青い海と白い砂浜をあわせ持つアジア屈指のリゾート地をはじめ、歴史に育まれた豊かな文化、誰もが病みつきになる郷土料理、人懐っこい親日家の人々、そして何をするにもリーズナブル、とタイの魅力は簡単には語りつくせません。

多くの外国人がタイで不動産を購入し、より質の高い生活やリタイア後のセカンドライフを始めたことは驚くべきことではありません。また、タイでの不動産投資を考え、タイの不動産事情についてもっと知りたいと思っている方も多いでしょう。

今回は、そんなタイにおける不動産投資に関して知っておきたいメリットやデメリットをはじめ、購入の規制、価格、購入手順など、タイ不動産投資の基本的な内容について解説していきます。

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日本人在住者7.8万人!日本人が多く移住している国第4位!

通称「タイ」と呼ばれるタイ王国は、東南アジアに位置する君主制国家です。インドシナ半島中央部とマレー半島北部を国土とし、南はマレーシア、東はカンボジア、北はラオス、西はミャンマーと国境を接しています。

日本とタイは歴史的に関わりが深く、交流の始まりは600年以上前の御朱印船による貿易時代にまでさかのぼるといわれています。外務省が出している2022年度海外在留邦人数調査統計※1によると、国別で在留邦人数を見たときにタイは、「米国」「中国」「オーストラリア」に続く第4位で、在留邦人数は78,431人と大人気の滞在先です。

また、日産自動車やホンダ、トヨタ、いすゞ、日野自動車、ダイキンなど、5,800社以上の企業がタイに進出※2(2021年時点)しており、関税特典があるASEAN諸国内への輸出拠点として活用しています。

では、以下にタイの基本情報を紹介していきましょう。

面積約51万4,000平方キロメートル(⽇本の面積の約1.4倍)
⼈⼝6,609万人※3
⾸都バンコク
⺠族大半がタイ族で占められており、その他は華人、マレー族など
言語タイ語
宗教仏教94%、イスラム教5%、その他1%
産業農業(米、天然ゴム、穀物)、製造業(自動車、電子機器)、観光業など
通貨1バーツ=4.2円(2023年8月29日時点)
GDP4,952億米ドル※3
一人当たりGDP7,089.7米ドル※3
経済成長率2.6%※3
在留邦人数78,431人※3

タイ不動産投資のメリット

不動産投資先として人気のタイですが、なぜタイが選ばれるのでしょうか。

ここではタイ不動産投資が持つ5つのメリットを紹介いたします。

①インカムゲイン、キャピタルゲインを狙える投資が可能

タイの2022年の名目GDPは約4,952億ドルで、ASEANのなかではインドネシアに次いで第2位の経済規模となっています。また、ASEAN主要6ヶ国のなかで、タイのみが2023年第一四半期のGDP成長率が前期を超えています。※4

安定した経済成長に伴う国民所得水準の向上により、中間所得層の拡大がみこまれており住宅需要の増加が予測されています。

また、東南アジア最多の在留邦人国でもあるため日本人への賃貸需要が安定的に望める点も大きなメリットです。

参照:国土交通省(2023)※5,Bank of Thailand (2023)※6を基に作成

そして、日本とタイの不動産価格指数を比較すると、日本よりもタイのほうが価格の上昇幅が大きくキャピタルゲインを狙うことが可能となっています。

②税金などのコストが日本と比較して安価

タイではキャピタルゲイン税が低額であったり、賃貸収入を得た際に支払う必要がある所得税が15万バーツ(約63万円)まで免税であったりと、日本と比較し不動産関連の税金を安価に済ませることができます。また、タイでは2020年の1月から土地家屋税(日本でいう固定資産税)が90%引き下げられています。

タイ不動産投資に関する税金について詳しく知りたい方はこちら
>>>タイで外国人が不動産を購入する時に知っておくべき、規制と税金のポイント

③少額からの投資が可能

マレーシアなど、国によっては外国人の不動産購入に最低価格基準が設けられている場合がありますが、タイでは最低価格基準がありません。

そのため、予算に合わせた物件選びが行いやすいというメリットがあります。

④先進国並みの鉄道網が建設中

タイでは首都バンコクを中心として交通インフラの整備が急ピッチで進んでいます。なお、急速な都市化による、バンコク中心部における渋滞は解決すべき課題の1つです。

渋滞緩和のため、先進国並みの高架鉄道(BTS)や地下鉄(MRT)などの拡張工事が行なわれており、走行距離は2016年時点の約6倍となる515.3kmにまで達する予定(2029年)となっています。

鉄道網の整備によって新しい駅も増えており、新しい駅の周辺では住宅需要が喚起されることもタイ不動産投資に期待を持てるポイントの1つです。

⑤ASEAN経済統合でハブ拠点に

東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合に、巨大経済圏「ASEAN経済共同体(AEC)」が誕生し、関税の撤廃や観光ビザの廃止、外資出資規制の緩和などによる経済活動の活発化が期待されています。

なかでもタイは、ASEAN経済圏の産業や物流のハブ地として、大きな恩恵を受ける国のひとつとなると言われています。

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タイ不動産投資で注意しておきたいデメリット

メリットだけでなくデメリットについても理解した上で不動産投資を検討することが大事です。

ここでは、タイ不動産投資におけるデメリットを3つ紹介します。

①現地の銀行ローンの利息が高い

現地タイの銀行で融資を受けることはできますが、2023年時点では利息が日本よりも高くなっています。ただし、日本の金融機関と提携があるエージェントとの取引では住宅ローンの活用も可能です。

②情報量が少ない

先進国と比べて不動産に関する情報量が少ないのがデメリットの1つですが、現地エージェントと提携がある日系エージェントなどに相談することで、情報収集は可能です。

>>>人気投資エリアや法規制をまるっと解説|タイ不動産ガイド

③為替変動の影響を受けることがある

2022年時点の日本のインフレ率が2.5%なのに対し、タイのインフレ率は6.1%と倍以上となっています。※7

そのため、物件価格は上昇しても、為替差損で損失を被る可能性があるため、売却のタイミングは為替動向も見て判断するのがベターです。

タイ不動産の売却をお考えの方はこちらも併せてご覧ください
>>>タイで不動産を売却するための6つのステップ

タイ不動産の価格推移

Bank of Thailandによると、戸建て住宅指数(土地含む)は2012年から2022年にかけての10年で約1.5倍に上昇しています。

しかし、タイでは外国人による土地購入が基本的に許されていません。そのため、ここではタイ不動産投資の主な対象であるバンコクエリアのコンドミニアムの価格推移を同エリアの土地価格の推移と比較しながら解説します。

バンコクエリアの不動産価格推移(コンドミニアム)

まずは、バンコクエリアのコンドミニアムの価格推移から見ていきましょう。

参照:Bank of Thailand (2023)※6を基に作成

バンコクエリアのコンドミニアムの価格指数を確認すると、2011年から2022年にかけて、2倍近く上昇していることがわかります。

2020年2月に始まるコロナショックによる世界的な経済が落ち込んだ際にも、グラフは堅調に上昇しています。

タイにおける土地価格の推移

次にバンコクエリアの土地価格を確認しましょう。


参照:Bank of Thailand (2023)※6を基に作成

バンコクエリアの土地価格指数は2016年〜2019年に踊り場に入っておりますが、2019年以降はバンコクエリアのコンドミニアム価格指数と同様に上昇トレンドに入っています。

タイ不動産投資の失敗例とリスク

投資先として人気のタイ不動産ですが、日本の不動産投資では考えられないリスクがあります。トラブルを避けるには、失敗例とリスクをしっかりと理解しておく必要があります。

不動産会社の選定に関するリスク

タイを含む新興国では、不動産値上がりの期待が大きいことから海外のデベロッパーが進出してくることも少なくありません。また、経済成長や市場の拡大に伴って新しい不動産会社も数多く設立されています。

しかし、日本人の個人投資家が海外のデベロッパーについて背景を把握するのは難しいものです。
海外の情報は英語をはじめとした外国語を読解する必要があるほか、web検索をしても詳しいことまではわからないケースが多くなります。

そのため、タイ不動産投資で物件を選ぶときには、タイ国内でトップクラスのデベロッパーまたは海外で上場している不動産会社が分譲している物件を選ぶのが安全です。

現地の中小デベロッパーが分譲した物件などを選ぶと、物件の仕上がりが雑で賃貸に出せないなどの失敗にもつながります。そのほか、そもそも物件が完成せずに引渡しを受けられない失敗にもつながりかねません。

プレビルドの竣工リスク

タイを含む新興国では、完成前の段階で販売されている物件も多いものです。完成前の投資用物件のことを「プレビルド」と呼びます。

プレビルドの物件を購入する場合は竣工リスクに要注意です。竣工リスクとは物件の建設工事が完了せずに引渡しを受けられないリスクのことを指します。工事が中断されてしまった場合は、物件の引渡しを受けられないだけではなく手付金など支払い済の資金が返金されないなどの失敗につながります。

タイ不動産投資でも、プレビルドの物件は数多く販売されているため、不動産会社と物件の見極めは重要なポイントです。

双方について詳しく調べるためには、タイ不動産投資に精通した不動産エージェントの協力を得ることが重要になります。

入居者が入らずに失敗

投資用不動産を購入し、日本に住みながら管理、賃貸付けをするのであれば、信用のおける管理会社を見つける必要があります。条件のいい物件でも、入居者が入らないと家賃収入を得られません。

日本国内の不動産投資と比較すると、海外不動産投資では特に管理会社選びが重要になります。管理会社選びに失敗すると、入居者募集がうまくいかずに空室続きで赤字が拡大する点に要注意です。

日本から海外現地へは気軽に行けないため、海外不動産投資では現地の不動産会社から見て物件オーナーが遠い存在になりがちです。結果的に対応を放置されて損失が拡大することにもなります。
空室続きで損失が拡大する場合は、物件を売却してコストの発生をなくすことも1つの方法です。

しかし、海外不動産の売却には時間がかかることも多く、空室が長期化すると多くの赤字が積み重なることにもなってしまいます。

賃貸管理を委託する会社としては、日本人が現地で経営している不動産会社を選ぶのが安心です。すでに解説したとおり、タイ現地に住む日本人は多いため、現地で営業している不動産会社も少なくありません。

タイ人は日本人よりもゆったりとした気質を持っているため、現地のタイ人に管理を任せていると、対応やレスポンスのスピードにストレスを感じることもあります。

タイ不動産投資におすすめのエリア4選

タイで不動産投資を行う際にエリア選びはとても重要です。タイは、国際都市のバンコクや世界屈指のリゾート地、世界有数の日本人街など、エリアごとに特色がはっきりしています。

ここでは、代表的な4つのエリアを紹介します。

国際都市へと成長を遂げたタイの首都「バンコク」

タイの首都バンコクは、大都会のにぎわいとおごそかな仏教文化が調和した都市です。

タイの政治、経済、文化の中心地であるほか、近年は「東南アジアのハブ」と称される国際都市へと発展を遂げています。観光はもちろん、不動産投資の市場としても人気が高い街です。

また、バンコクは熱帯に位置しているため、年間を通じて最高気温は33℃前後、最低気温は20℃~25℃を保っています。

季節は3つに分かれており、5月~10月にかけて蒸し暑い雨季、11月~2月の涼しく過ごしやすい乾季、そして2月~5月にかけては雨があまり降らず非常に高温となる暑期となっています。

世界有数の日本人街「シラチャ」

「タイの日本人街」と称されるシラチャ。中心地はタイランド湾に面し、東側には山岳地帯が広がっています。

県庁所在地チョンブリーと高級リゾート地パタヤの中間に位置し、首都バンコクから車で約2時間。地元スワンナプーム国際空港からは1時間20分程度の距離にある、人口約22万人という小規模の街です。1990年以前は漁村でしたが、現在は農業と工業が主要産業です。

三菱電機、ブリジストン、住友鉄鋼など多数の日本企業進出により、世界でも有数の日本人居住街として発展し続けており、特に日本人への賃貸需要が安定的に望めるエリアといえるでしょう。

気候は乾期(11月~3月)、暑期(4月~5月)、雨期(6月~10月)に分けられ、最も過ごしやすいのは乾期で、気温が20〜30℃、湿度が50%程度で避暑には最適でしょう。

世界有数のリゾート地、アンダマン海の真珠「プーケット」

バンコクから南へ約860キロに位置し、タイ南部にあるアンダマン海に面するタイ最大の島、プーケット。

世界屈指のリゾート地で、一年を通じてマリンスポーツやゴルフが楽しむことができ、東南アジアからはもちろん、世界中の観光客を魅了しています。

近年は中国人投資家による不動産需要が高まっており、その他の外国人やタイ人富裕層とともに、不動産投資に拍車をかけています。海に近ければ近いほど不動産需要が高く、不動産価格も上昇傾向にあります。

観光客に人気のビーチリゾートやマリンスポーツのほか、島内の約8割を占める山地ではトレッキングやマウンテンバイクなども楽しめます。

また、プーケットで最もにぎやかなパトン・ビーチでは、エンターテイメントやショッピングなどの施設が続々とオープンしており、タウンライフも満喫できます。

プーケットの乾期は11月~3月で、4月~5月が暑期、6月~10月が雨期。乾期から暑期にかけての気候がベターで、マリンスポーツにはこの時期が適しています。一方、雨期はスコールの季節ですが、一日中雨が降り続くことはありません。

“北方のバラ”の異名を持つ、タイの古都「チェンマイ」

バンコクから北へ約720キロメートル。タイ第2の都市チェンマイは「北方のバラ」とも称され、1296年以来続く美しい古都です。チェンマイは王国の首都として古くから発展し、現在でもタイ北部の文化・経済の中心地です。

手工芸が盛んでタイ芸術の拠点となっているほか、観光地としても人気が高く、周辺はタイ最高峰ドイ・インタノンをはじめとした山々による緑豊かな山岳地帯となっており、トレッキングの拠点としても知られています。

また、隣接するランプーン工業団地に勤務する駐在員など、多くの日本人が居住しています。その数およそ3,000名です。日本人補習校もあるほか、リタイア後の長期滞在先としても人気があるため、日本人に対しての賃貸需要が望めるでしょう。

乾季は11月~1月です。平均気温が約25℃と過ごしやすいことから避暑地としても人気があります。

まとめ

タイの不動産投資に関して知っておきたいメリットやデメリットをはじめ、購入の規制、価格、購入手順など、タイ不動産投資の基本的な内容について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

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※1:外務省「海外在留邦人数調査統計

※2:JETRO日本貿易振興機構(ジェトロ)「タイ日系企業進出動向調査

※3:外務省「タイ基礎データ

※4:JETRO日本貿易振興機構(ジェトロ)「ビジネス短信

※5:国土交通省「不動産価格指数

※6:Bank of Thailand「Residential Property Price Index

※7:国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook Database