海外移住を検討されている方にとって、移住先のビザの取得条件はとても重要なポイントです。近年、海外移住する人もしない人も、自国以外のビザを持ちたいという需要が高まっています。自国以外で居住できる権利は、ステータスと言ってもおかしくないかもしれません。資産の分散目的や多種多様なライフスタイルを求め、代表的なビザとしてマレーシアのMM2H(マレーシアマイセカンドホームビザ)やタイのエリートビザなどが日本人でも人気となっています。
マレーシアのMM2Hビザが人気の理由としては、
・年齢制限なし
・滞在義務なし
・定期預金の預け金額の低さ
・10年間の長期ビザ(10年以降、ビザ更新も可能)
・家族のビザも取得可能
などが挙げられ、特に取得条件のハードルの低さが人気を呼んでいました。そんな日本人にも大人気の海外リタイヤメントビザの代表格である「マレーシアのMM2Hビザ」。
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残念ながら、現在はコロナの影響で、マレーシアのMM2Hは受付を停止している状態です。
・いつから受付を開始するのか
・管理体制も変わり、MM2H自体をどうするべきか
と言った議論はマレーシア国内でされているようです。
先行きが見えないため、
・法人を設立しビザ取得
・他国のビザ
を検討している方もいらっしゃるとよく聞きます。
そんな中、マレーシア移住の新たな一つの方法として、あるビザが注目を集めています。それが東マレーシアのサラワク州独自のMM2Hビザ「S-MM2H」です。今回は、マレーシアに移住する方法としてS-MM2Hビザについて、MM2Hと比較しながら解説をいたします。
1 マレーシアの長期滞在用ビザ「S-MM2Hビザ」の概要
S-MM2Hビザとは東マレーシアのサラワク州が独自に発行しているMM2Hビザです。以前からS-MM2Hビザ自体はあったのですが、MM2Hビザの方に人気が集まり、S-MM2Hビザは取得するメリットがあまりなく、取得者はあまりいなかったようです。MM2Hビザが今回のコロナ状況下において新規受付を停止したことで、サラワク州が独自に発行しているS-MM2Hビザに注目が集まるようになりました。
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また、条件も緩和し、MM2Hビザよりも非常に取得条件が低いのも特徴です。
2 S-MM2Hビザを発行しているサラワク州について
S-MM2Hビザを発行しているサラワク州は、ボルネオ島北西部の海岸沿いに位置するマレーシアの州です。ボルネオ島とマレー半島は東西に離れているため、空路での移動となります。
・クアラルンプールから:国内線で約1時間45分。
・シンガポールから:国際線で約1時間30分。
クアラルンプールはマレー半島になります。サラワク州はマレーシアの中では最大面積を誇り、自然が豊かな州です。サラワク州の州都でありクチンは、コタキナバルと並んでボルネオ島(東マレーシア)観光の基点ともなっている場所です。クチンは猫の街としても人気で、コロニアル調やマレー風の建物が立ち並び、歴史・魅力溢れる自然で有名です。ユネスコの世界自然遺産に登録されているグヌン・ムル国立公園は、約6割が未だ前人未踏の地で、非常に歴史ある公園としても有名です。
3 S-MM2Hビザの取得条件
取得者申請 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50歳以上〜 | |
取得要件 | 定期預金(FDA) | -既婚 RM300,000(RM180,000は常に保持)-独身 RM150,000(RM90,000は常に保持) | ||
月収 | -既婚 RM10,000-独身 RM7,000 | |||
不動産 | RM60万以上(サラワク州)の不動産購入※既に購入済みの方も適用 | なし | ||
その他 | サラワクメディカルケアに入会,または子供がAレベルの学校に入学 | なし | ||
取得プロセス | サラワク州に2回渡航する必要がある。渡航前→定期預金口座(FDA)を作成。作成後、必要金額の振り込み。1回目(5日以上)→FDAの手続き。(本人確認や指紋登録など。)健康診断。(血液検査、レントゲン、尿検査など。)⇨申請に約2~4ヶ月かかる。2回目(3日以上)→申請処理後、承認証が発行。発行から6ヶ月以内に渡航し、VISAを受け取る。 | |||
MM2Hビザとの違い | 1.サラワク州に年間15日間滞在しなければならない。2.就労不可。3.西マレーシア 以外も滞在可能。 |
※2020年10月 1RM=25.5円で計算
取得条件は、MM2H同様経済的証明が必要となります。
4 S-MM2HビザとMM2Hビザを比較
S-MM2H | MM2H | |
年齢条件 | 30歳以上〜(30~39,40~49,50歳以上で条件変更) | 21歳以上〜(50歳以上から条件変更) |
財産証明 | 独身:RM15万以上〜(約380万)夫婦:RM30万以上〜(約765万)(財産は預金や有価証券など) | 50歳未満:RM35万以上〜(約890万)50歳以上:RM50万以上〜(約1275万)(財産は預金や有価証券など) |
月収証明 | 夫婦:RM10,000(約25,5万)独身:RM7,000(約18万)(収入証明又は年金証明) | RM10,000(25,5万円)(収入証明又は年金証明) |
必要定期預金額 | サラワク州の銀行夫婦:RM10,000(約25,5万)独身:RM7,000(約18万) | マレーシアの銀行50歳未満:RM30万以上(約765万)50歳以上:RM15万以上(約385万) |
固定預金引出し | 住宅、子供の教育、医療目的のために必要な費用 | 2年目以降は、RM15万まで住宅、子供の教育、医療目的のために必要な費用を引き出すことが可能 |
※2020年10月 1RM=25.5円で計算
年齢によって、条件が多少変わってきますがS-MM2Hビザの方が条件面的に比較的に緩い傾向があります。
4-1 年齢条件
S-MM2Hビザは主に50歳以上が申請するビザですが、30代、40代の方で、不動産購入やお子さまの教育移住をセットで考えているという方にも検討余地があります。20代の方は申込することができませんので、30代からビザだけ取得したい方にはS-MM2Hビザは適しません。
30代の方は、居住場所によってお子さんの教育機関がサラワク州に指定されてしまうため、サラワク州に通わせたいインター校などがある場合以外はあまりおすすめできません。サラワク州に通わせたいインター校などがある場合には適しているでしょう。
4-2 経済的証明の比較
MM2HビザとS-MM2Hビザの比較対象となる1番のポイントは経済的証明です。財産証明が30〜50歳未満で比較するとRM20万もの差もあるため、S-MM2Hビザの方が比較的に条件が緩いのが特徴です。
4-3 更新条件
MM2Hビザは、取得後は10年後に原則的に更新が可能となっていますが、S-MM2Hビザは更新期間は、5年+5年となっているため最大10年が設定されています。そのため、準永住権の位置付けではないため注意が必要です。また、更新の際にはサラワク州に年間15日の滞在義務もあるためその点も注意が必要です。
5 「S-MM2Hビザ」のまとめ
2020年10月現在、MM2Hビザが新規受付停止状態となっているため、今後どのようになるかは不透明ですが、50歳未満の方はMM2Hビザの方に人気が集まり、50歳以上の方はS-MM2Hビザに人気が集まると思われます。
マレーシア移住を考えられている方は、年齢によってメリット・デメリットが違うので、どちらの長期滞在用ビザを選ぶか参考にしてみてはいかがでしょうか。