移住先として高い人気を誇るマレーシア。ロングステイ財団の調査によると、マレーシアは15年連続で「日本人が移住したい国ナンバーワン」に君臨し続けています。なぜマレーシアが移住先として人気なのか。今回は、実際にマレーシアに移住をした海外移住アドバイザーのRUMIが、移住してみて知ったマレーシアの魅力を存分にお届けします。
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有名人の移住でも話題、15年連続「移住したい国トップ」に輝いたマレーシア
2024年2月に、ロングステイ財団が恒例の「ロングステイ希望国・地域2023」を発表しました。新型コロナウイルスが発生した2019年〜2022年に休止していた本企画ですが、2024年に再開しました。
結果は、マレーシアが堂々の1位を堅持しました。これで15年連続(2019年〜2022年は休止)のトップ君臨となります。マレーシアに住む日本人の数も増加の一途をたどっており、2023年時点で約2万人です。(「海外在留邦人数調査統計」より)。定年退職後のシニア層、場所を問わず働けるフリーランス、子どもに国際感覚を身につけさせたい子育て世代など、さまざまな属性の人たちから今、移住先として選ばれている国がマレーシアなのです。
※「ロングステイ財団調べ『ロングステイ希望国・地域2023』」参照 図:日本人が移住したい国ナンバーワンの推移
最近では、マレーシアに移住した有名芸能人が、日本のテレビで紹介され、その豪華な生活ぶりが話題にもなりました。人気YouTuberもマレーシアに滞在し、この国の生活を紹介したことから、より一層注目を集めています。
マレーシアに移住してわかった8つの魅力
今、関心を集めるマレーシアですが、日本人にとって、どんなところが魅力なのでしょうか。ここからは、実際に住んでみて分かったマレーシアの魅力を、実体験とともに紹介します。
・物価が安い
・住環境が良い
・治安が比較的良い
・英語が通じる
・のんびりと暮らせる
・食べ物が美味しい
・グローバルな教育環境が整っている
・マレーシア人は親日的
1.物価が安い
アジア諸国に移住する場合、もっとも期待するのが「物価の安さ」ではないでしょうか。結論から言うと、マレーシアの物価は日本の1/2~1/3 程度と非常に安いです。
たとえば、食費はローカルレストランであれば、300円ほどで十分に食べられます。ほかの費用については、以下のとおりです。
図:1ヵ月あたりのマレーシアの生活費例
イメージが湧くよう、もう少し補足しますね。まず住居費についてですが、マレーシアのコンドミニアムはプールやジム併設が一般的です。共用施設の充実度が、日本とは大きく異なります。価格だけ比較すると、日本の2LDKの相場とそれほど変わらないかもしれませんが、プール・ジムつきで月4~10万円は、安いと感じるはずです。
食費も手頃な価格です。ローカルフードだと5RM(約170円)くらいから、ランチが食べられます。また、交通費に関しても、モノレールや地下鉄、バスといった交通網が発達しているKLですが、最近ではGrabというUberのような配車アプリでタクシーを呼んで、ドアtoドアで移動することが増えてきました。とても使いやすく、価格も30分乗って10RM程度(約340円)と、日本では考えられない安さです。
2.住環境が良い
住環境も満足のいくものです。マレーシアのコンドミニアムには、プール・ジム・公園・売店・テニスコートといった共用施設がついています。「運動不足だな…」と思ったら、コンドミニアム内のジムが利用できます。
子育て中の方なら、暑い日はコンドミニアム内のプールで安全に遊ばせることや、広い公園で思いっきり走り回らせることもできます。私自身2人の子どもがいるので、とても重宝していますね。それに、24時間警備員が見守っているので安心です。
また移動の面でも、先ほどご紹介したように、Grabが普及しているのでとても便利です。さらに、街中いたるところに高速Wifiが飛んでいるので、通信に困ることもありません。美容院やネイルショップにも高速Wifiが飛んでいるので、美容院でカラーをしてもらいながらノートパソコンで仕事をしたことも(笑)。こんな風に、マレーシアは非常に暮らしやすい国です。
3.治安が比較的良い
マレーシアはアジア諸国の中で、かなり治安がよいほうです。暴動や凶悪犯罪も少なく、安全に暮らすことができます。KLの中でとくに安全だと言われているのが、高級住宅街で日本人も多く住む「Mont Kiara(モントキアラ)」周辺です。
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4.のんびりと暮らせる
マレーシアは常夏の気候で、それもあってか穏やかな人が多い印象。ですから、時間に追われることなくゆったりと暮らすことができます。ゴルフ大国を目指していることもあって、ゴルフ場がたくさんあります。価格も手頃なので、普段の生活にゴルフを取り入れることもできますね。
また、日本と比べて圧倒的に自然災害が少ないです。地震はまず起こりませんし、台風も来ません。自然災害の脅威にさらされていない珍しい国だといえます。それに、花粉も飛ばないので、日本で花粉に悩まされている人も、マレーシアなら年中快適に過ごせます。
5.食べ物が美味しい
マレーシアのローカルフードは、タイやベトナム料理に近い味で、ハーブとスパイスをベースとしたものが中心です。アジアン料理が好きな人なら口に合うでしょう。現地食を好んで食べている日本人もたくさんいます。
もしローカルフードが合わなくても、マレーシアは多民族国家なので、色んな国の食べ物が手軽に食べられます。とくに多いのが、中華料理、マレー料理、インド料理です。日本人の多く住むエリアでは、和食も食べることができます。色んな国の料理を、その日の気分によって選んで食べられるところは、マレーシアの魅力のひとつですね。
ちなみに、マレーシアは外食文化なので、日本のように自炊があたりまえではありません。たとえば、朝は近くのマーケットで揚げパン・豆乳を買ってすませる。昼はオフィスの近くのレストランで食べる。夜はフードコートやナイトマーケットで、ワイワイと食事を楽しむといったことも日常的です。最近は、UberEatsで取り寄せる人も増えていますね。
6.グローバルな教育環境が整っている
KLにはイギリス系・アメリカ系のインターナショナルスクールが数多く進出しています。授業料が欧米や日本より安いことから、親子留学先としても人気です。インターナショナルスクールは、マレーシアの主要都市なら、ほぼどこにでもあります。日本人学校があるのは、クアラルンプール・コタキナバル・ジョホールバル・ペナンです。
また多民族国家なので、マレー系、中華系、インド系など、さまざまな人種の子どもたちがいます。子どもに国際感覚を養わせるには、もってこいの国でしょう。マレーシアだと、小学校の段階で3カ国語・4カ国語使えるようになる子どもも少なくありません。
私の場合、子どもが未就学児なので、幼稚園(インターナショナルスクール)に通わせています。ひとり月3万円程度で、8時~17時まで預かってもらえるほか、送迎つきなので安心です。子どもたちの語学力も、順調に伸びていますね。
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7.マレーシア人は親日的
アウンコンサルティングが2017年に行った「アジア10カ国の親日度調査」によると、日本への好感度について「大好き」と回答したマレーシア人は66%、「好き」と回答したのは33%となっています。とても親日的な国であることが分かります。
実際に暮らしてみて感じるのは、みんな本当に親切だということ。英語が片言でも嫌な顔をされることはまずありません。多民族国家で宗教もたくさんあるので、外国人に対して非常に寛大。排他的な雰囲気は一切なく、そういった意味でも住みやすい場所です。
マレーシア移住のデメリットや注意すべきこと
最後にマレーシアに移住を決めた際に、注意すべき点について紹介していきます。
・天気が安定していない
・高い酒税が設けられている
・害虫が多い
・税金の免除申請を忘れないようにする
・日本のような健康保険制度はない
天気が安定していない
マレーシアは天気が安定しない点に注意しましょう。10月〜2月は雨季のシーズンで、1日中雨が続くことがあります。
また、3月〜9月頃までの乾季でもスコールと呼ばれる突発的なゲリラ豪雨が発生します。日本同様に海に囲まれている国で、1日中蒸し暑い日が続くので天候が気になる方は注意が必要です。
高い酒税が設けられている
お酒好きの方にとって、マレーシアは金銭的なデメリットを感じるかもしれません。イスラム国家のマレーシアでは、酒類に高額な税金が課せられています。
アルコール度数に応じて酒税が課せられるため、ウイスキーや日本酒といったお酒は高額になりやすいです。また、イスラム教徒が多く、お酒を飲む人自体が少ないこともあり、日本のようにどこでもお酒が飲めるわけではありません。
害虫が多い
高温多湿のマレーシアは、日本よりも害虫が発生しやすい環境です。清潔に保っていれば基本的に害虫が部屋に侵入することはありませんが、低層階に住んでいると害虫に出くわす機会が多くなります。
害虫対策としては、害虫駆除アイテムを購入することや、一部コンドミニアムで実施されているペストコントロールも活用してみてください。
税金の免除申請を忘れずに
海外移住する場合、役所で手続きをすれば、日本の健康保険料、住民税、年金などを免除することができます。ただし、日本から給与所得を得ている場合、所得税は日本に払い続けることになります。本来、所得税は給与の10%程度ですが、何も手続きをせずに住民票を抹消すると、税率が20%になってしまいます。所得税の免除申請は、給与の支払者(会社など)が国税局に対して行うものなので、給与支払者への申請依頼を忘れないよう注意しましょう。
日本のような健康保険制度はない
日本で住民票を抹消すると、健康保険も失効します。一時帰国した際などに日本の病院に行くと、全額自己負担になることは知っておきましょう。虫歯などの治療は、健康保険失効前にすませておくことをオススメします。
なおマレーシアには、日本のような国民健康保険制度はありません。全額自己負担か、民間の医療保険に加入することになります。
日本と同様に、公立の総合病院、私立病院、小さなクリニックなどがありますが、一番安心なのは外国人が多く通う私立病院。言語が通じるほか、医療も高水準です。また、薬局で買える薬の種類が日本よりも圧倒的に多く、薬局で十分なこともよくあります。
マレーシア移住をする際に必要なビザは?
ビザなしで滞在できるのは90日まで。それ以上は必ずビザが必要です。マレーシアに移住する場合、「MM2H」という長期滞在ビザを取得するか、現地で働くための雇用ビザなどを取得する必要があります。私は雇用ビザを取得しました。
雇用されずに暮らす場合は、「MM2H」を取得することになりますが、年齢によって取得条件が異なったりもするので、詳しくは「MM2Hの新旧条件を徹底解説 /メリットや取得方法を分かりやすく紹介【2021年10月更新】」をご覧ください。
※なお2020年12月現在、「MM2H」の申請は一時的に凍結されています。
マレーシア移住におすすめのエリア
マレーシアへの移住を進めるにあたって、どのエリアが移住先として快適に暮らせるのでしょうか。日本人も多く住んでいるクアラルンプール市内はもちろんのこと、リゾート地や、隣国のシンガポールに近いエリアも移住先としておすすめです。
モントキアラ(クアラルンプール)
モントキアラとは、クアラルンプール市内の高級住宅エリアとして知られています。駐在員をはじめとする日本人が多く居住するエリアでもあり、日本食レストランや日系美容院など、日本人が生活するのに困らないエリアです。
また、インターナショナルスクールも多く立地するため、教育移住先としてもおすすめです。注意しておきたいのが、クアラルンプール中心部(KLCC)からは遠く、モントキアラ周辺には電車も通っていないので、交通面で不便を感じるかもしれません。
ペナン
次に、マレーシア屈指のリゾート地ペナンです。ペナンはマレーシア北部に位置する都市で、マレーシア国内で3番目に日本人が多いエリアです。
世界遺産「ジョージタウン」でも有名であり、多くの観光客が訪れます。また、ペナンには「ペナン国際空港」もあるので、クアラルンプールへの移動や、海外への移動にも便利です。
ジョホールバル
ジョホールバルは、シンガポールに隣接するマレーシアの都市です。クアラルンプールに次ぐ第二の都市とも言われており、日本人もマレーシア国内で2番目に多くいます。
この地域では「イスカンダル計画」と呼ばれる都市開発計画があり、今後の不動産価格上昇が狙えます。シンガポールへも電車やバス、徒歩で行ける距離なので、週末に小旅行も楽しめます。
マレーシアで暮らしてみて、感じること
「多民族国家」だからこそのおもしろさ
実際に暮らしてみて感じることは、多民族国家だからこそのよさです。たとえば、公園で子どもを遊ばせていると、人種の異なる子どもたちが混じって楽しんでいる様子が見られます。異文化への理解や受容度を、子どもの頃から高められる点は、マレーシアならではのよさでしょう。
色んな宗教の行事に触れることができることも、この国のおもしろさのひとつ。チャイニーズニューイヤーやヒンズー教徒のお祝いであるディパバリなどの異文化体験ができます。もちろん日本人コミュニティもあるので、海外にいながら日本の文化・行事に参加することも可能です。
マレーシアに合う人、合わない人
マレーシアの魅力ばかりをあげてきましたが、不便さがないわけではありません。たとえば、停電や断水はだいたい半年に一度くらいの頻度で起こり、珍しいことではありません。停電するとエレベーターも止まるので、高層階に住んでいる場合は大変です。それと、南国なので虫は多いですし、部屋に入ってくることもあります。駐在員の奥さんで、虫を理由に帰国された方もいらっしゃいました。
加えて、時間にルーズな国民性なので、お店がいつも通りの時間にオープンしなかったり、約束の時間に修理を頼んだ業者が来なかったり…というようなこともあります。予期せぬことが頻繁に起こるので、それらに毎回、腹を立てているともちません。こうした不便さにも耐えられる人がマレーシアに向いています。逆に「ちょっと無理そう…」と感じた人は、マレーシアに来ると苦労するかもしれませんね。
移住前に、短期間住んでみることをオススメ
オススメしたいのは、移住を決めてしまう前に、短期間お試しで住んでみることです。マレーシアにはAirbnbが進出しているので、1泊数千円程度で暮らすことができます。3ヶ月程度、お試しで住んでみて、「ここならやっていけそうだ」と確信を持てたら、移住に向けて準備を進めるとよいでしょう。