中国はリーマンショック後、見事な経済復活を果たし、各地に不動産バブルをもたらした。今では、一般的にあまり知名度の高くない地方都市の物件価格も大幅に上昇しているという。

投機家には歓迎される不動産価格の上昇だが、中流階級に人々も手が届かない価格となってしまった現状は、これらの地域に人を集めようとしている政府にとってはあまり好ましくない状況だと言える。

また不動産価格の高騰は家計にも影響を与えている。10年前は30%程度であった平均返済負担率(DTI)は、昨年92%という驚きの数値に達するなど、不動産価格と収入のバランスが大きく崩れている。

中国南東部の海岸に位置する厦門(アモイ)市中心部におけるアパートメントの価格は、イギリス・ロンドンの物件に匹敵するが、収入の面ではロンドン市民の1/4 程度だと言われている。またネット通販最大手アリババ本社がある杭州市の地価も、アメリカ・シアトルの価格に迫る勢いだ。

これらの地域に共通しているキーワードは、「都市化」と「短期間で得られるキャピタルゲイン」である。2012年頃から、地域の歓迎体制もあり、より良い仕事や社会福祉を求める郊外からの出稼ぎ労働者が増加し、一気に都市化が進んだ。また短期間で利益を得た不動産長者とも言える人々を目の当たりにし、人々はこぞって不動産を購入し、価格が上昇するのを待つ、すなわち多くの物件が空き家になっているというのが実情である。

物件を購入するのに何年分の収入が必要かという不動産価格対収入比率は、政府が価格制限を行ったにもかかわらず、2018年に過去最高記録に達した。ロンドンの比率は13倍であるのに対し、中国の14都市はそれを上回る数値となっている。国際金融協会(IFF)は、こうした状況を「限界に近い」とし、警鐘を鳴らしている。

郊外都市における不動産価格は、2015年中頃より68%上昇しているが、居住許可や戸口登記管理制度の規制が緩和されたことも価格上昇を後押ししたと見られている。

【参照】Property boom turns unlikely Chinese cities into real-estate gold

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セカイプロパティ編集部
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