マレーシアで外国人が購入できる不動産物件の金額は、これまで基本的に100万リンギット(RM)(約2,600万円)以上と定められていたが、来年よりその下限額が60万RM(約1,550万円)に引き下げられることがわかった。

発表は、2020年度予算についての報告の中でマレーシア財務大臣より行われたもので、以前より問題となっているコンドミニアムやアパートメントの供給過剰の改善が目的である。(2019年第二四半期における余剰物件は、83億RM(約2,150億円)相当に上るという。)

その他にも様々な供給過剰対策が取られており、例えば若い世代の初回物件購入をサポートする支援策もある。この支援策については、当初2020年1月までとされていた期限を2021年12月末までに延長されることが決まった。BSN(Bank Simpanan Nasional)という国営貯蓄銀行が管轄するこの支援策では、不動産担保会社チャガマス(Cagamas)を通じて10%の融資保証を提供しており、フルローンと200RM(約5,000円)の月次分割払い援助が受けられるという。(10,000件のユニット、最初の2年間に限る。)

また低所得者向けには、マレーシア中央銀行による「Fund for Affordable Home」という支援策が今年1月よりスタートしており、15万RM(約390万円)までの物件に対して最大3.5%の特別金利が適用されている。

さらに政府は「HOC(Home Ownership Campaign)」という住宅所有支援策を実施しており、デベロッパーは10%の割引を提供し、また一部の物件で印紙税が免除されることになる。HOCの期限は6か月延長され今年12月末までとなることが決められている。

またマレーシアには、まず賃貸で、その後気に入れば物件を購入するという「RTO(Rent To Own)」というスキームも存在する。申請者は最大5年間物件を賃借でき、その後最終的に購入するかどうかのオプション契約に移行する形となる。購入者にとっては賃料として支払っていた金額が物件の購入資金の一部となるためロスが少なく、またオーナー側も売却が成立しなくても入居分の賃料は回収可能となるためウィンウィンのスキームと言えるだろう。

このような対応策で、今後マレーシアの不動産の流動性が高まることが期待される。


【参照】Budget 2020: RM600k threshold for foreigners to purchase urban high-rise properties

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セカイプロパティ編集部
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