昨年は低迷していたカンボジアの建設部門だが、今年に入り勢いを取り戻してきている。今年に入ってからのカンボジアの建設部門への投資額は、昨年同期比+67.37%の27.42億ドル(約2,950億円)に上った。

商業施設やシェアハウス等の共同宿泊施設や住宅などの貢献度が大きいと見られ、今年後半についてもさらなる成長が期待されるという。

カンボジアは、外国人投資家に人気の投資先として最近頭角を現してきており、新しい商業施設やオフィス、住宅やホテルなどが次々と建てられている。

高層ビルや高層マンションのプロジェクトがあらゆるところで進められ、カンボジアの景観は変わりつつある。リゾート地として有名なプレアシアヌーク州(シアヌークビル)などでも高層建築が目立ち始めているという。

カンボジアの建設部門への投資の多くは中国からであり、インフラ開発への投資も積極的に行われている。

しかし、建設部門の成長だけではカンボジア全体の経済成長には至らないと、いまだカンボジアの経済について懸念を示す専門家もいる。

カンボジアが現在直面しているのは、EUとのEBA協定(Everything But Arms:武器以外の全品目で、数量制限なしに無関税でEUに輸出できる制度)の停止問題である。カンボジアの人権や民主主義をめぐる問題を理由に、EU側がEBA協定の停止を検討しているのである。

EBA協定の問題が、今後の雇用率や海外からの投資の減少につながる可能性もあり、またその影響は建設部門以外にも広がることが考えられる。

現在順調である建設部門が、今後縫製業などを含むその他の部門を牽引してけるかどうかはまだわからない。ここ数年間、建設部門がカンボジアの経済成長に貢献してきたことは間違いない。しかし労働問題が今後の成長の妨げになる可能性もある。

建設部門の労働者は、最低賃金政策について政府に要望する動きを見せている。賃金の問題の他にも、労働者の安全保障やケガをした労働者への補償など、カンボジアがこれから解決していかなければならない問題は多い。

建設部門の労働環境を改善し、また人権問題や労働環境にも注目している外国人投資家を集めるためにも、政府は解決策を提供し、実行していくことが求められるだろう。

【参照】Cambodia construction soars following 2018 major slump

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セカイプロパティ編集部
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