。
BTS(高架鉄道)
BTSにはスクンビット線とシーロム線の2路線があり、主要都心部を効率的に結んでいます。また、ゴールドライン(Gold Line)という短距離自動運転モノレールも接続されています。
運行時間は午前6時頃から深夜0時頃までで、ピーク時には約3~6分間隔、オフピーク時でも6~10分間隔で運行されます。
運賃は距離に応じて設定されており、17バーツから最大62バーツ程度です。
MRT(地下鉄・モノレール)
MRTには以下の4路線が運行中です。
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ブルーライン(地下鉄)
主要駅を結び、都心を循環。運行時間は平日5:30〜24:00、休日は6:00〜24:00。混雑・時間帯に応じて車間が変動し、ピーク時には約4分、オフピークでも6〜7分間隔程度です。
運賃は17~45バーツ(最大51バーツ、乗換時含む)、クレジット/デビット支払いでの割引制度もあります。
パープルライン(高速)
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イエローライン(モノレール)
約30.4km・23駅で、ラットプラオからサムロンを結びます。運行時間は6:00〜24:00です。
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ピンクライン(モノレール)
サルンやミンブリ間を結び、分岐線(ムアン・トン・タニ支線)も2025年6月17日より本格運行を開始しました。運行間隔は、平日早朝・夕方ピーク時で5分、それ以外は10分間隔です。
路線バスとアプリ
バンコクのバスは系統番号や色分けがされていますが、日本のような時刻表は基本的にありません。ただし、GPS搭載によってバスの現在位置が分かるアプリ(たとえばViaBus)や、乗るべきバスを検索できるウェブサイトがあります。
近年、タイ・スマイル・バス(Thai Smile Bus)は、EVバスを中心に125路線(2025年現在で123路線)を運行し、エリア内の環境対応と利便性向上を図っています。運賃は15バーツからとリーズナブルです。
タクシー・トゥクトゥク・水上交通
鉄道でアクセスしづらいエリアでは、タクシーやトゥクトゥクが普及しています。また、チャオプラヤ川や運河を行くボート(水上交通)もあり、これらを組み合わせることで、バンコク市内の移動は非常に多様で便利です。
4.居住環境が整っている
タイの不動産は地域によりますが、500万円台のコンドミニアムから上は1億を超える物件まであります。タイでは外国人は土地を買えないので、コンドミニアムの購入となります(規定あり)。どの物件も日本で同じものを購入するより、ワンランク、ツーランク豪華な物件を購入できます。
賃貸の場合でも、バンコク都心部は2LDKで2.5万バーツ(約11万円)ほどと一見日本と価格が変わらないように思われますが、家具・家電付き、入り口には警備員が常駐しており、共有スペースにはプールやジムを備えているコンドミニアムが多いです。
また、都心部から少し離れれば、プール・ジム付きでも1.万〜1.5万バーツ(約42,000〜65,000円)での賃貸もあり、同じ金額でも日本より優雅な住居に住めます。
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5.日系の飲食店やスーパーが多い
バンコクは外国における都心部の人口密度が世界一と言われており、スクンビットエリアには、日本人街と言われる通りもあり、やよい軒や大戸屋、スシロー、モスバーガーといった日本でなじみの深い多くの日系飲食店チェーンも進出しています。
さらに、日本の食材が買えるスーパー、デパート、邦画も見れる映画館、日本人経営のスーパー銭湯もあります。日本語が通じる病院もあるので、タイ語や英語が話せなくても、日本語だけで生活できます。
バンコクのほかにも、日系企業の工場が集まるシラチャ、バックパッカーにも人気が高いチェンマイも日本人の多いエリアです。
6.日本からペットを連れて住める
タイの移住を検討しているけれど、日本で一緒に暮らしているペットのことを考えると二の足を踏む、そう考えられている人にとっては、タイは最適な国です。
マレーシアやインドネシアでは宗教上の理由で、犬を外で散歩させるのが難しいのですが、タイでは堂々と愛犬と散歩をすることもできます。(イスラム圏の国は猫に寛容です)。
バンコクでは、ペット飼育可の物件も徐々に増えているほか、都心部は日本語の話せる獣医のいる動物病院やトリマー、ドッグカフェやドッグランなどペットと暮らす環境も整っています。
ペットと一緒の日本からの出国については、約6週間前くらいに出国する空港の検閲に問い合わせましょう。犬や猫であれば、日本国内で書類の提出や、検査、予防接種が必要ですが、タイ入国時に検疫で何日も預けられるということもなく、空港から一緒にタイの引っ越し先に向かうことができます。
7.タイと日本の行き来がしやすい
世界屈指の観光国であるタイは、日本との行き来がしやすい国です。2025年9月現在、バンコク・スワンナプームと日本の空港を結ぶ路線は6つ(羽田、成田、関西、新千歳、福岡、中部)です。
また、羽田空港(東京)〜バンコク間は、往路が約7時間、復路が約5時間30分と移動時間もそこまでかからず、日本とタイの行き来が便利であることもメリットです。
8.世界的にも高水準の医療技術がある
タイの大病院の医療は高水準の技術を提供しており、日本の医療と同じような治療を受けられます。
また、日本と医療技術を提携している病院もあるので、日本人向けサービスも充実しています。バンコクやシラチャなどにある総合病院の「サミティヴェート病院」では、日本語専用のホームページを利用できます。院内で日本語のサポートを提供しているので、タイ在住の日本人もよく利用しているようです。
ただし、日本の国民健康保険は使えないので、現地の社会保険や民間保険に加入していないと高額な医療費を自己負担で支払わなければなりません(日本で国民健康保険に加入したままになっている人は、自己負担で全額支払った後に必要書類を日本に持って帰り還付手続きをすれば、3割負担分以外は還付されます。)
タイ移住のデメリット・注意点8選
日本人でも住みやすいタイですが、タイ移住にはメリットだけでなく、デメリットや注意しなければならないこともあります。下記のとおり、タイ移住におけるデメリットや注意点を8つ解説していきます。
・バーツ高に伴い物価が高騰している
・雨季は外出しにくい
・大気汚染が問題になっている
・タイ語しか通じない場面がある
・日本人を含む外国人を狙った軽犯罪が頻発している
・害虫や野犬が多い
・タイの水道水は飲み水に適していない
・タイは敬虔な仏教国であることを理解する
1.物価が高騰している
近年、世界的に物価上昇の懸念がありましたが、2025年初夏以降のタイでは、むしろ物価が下落傾向にあります。
特にエネルギー・生鮮食品価格の下落を受け、消費者物価指数(ヘッドラインCPI)が前年同月比で複数ヶ月にわたりマイナスを記録しており、直近の8月でも −0.79% と6ヶ月連続で低い水準です。
ただし、生鮮食品・エネルギーを除いた コアインフレ率は引き続き上昇傾向にあり(例:8月+0.81%、6月+1.06%) 、需給の偏りが一部残っている状況です。
また、為替相場でも変化があります。過去 2020〜2024年には円安傾向がありましたが、2025年現在は1 JPY ≒ 0.224 THB 程度と、バーツに対して比較的安定した水準です。最高値は 0.239 THB(4月)、最安値は 0.215 THB(1月) となっており、やや 円高方向への変動が進んでいます 。そのため、日本人にとっての「物価高」の感覚は多少和らいでいる可能性があります。
とはいえ、家賃など一部の生活費には依然としてお得感があり、日本より安いと感じる部分は多く、移住先・長期滞在先としての魅力は引き続き大きいと言えます。
参照:Japanese Yen to Thai Baht History: 2025
2.雨季は外出しにくい
タイの気候は、「乾季」と「雨季」に分けられ、乾季は10月後半〜3月、雨季は4月〜10月前半です。乾季はカラッとした天候が続き、雨は全く降りませんが、雨季の時期に入ると突発的なスコールが頻発します。
雨季は急に天気が変わることが多く、さっきまで晴れていたのに、いきなり雨が降り出すことも多いです。とくに、夜間にスコールが発生しやすく、しばらくの間は自宅に帰れなくなってしまうことも珍しくありません。日本の梅雨と異なり、1日中雨が振り続けることはないですが、雨季は天気が変わりやすい点に注意しましょう。
3.大気汚染が問題になっている
乾季を中心に、タイでは大気汚染が問題になっています。天気が良い日でも、PM2.5による大気汚染がひどい日には、空が黄色く見えることがあります。
タイの大気汚染が悪化している背景には、増加し続ける自動車からの排ガスや、北部での野焼きが原因であると言われています。最近では、タイ政府がEVを推奨しており、排ガスによる汚染を改善する動きも見られます。
とはいえ、外出時にマスクを付けている人も多く、大気汚染対策はしっかりと行いましょう。
4.英語が通じないことが多くある
バンコクの都市部では日本語だけでも大丈夫なエリアもあり、英語はまず通じるのですが、ちょっと都心から外れると英語も通じないことが多いのがタイという国です。
日本人街から一切出ないというなら大丈夫ですが、「たまには地方へ小旅行したい」、「ちょっと郊外にも買い物やアクティビティに行きたい」というのであれば、必要最低限の生活に必要なタイ語(数字や日常会話)をタイに行ってからでも勉強してみたほうが、生活の幅が広がります。
タイ文字をマスターするのはなかなか難しいですが、簡単な言葉は意外にすぐ使えるようになります。バンコクには日本人対象の英会話やタイ語の学校もたくさんあります。
5.日本人を含む外国人を狙った軽犯罪が頻発している
日本人が多く集まるところには、海外に住む同胞だからと近寄ってきて言葉巧みに詐欺を仕掛けてくる日本人が一定数いることが問題になっています。小さいところでは、お財布を落としたから貸してほしいという寸借詐欺から、新しい事業を持ち掛けてきて実際にはお金を巻き上げるだけというものまで、さまざまな犯罪が発生しています。
また、スクンビットエリアでは、外国人観光客を狙った犯罪も頻発しています。最近では、「あなたの国のお札を見せてほしい」という会話から、お札を出してしまいそのまま盗まれる犯罪です。被害者にならないためにも、怪しい人とは絡まないようにしましょう。
6.害虫や野犬が多い
タイへの移住を検討している方のなかで、とくに害虫や野犬が苦手である方は注意が必要です。日本よりも衛生状態が良くないことや、熱帯気候であるため、害虫が発生しやすい環境にあります。
また、首都バンコクでも人通りが少ないエリアでは、野犬を見ることがよくあります。野犬に噛まれると狂犬病に感染するリスクが高く、すぐに病院でワクチンを接種しなければなりません。
害虫対策としては、可能な限り高層階に住むことや、居住するコンドミニアムでペストコントロールを実施しましょう。野犬については、人通りが少ないエリアを歩かない、野犬に遭遇したときは犬の目を見ないようにするなど、関わりを持たないことが対策になります。
7.タイの水道水は飲み水に適していない
タイの水道水は基本的に飲用ではありません。日本人は煮沸をしても、料理や飲み水としては使わないほうがよいでしょう。水道の水は、掃除や洗濯用に使い、料理や食器を洗うときは市販のミネラルウォーターを使うことをおすすめします。
8.タイは敬虔な仏教国であることを理解する
タイは仏教国です。「日本も仏教国だから同じでは?」と思われる人もいるかもしれませんが、日本よりも仏教という宗教が国民の生活に色濃く根付いている国であり、日本人が考えられる以上に配慮しなければいけません。
たとえば、仏教寺院に行くとき、女性はあまり肌を露出した服を着て行ってはいけない、不用意に僧侶に触ってはいけない(特に女性は絶対に僧侶に触れてはいけないそうです。女性に触られることで、その僧侶の今までの修業が0に戻るとか)、乗り物に乗るときは、僧侶、子供、お年寄りは優先しなければならない、バスや電車に乗って、どんなに混んでいても普通の人は優先席に座らないなどのルールがあります。
郷に入っては郷に従えで、タイに行ったら、旅行者であれ、居住者であれこれらのルールは守りましょう。
老後や40代・50代からのタイ移住は可能?
タイ移住を検討している方のなかには、今ではなく老後に移住を希望している方や、40代・50代になってから移住したい方も多くいるのではないでしょうか。今後、タイ移住を進めていくなかで、老後や40代・50代からでも可能なのかを解説します。
タイ移住のビザの種類について
タイへは、観光目的での短期滞在であれば、日本を含む93か国がビザ免除対象となり、2024年7月15日以降は最大60日間の滞在が可能です。(さらに現地で30日以内まで延長が可能)
60日を超えて滞在する場合や、観光以外の目的での滞在には、ビザの取得または延長が必要です。長期滞在に使われる主なビザの種類には以下のものがあります:
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学生ビザ(ED:Education Visa)
タイの学校や教育機関に在籍している間有効で、通常90日ごとに延長可能。
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就労ビザ(Non-Immigrant B:Business/Work Visa)
タイの企業からのサポートが必要で、労働許可(ワークパーミット)が前提となります。
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リタイアメントビザ(Non-Immigrant O-A / O-X)
50歳以上が対象。O-Aは1年有効、O-Xは5〜10年の長期有効タイプもあり、金融/保険要件が課されます。
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ロングステイビザ(LTR:Long-Term Resident Visa)など
特別な条件(投資、技術者、富裕層など)に基づく長期滞在関連ビザとして整備中であり、詳細は要確認。
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Thailand Privilege Visa(旧称:Thailand Elite Visa)
5〜20年の複数入国長期滞在ビザ。VIPサービスなど特典がありつつ、労働不可。
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デジタルノマドビザ(Remote Work / Digital Nomad Visa)
2024年6月より有効化。最大5年の滞在が可能で、1回の入国で最大180日滞在でき、出国→再入国の繰り返しで長期滞在が可能です。
タイ移住の費用は日本からの年金だけで暮らしていける?
タイは経済成長とともに物価も上昇し続けているため、昔のように「安いお金で優雅に暮らせる」とは言い難い国になりつつあります。前述したようにタイにいながら日本と変わらない食事をし続けたりすると、日本よりお金がかかってしまうという事態も起こります。
ただ、バンコクでも現地タイ人の生活費は6万円くらいなので、本当に現地の生活に合わせて暮らすなら、日本からの年金だけでもお釣りのくる生活が送れます。
しかし、年金が支給されるくらいの年齢で、3食現地のタイ料理という生活は現実的に難しい可能性があります。バンコクではなくチェンマイのような地方都市に移り、贅沢をせず暮らすなら、10万円以下の生活というのも可能です。
なお、日本にいるときと同じくらいの生活費で暮らせる方は、月に20〜30万円あれば日本にいるときよりも優雅で贅沢な暮らしを送れます。
このように生活レベルを選べるのがタイ移住ですが、今の生活費を落とすためにタイに移住するというより、今の生活費でワンランク上の生活を送るためにタイに移住するという考えでいたほうが、タイでの移住生活がスムーズにいくでしょう。
50歳以上はリタイアメントビザも取りやすい
50歳以上の方であれば、80万バーツ以上(約350万円)の貯金、または月65,000バーツ以上(日本円約28万円以上)の年金収入、または貯金及び収入の合計が80万バーツ以上(日本円約350万円)ある方であれば、90日間滞在可能なリタイアメントビザを取得できます。
また、ロングステイビザはリタイアメントビザを更新することで取得でき、最大1年間の滞在が可能となっています。(※3)
50歳未満の方だと、上記のビザ取得対象とならないので、就労ビザ、あるいは学生ビザ、タイランドエリートビザが必要となります。
タイ移住向けに不動産を購入する方法
タイ移住をする際に、現地で不動産を賃貸するのではなく、購入する選択もあります。現地で不動産を購入する方法を5つのステップで紹介します。
不動産仲介会社に連絡する
タイで不動産を購入する場合、不動産仲介会社に連絡します。仲介会社ごとに取り扱っている物件が異なるので、複数の仲介会社に連絡を取ってみることを推奨します。
また、タイ現地では日系の不動産仲介会社も多く、日本語でのサポートを受けられます。タイ語や英語でのやり取りに不安を感じる方は、日系の不動産仲介会社を利用しましょう。
購入物件の選定や内見
これまでタイを訪れたことがない方や、購入前に物件の様子を確認しておきたい方は、事前に内見をしておくと安心です。実際に、担当者とともに物件を訪問し、室内や、コンドミニアムの施設を確認できます。
また、投資目的で売却を検討している方は、交通アクセスや、物件周辺の商業施設、どのような人が住んでいるかなども確かめておきましょう。
購入費用の支払い・契約手続き
購入したい物件が見つかったあとは、費用の支払いと契約手続きを行います。不動産仲介会社によって金額が異なりますが、物件を確保するための予約金を支払います。人気の物件は、在庫の変動が激しいので、早い段階で予約金を納付する必要があります。
その後、不動産の購入予約が済んだら、残金の支払いと、契約書の交付・署名の手続きを行います。基本的には、契約書に英訳がついていますが、不安な方は日本語が分かる担当者と一緒にチェックしましょう。当社では、不動産契約に関する書類を日本語に訳しているので、タイ語・英語に不安な方でも安心して契約内容をご確認いただけます。
物件の引き渡し
物件が引き渡される前に、インスペクションと呼ばれる物件のチェックを行います。タイに限らず、海外の不動産では、水漏れや害虫といったトラブルが発生することも珍しくないので、しっかりと確認する必要があります。
インスペクションが終わってから、2〜3ヶ月後に物件が引き渡されます。仮に、インスペクションでトラブルが見つかった場合、修繕を依頼しましょう。
登記移転
最後に、不動産の登記移転です。新築物件と中古物件で、登記費用が異なるので注意してください。新築の場合は、購入価格もしくは評価額の約2%で、一般的にデベロッパーと買主で折半します。
一方、中古の場合、物件の所有者と交渉が必要となるケースがあります。売主側で登記費用を負担してくれることもあるので、相手と話し合いを行いましょう。なお、登記移転に際して、売買の契約書、今までの外貨での支払いを証明する外貨送金証明書が必要となります。
不動産購入の方法をより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
参考記事:タイ不動産を外国人が購入する方法とは?注意点とエリア別の価格相場を紹介
タイ移住の条件とは?ビザ・年収・年齢・家族帯同まで解説
タイは親日的な文化、温暖な気候、物価の安さなどから、多くの日本人にとって魅力的な移住先です。特にリタイアメント世代やノマドワーカーに人気がありますが、実際に移住するためには、目的に合ったビザの取得が必要となります。
リタイアメントビザ、就労ビザ、配偶者ビザ、富裕層向けのエリートビザなど、種類によって取得条件は大きく異なります。このセクションでは、それぞれのビザに必要な年齢・収入・資産・滞在条件を整理し、タイ移住に向けた詳細の条件を解説します。
1. リタイアメントビザ(Non-Immigrant O-A/O-X)の取得条件
年齢条件:50歳以上
収入要件:月6万5千バーツ以上の年金収入 または 80万バーツ以上のタイ国内預金
資産要件:O-Xビザの場合は300万バーツ以上の資産
健康保険:タイ国内の医療保険に加入
滞在要件:タイ国内で年90日ごとの滞在報告が必要
リタイアメントビザは、50歳以上の日本人に向けた長期滞在ビザです。O-Aビザは最長1年で毎年更新が必要、O-Xビザは最長10年までの滞在が可能です。いずれも一定の年金収入や預金残高が条件となり、健康保険への加入も必須です。O-Xは資産額などの条件が厳しい代わりに長期滞在に向いています。
2. 就労ビザ(Non-Immigrant B)の取得条件
雇用条件:タイ企業との雇用契約があること
給与基準:月5万〜6万バーツ以上が目安(職種により異なる)
資格条件:大学卒業資格または3年以上の実務経験
滞在期間:通常1年更新(長期延長可)
家族帯同:扶養ビザで配偶者・子ども同行可
タイで働く場合に必要なビザで、多くの日本人駐在員が取得しています。雇用契約書の提出や、労働許可証の取得が必要です。職種に応じた給与水準を満たすことが求められ、企業側のサポートが重要になります。配偶者や子どもも帯同が可能です。
3. タイランドエリートビザの取得条件
年齢条件:なし
会費要件:60万〜200万バーツ(コースにより異なる)
滞在期間:5年〜20年(選択制)
目的:観光・不動産購入・医療・長期滞在など
就労条件:就労不可(観光・滞在目的のみ)
エリートビザは、長期滞在を希望する富裕層向けの特別プログラムです。年齢や収入制限はなく、申し込み時の犯罪歴審査を通過すれば取得が可能です。
空港送迎、イミグレ優先レーン、銀行口座開設サポートなどの特典があり、ビジネスや不動産購入を目的とした方にも人気です。
4. 配偶者ビザ(Non-Immigrant O)の取得条件
対象:タイ人と法的に婚姻している外国人
収入要件:月4万バーツ以上 または 預金40万バーツ以上
滞在期間:1年更新
就労条件:ワークパーミット取得により可能
必要書類:結婚証明書、住居証明、配偶者の収入証明など
タイ人の配偶者を持つ外国人が取得できるビザです。結婚の事実を証明できれば申請可能で、必要に応じて就労も許可されます。
生活費を自力でまかなえることが求められるため、収入または預金残高の証明が必要です。
5. 教育ビザ(Non-Immigrant ED)の取得条件
対象:語学学校・大学・インターナショナルスクールの生徒・学生
滞在期間:最大1年(90日ごとに更新)
授業要件:週4日以上など学校ごとの条件あり
扶養家族:原則として帯同不可(親子留学は例外あり)
語学留学や大学進学を目的とする場合に必要なビザです。タイ語や英語を学びながら滞在したい人に人気で、年齢制限はありません。
ただし、扶養ビザを使った家族帯同は制限されているため、親子留学を希望する場合は受け入れ実績のある学校を選ぶ必要があります。
子どもを帯同する場合の条件と学費の目安
ビザ:扶養ビザ(Dependant Visa)を取得
教育機関:インターナショナルスクール、日本人学校、現地校など
学費目安:年間30万円〜150万円
教育環境:日本語サポートあり、送迎バス・多言語対応の学校もあり
家族での移住を計画する場合、子どもに対してもビザの申請が必要です。多くの場合、親の就労ビザや配偶者ビザに付随する形で扶養ビザを取得します。
タイには多数の国際学校があり、教育の選択肢が豊富です。費用は学校ごとに異なりますが、日本と比べて割安なケースも多く、グローバル教育を求める家庭にとって魅力的です。
タイ移住で後悔しないために事前に準備すること
タイは物価の安さ、温暖な気候、親日的な文化などから、移住先として非常に人気があります。しかし、実際に移住した人の中には「想像と違った」「もっと準備しておけばよかった」と後悔するケースも少なくありません。
この章では、タイ移住で後悔しないために事前に確認・準備しておくべきポイントを、体験談をもとに整理してご紹介します。
1. タイの「時間感覚」と「対応の遅さ」に慣れておく
タイでは「マイペンライ(気にしない)」という文化が根づいており、良くも悪くも時間にルーズで柔軟すぎる対応が当たり前です。
例えば、修理の約束をしても時間通りに来ない、役所での手続きに何時間もかかる、などは日常茶飯事です。
日本のような「正確・迅速」なサービスを期待すると、ストレスが溜まり、移住後にギャップを感じやすくなります。
タイ移住前に必要なのは、「違って当たり前」と思える余裕と柔軟性です。できれば現地を短期体験し、文化の違いを肌で感じておくのが効果的です。
2. 医療体制と保険制度の違いを理解しておく
タイの医療レベルは総じて高いですが、公立と私立で質に大きな差があり、費用も大きく異なります。
特に外国人は私立病院を利用することが多く、支払いは基本的に全額自己負担です。風邪や怪我であっても、1回の受診で1万円以上かかることもあります。
タイ移住を後悔しないためには、現地で使える医療保険(民間保険や国際保険)に必ず加入しておきましょう。
また、持病がある方は、対応可能な病院があるかどうか事前確認をしておくと安心です。
3. ビザの種類・更新条件を事前に把握しておく
「移住できたから安心」と思っていたら、ビザの更新条件が想像以上に厳しかったというケースはよくあります。
特にリタイアメントビザやノンイミグラントビザには、定期的な残高証明、年金証明、90日レポート提出などの条件があり、不備があれば滞在継続が難しくなることもあります。
事前に確認しておきたいこと:
自分の年齢や資産で該当するビザの種類は?
更新の頻度と必要書類は?
ビザ更新の代行業者や現地行政書士の費用感は?
「ビザのことを甘く見ていた」と後悔しないよう、事前の情報収集と計画的な対応が欠かせません。
4. タイの生活費と日本との違いをリアルに把握する
「タイは物価が安い」と言われますが、住むエリアやライフスタイルによっては、日本と同じかそれ以上にかかることもあります。
たとえば、バンコク中心部で日本人向けのコンドミニアムに住み、毎日外食し、子どもをインターに通わせると、月30万〜50万円以上かかるケースも珍しくありません。
後悔しないためには、自分が望む生活水準で実際にいくらかかるのかを事前にシミュレーションすることが必要です。
現地スーパーや交通費、病院、家賃などの項目ごとに、モデルケースを想定して計算しておきましょう。
5. 言語と文化の壁に対する「心の準備」をしておく
タイでは英語が通じる場面も増えていますが、日常生活の多くはタイ語が基本です。特にローカルエリアでは英語がほとんど通じないため、銀行・病院・役所などの手続きで戸惑うケースが多発します。
さらに、文化の違いによる価値観のズレも起こりやすく、日本の「常識」は通用しません。
例:
注意すると逆ギレされる
約束を守らない
仕事中にスマホを触る
こうした文化を「悪い」と判断せず、「違い」として受け入れる視点を持つことが、タイ生活でのストレス軽減につながります。
6. 一度は「お試し移住」してみる
情報だけで判断すると、どうしても理想と現実のギャップが生まれやすくなります。
後悔しないためには、本格的な移住の前に3ヶ月〜半年ほどの短期滞在をしてみることが非常に効果的です。
実際に暮らすことで、下記のような「生活のリアル」が体感できます。
日常の移動や買い物の不便さ
住んでみたら意外と騒音が多い
ローカルフードが合わない など
「思ったより合わなかった」「もっと違う都市の方が良かった」などの気づきがあれば、移住前に軌道修正できます。
タイ移住におすすめのエリア
タイ移住を決断したあとは、どのエリアに住むかを決めていきます。首都バンコクは日本人も多く便利な都市ですが、観光都市のパタヤや、北部のチェンマイなども選択肢に入れましょう。
バンコク
タイの首都バンコクは今やエネルギッシュな大都会です。日本人の働き口もたくさんあるため、就労ビザを使って滞在したい人にもおすすめです。
物価はタイでは一番高いですが、その分海外で暮らしている不便さを感じさせない都市でもあります。日本人コミュニティも活発で娯楽も多く、アクティブな生活を送ることができます。
バンコク市内中心地の不動産を購入したいとなると、繁華街として有名なスクンビットや、日本人が多く住むプロンポン、トンロー、エカマイなどが候補に挙がります。また、バンコク市内中心部の不動産価格の相場(平米単価)は、2023年1月現在で190,230バーツ(約76万円)です。(※4)
シラチャ
シラチャは、バンコクから車で東に1時間ほどの場所にあります。工業地帯として知られており、日系企業も多く進出するエリアです。
バンコクほどではありませんが、シラチャにも日本人駐在員が住んでおり、日本人街も形成されています。日本人学校や日本語可能なサミティベート病院など、日本人が住みやすい環境が整っています。
パタヤ
地上の楽園と表現する人もいるパタヤは、バンコクから東に車で2時間ほど行ったリゾート地です。ヨーロッパ地方の年金受有者が多く、都会の喧騒から離れてビーチ沿いでのんびりとした生活を送ることができます。
リゾート地なので、ほかの地方都市より少し生活費は高めですが、月20万円もあれば週に何回か飲み歩いたり旅行に行ったりもできる余裕のある生活が送れるようです。
パタヤの不動産価格の相場(平米単価)は、2023年1月現在で67,222バーツ(約26.8万円)です(※4)。ノースパタヤの北側に位置するウォンガマットは、高級ホテルが立ち並ぶエリアで、地上36階建てのタワーコンドミニアム「ウィンダム グランドレジデンス ウォンガマット パタヤ(Wyndham Grand Residences Wongamat Pattaya)」を当社で取り扱っています。
パタヤの不動産投資について詳しく知りたい方はこちらも合わせてお読みください。
>>タイ・パタヤの不動産投資のメリットとは?最新相場やコンドミニアム購入時の注意点
チェンマイ
チェンマイはバンコクなどと比べると、生活費も安く、リタイアメントビザを取得した日本人も多く住んでいる落ち着いた地方都市です。
タイの古都として観光客にも人気があり、日本語通訳者が常駐している病院や日本料理屋も多く、停電などはたまにありますが、あまり不便なく暮らすことができます。
近年はノマドの聖地とも呼ばれるようになったチェンマイにはコワーキングスペースも多数できて、ノートパソコンを抱えた欧米や日本の若者の姿も街中でよく見かけるようになりました。
バンコクと比べるとチェンマイは自然に囲まれた静かな環境で、別荘地としても人気があります。チェンマイ市内中心部の不動産価格の相場(平米単価)は、2023年1月現在で57,000バーツ(約22.8万円)です。(※4)
チェンマイの不動産投資について詳しく知りたい方はこちらも合わせてお読みください。
>>タイ・チェンマイの不動産を購入する魅力とは?コンドミニアムの価格は安い?
まとめ
タイは異国文化に触れながらも日本と変わらぬ便利さで質の良い生活ができる場所として、リタイヤ後の移住先に最適な国ではないでしょうか。
ただ、都市部では家賃の高騰が続いていますので、余裕があるならコンドミニアムを購入し、移住するまでの間は賃貸で貸し出して置く等しておけば、移住後もゆとりをもつことができるのではないでしょうか。
少しでも興味があるなら、まずはタイの暮らしぶりを見に行って、今後の計画を立ててみてもいいかもしれませんね。