新規オフィスの供給が順調であるバンコクのオフィス市場は、現在のところ堅調に推移している。しかしこの豊富な供給量が近い将来問題となる可能性が指摘されている。

2019年第3四半期の時点で125,000㎡を超えるオフィススペースが完成しており、さらに70,000㎡が今年末までに追加供給される予定である。現段階ではまだ吸収可能な増加ペースであるが、今後3年間でさらに何百万㎡というオフィススペースが追加される予定となっていることに事業用不動産サービスの大手CBREは懸念を示している。

近年のオフィス市場においては、コワーキングスペースの需要が主流となりつつある。

オフィスビルの賃料は前年比+3~5%で上昇を続けており、今後も穏やかに上昇を続けると関係者は見ている。

<小売市場>
タイでは、家計負債の増加などから消費者センチメントや購買力の低下が見られ、小売業は全体的に低迷が続いている。消費者信頼感指数は前年比-10%と落ち込みを見せ、ここ39ヵ月の最低ポイントに達した。家計負債については、対GDP比79%という報告もある。

昨年下半期には、国内における購買力を高めるため、福祉予算の削減、金利引き下げ、「Eat-Shop-Spend」などの独自の景気刺激政策の導入など、政府による様々な施策が行われた。

2019年第3四半期時点のバンコクの小売業の売場総面積は、前年比+4.39%の780万㎡であった。また「マーケット・バンコク(The Market Bangkok)」、「ドンキモール(Donki Mall)」、「サムヤーン・ミッドタウン(Samyan Mitrtown)」、「セントラルビレッジ(Central Village)」など、注目の施設も続々と誕生している。今後小売市場で勝ち残っていくためには、デベロッパーは最新の技術を活用し、新しいユニークなセールスポイントを打ち出していく必要があるだろう。

<ホテル市場>
タイの観光業は、堅調な推移を続けている。2019年1~9月までの海外からの観光客数は、前年比+4.3%の3,250万人に達した。第3四半期には、一時減少していた中国からの観光客が再び増加し、前年比17.3%の増加となった。またインドからの観光客数も、前年比+26.7%の増加を見せている。
昨年1~9月までのバンコク・ダウンタウンのホテルの平均客室稼働率は、77.8%(前年比-2%)であった。
タイ・バーツの動向が、今後の観光業に大きな影響を及ぼすことは間違いないだろう。


【参照】Forecasts for Bangkok property 2020 - CBRE

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セカイプロパティ編集部
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