8月21日、中国政府により広東省深圳市の金融機能を強化する新方針が発表された。発表を受け、深圳市の不動産売上は急激に上昇したという(前月比+10%)。将来を有望視されている深圳市への投資で、多額の利益を挙げようというバイヤーが増加しているのである。
中国全土における新規不動産購入は、7月に29%下落するなど冷え込みを見せていた。行政が様々な対応を行ったにもかかわらず、住宅価格はほとんどの主要都市で上昇を続け、70都市のうち価格上昇が見られなかったのは深圳市を含む5都市のみであった。
深圳市の地方政府は、価格が高すぎる物件には販売許可を与えないなど、2017年以降価格上昇を抑える対応を行ってきた。またバイヤーの数を制限することで、需要に歯止めをかけ投機家による物件の買いだめを抑え、さらに所有物件を基本的に1件とし、2件目以降は住宅ローンの額を上乗せするなどの対応がとられている。
深圳市は住宅価格が高いことでも知られており、不動産サービス企業CBREが行った調査によると世界第5位にランキングされている。
また深圳市は、香港・マカオ・広東省珠港デルタの9都市を統合したグレーター・ベイエリアの一部となっており、中国人、香港人、マカオ人はフラットの購入が可能となっている。しかし今後は欧米企業も積極的に深圳市に進出することが考えられ、深圳市で働く外国人も物件の購入が可能になるのではと期待されている。
中国政府は、現在の行き詰った経済を活性化させるため、不動産部門に力を入れていく方針を明らかにしている。「投機のためでなく、住むための住宅」とするポリシーを掲げ、経済を活性化させるための短期的な手段ではなく、長期にわたる対応をとっていきたい考えだ。
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