マレーシアの「イスカンダル計画」の一環として、マレーシア・シンガポール両政府の共同開発としてスタートした高速輸送システム(RTS)。しかしマレーシア側の巨額政府債務等を理由に、その開発は延期となっていた。
6月に行われた「Women in Rail Malaysia Conference」でマレーシアの運輸省長官は、「9月末までにRTS開発に関する良いニュースがお届けできると思う。」という旨の発言を行った。しかし詳細については、明らかになっていないという。
マレーシア・シンガポール両政府は、当初40億リンギット(約1,050億円)と見積もられていた開発費を削減するため、プロジェクトの見直しを行うことに合意している。
予定されているRTSは、シンガポール側MRTトムソン・イーストコースト線の終着駅であるウッドランド・ノース駅とマレーシア側ジョホール州ブキチャガー地区間の4kmを結ぶ計画であり、完成すれば1時間あたり1万人の乗客の輸送が可能となる。開通後はRTSが両国をつなぐ大きな役割を果たすことになり、通勤やショッピング等、ジョホールバル居住者の利便性は格段に上がると思われる。
マレーシア政府は、2018年9月~2020年5月まで保留予定とされていたクアラルンプールとシンガポール間350kmを結ぶ高速鉄道(HSR)の開発再開にも、前向きな姿勢を示している。
また中止となっていたマレーシア東海岸鉄道計画(ECRL)についても、7月25日に再開される予定だという。ECRL開発においては、中国国有の中国交通建設(CCCC)が請け負っているが、土木工事におけるマレーシア側の参画率が30%から40%に引き上げられるなど、マレーシア側も大きな役割を占めるようになる。
プロジェクト規模は予定より縮小され、開発費は660億リンギット(約1兆7,330億円)から440億リンギット(約1兆1,550億円)へ削減され、走行距離も当初の688kmから40kmほどカットされた。しかし鉄道網と港を結ぶことで、鉄道沿いの地域における工業化が促進され、マレーシアの経済向上にもつながると期待されている。
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