タイで不動産を売却する場合日本とは税金・法律・商習慣も違うので、損をしないように、基本知識を身につけておくのが重要です。今回はタイで不動産売却をする場合知っておくべき税金のお話と、実際にどのように売却が進んでいくのかという過程について解説します。

タイで不動産を売却する際にかかる税金

タイでは買い主と売り主の税金、諸費用の負担割合に関しての法律はなく、売り主が全額負担なのか、買い主全額負担なのか、それとも折半なのか、交渉によって決まります。

売却時にかかる税金

タイでは、地価に応じて政府から物件の評価額が算定されます。登記費用は、所有権移転時登記申請に係る費用としてこの政府評価価格の2%がかかります。

また、印紙税は売買価格または政府評価価格の高いほうの0.5%です。(特定事業税が適用される場合は不要です)

売却の利益に関する税金

不動産を売却した利益に対しては、源泉徴収税と特別事業税の2つの税がかかります。このうち特別事業税については、売却価格または政府評価額の高いほうの3.3%にかかります。しかし、これは購入から5年以内に売却する場合のみにかかる税金ですので、売却のタイミングはこの特別事業税を考慮する必要があります。

源泉徴収税については、所有年数と金額により税率が、売却価格または政府評価額の高い方の額に対して5~35%になります。

課税所得税率最大課税額最大累計税額
0~15万バーツ免税(2008年以降)
15万超~30万バーツ5%7,500バーツ7,500バーツ
30万超~50万バーツ10%2万バーツ2万7500バーツ
50万超~75万バーツ15%3万7,500バーツ6万5千バーツ
75万超~100万バーツ20%5万バーツ11万5千バーツ
100万超~200万バーツ25%25万バーツ36万5千バーツ
200万超~500万バーツ30%90万バーツ126万5千バーツ
500万超バーツ35%

タイの不動産の税金についての詳しい説明については「 タイで外国人が不動産を購入する時に知っておくべき、規制と税金のポイント」もご覧ください。

タイで不動産を売却するための6つのステップ

1.物件の売却査定をする


自分の所有物件を売却しようとなった際にはお持ちのコンドミニアムを売却するにあたって、まずは売却額を算定しなければなりません。

先述しましたが、タイでは、地価に応じて政府から物件の評価額が算定されます。しかし実際に売却する際には、この評価額に縛られず、オーナー側で自由に売却額を決めることができます。

適切な売却額を設定するためには、同じコンドミニアムで売却された部屋はいくらだったのか、相場を調べてみましょう。複数の不動産仲介業者に査定をしてもらうのもいいでしょう。

SEKAI PROPERTYでは、タイの不動産売却査定も行っておりますので、ぜひご相談下さい。

タイ不動産の売却相談をする

2.自分で売却するのか、不動産会社に依頼するかを決める

タイでは不動産を取り扱うための免許がないため、個人間での不動産売買というのも盛んに行われています。不動産仲介業者に依頼すると売却額の3%~5%ほどの手数料がかかるため、自分で全部やってしまおうという人も多いようです。

しかし個人売買は、広告から内見の予約、契約書の作成に至るまですべて自分でやらなければならないので、外国人にはかなりハードルが高いでしょう。

そのため、信頼できる不動産仲介業者を見つけることができたら、代行依頼するほうがトラブルも少なくスムーズに売却を進めることができるでしょう。

3.信頼のおける仲介業者を見極める

タイには多くの現地の個人仲介業者や日系や他の外国の不動産会社がありますが、大きな金額を動かす契約になりますので、依頼するなら信頼のおける業者を探さなければなりません。

手数料が安いからと依頼したら、全然動いてくれない、今どうなっているのか情報が来ないということはよくあります。そのため、実績があり、集客力がある業者を選ぶことが大切です。

4.広告をする


タイは不動産の売却に張り紙というのがポピュラーな広告手法です。実際に、売却したい物件の窓やコンドミニアムの外壁などに、広告が貼ってあるという光景をよく見受けます。

個人で売却をしたい場合、とても有効な手段でしょう。また、個人で広告を打つ場合、インターネットの不動産売買のポータルサイトへの登録や、FacebookやTwitterに自分の所有物件の写真を載せて宣伝するということもよくあるようです。

不動産仲介業者に依頼した場合は仲介業者に広告をしてもらえまずが、自社や関連会社のネットワークを駆使して宣伝してくれるところもあれば、張り紙を貼って終わりというようなやる気のない業者までバラツキがあるようです。

5.契約を結ぶ

内見が終わり、売りたい物件を気に入ってもらえたら契約に移ります。こちらも仲介業者にお願いしている場合、すべて代行してもらえるため、言われた書類を出すだけでいいのですが、自分で買い手と直接契約する場合、以下のものが必要になります。

  • コンドミニアムの不動産権利証書
  • パスポートまたはIDカード
  • 該当する場合は戸籍登録書( Tabien Baan )
  • 該当する場合、婚姻または離婚証明書
  • 不動産に関連する税金、保証および文書
  • 購入契約書
  • 該当する場合は委任状
  • 銀行からの外国為替転送フォーム
  • 外国人所有のコンドミニアムの割合が49%未満であることを示す文書

これだけのものを個人で全部準備するのはやはり大変ですね。

それから、タイでは中古物件の売買では売り主と買い主の個人間でローンを組むということもよくあるようです。物件を買った人が、毎月一定額、利子を乗せて売り主に支払っていくそうで、そこにローン会社は存在しません。

ローンが完済するまではその物件の所有名義は売り主になるそうなのですが、それでもやはり、こんな契約も個人で行うのは日本人には馴染みがなさすぎて、少し難しい気がします。

6.登記手続きをする

売買が成立した後は登記を行います。(ローンの場合、ローンが完済したあとから登記を書き換えます)

登記の際には登記費用の印紙税(売却額の2%)と特別事業税(建物評価額または売却額の3.3%)・源泉徴収課税がかかります。

まとめ

タイで不動産を売却する際の流れについてまとめてみましたが、やはり、外国人がタイで不動産を個人で売却するのは労力がかかりすぎて無理があるように思います。自身でもしっかり調査・勉強したうえで、信頼できる不動産仲介業者を探すことが、タイでの不動産をスムーズに売却する上でのポイントになってくるのではないでしょうか。