「海外に比べれば日本は安全で平和、住みやすさなら日本が一番でしょ」安心・安全という単語に引っ張られ、日本が世界で最も住みやすい国という認識を持っている方は、そろそろ考えを改めた方がよさそうです。2019年の「外国人駐在員にとっての住みやすさランキング」(HSBC銀行調べ)では、33ヵ国中、日本はなんと32位。安心・安全だけでは測れない“住みやすさ”とは何なのか。ここでは日本にはない住みやすさを持つ2019年トップ5の国をご紹介します。

1 第5位 ニュージーランド

1-1 世界第2位の治安の良さ

まずニュージーランドを移住先に推せる理由として挙げられるのが、世界屈指の治安の良さです。2018年6月に発表された 「世界平和度指数(GPI:Global Peace Index) 2018」(国際シンクタンク経済平和研究所調べ)では、163カ国・地域の中で2番目に位置付けされるほど治安の良い国とされています。ちなみに日本は9位でした。テロなどの脅威が世界中で叫ばれるなか、ニュージーランドで危険を感じることは少ないというのが多くの人の意見です。また、日本に対する偏見がないことも安心材料としては大きいでしょう。ニュージーランドの共通語が英語なため、外国語が苦手な日本人でも比較的対応しやすい環境があること。さらに現地で働く日本人のホスピタリティが、ニュージーランドのサービスを向上させているという意見があることから、日本人の移住者に対して好意的に見る人が多いようです。 

1-2 社会保障が手厚く余計な税金の支払いがないく参入

ニュージーランドは社会保障制度がとても充実しています。事故やケガの医療費を負担するACCという傷害保障制度は、給与や国の財源を基とする基金による社会保険制度です。業務中の事故やケガだけでなく交通事故、スポーツによるケガなど、治療費に加えて生活補償など幅広い人身被害を、ニュージーランド国民に限らず滞在中の外国人も補償してくれます。また10年間消費税15%を支払うことで、住んでいるだけで受給できる年金制度には掛け金や支払期限はありません。税金関係で言えば、給与から差し引かれる所得税以外に差し引かれる税金がないことも住みやすさを感じる理由と言えるでしょう。

2 第4位 スペイン

2-1 温暖な気候と自然災害の少なさ

大方のイメージ通りスペインの気候の良さは特筆すべき移住のポイントでしょう。国全体で気候の良さが目立つスペインでも地中海に面している都市は、一年を通して温暖な気候を維持しています。日本のようにジメジメした夏を過ごすことはありません。特に夏場は日照時間が長く21時半ごろまで明るいのが当たり前。遅い時間でも明るいため外で元気よく遊ぶ子供の姿が目立ちます。もうひとつ日本との大きな違いは、自然災害が少ないこと。地域によっては山火事や竜巻がごく稀に発生することはありますが、毎年のように台風や地震の被害に合っている日本に比べれば、自然災害で頭を悩ますことはありません。

2-2 子供が喜ぶ漫画をテーマにしたアトラクション

スペインは日本と違い市場文化が根付いています。毎日あるいは週に一度開かれる市場では、街の店舗より安い値段で新鮮な野菜、果物、海鮮、肉を手に入れることができます。市場は単にコスパが良いだけでなく地域の社交場としての側面もあるため、地域に溶け込むには最適な場所と言えるでしょう。こうした社交場があることからもスペイン人は陽気で情熱的、友好的で親切な人が多く小さな事は気にしません。オンとオフをきっちり分けて生活しているため日本にいるよりストレスを感じない移住者も多くいます。こうした生活スタイルのためか、スペインは長期休暇の取得が当たり前。法律できちんと定められています。メリハリをつけて生活したい方には最適かもしれません。 

3 第3位 カナダ

3-1 オープンで寛大、人を受け入れる国民性

文化的に多様なカナダは、物事をオープンに受け入れて寛大な心で接する国民性が特徴です。そのため現地の文化に溶け込みたいと考えている人には特にカナダはお勧めです。人と話すことに抵抗がなく、初対面の人とでも他愛のない話の出来る国民性は日本とは真逆と言えるでしょう。街では誰ともなく扉を開けてくれたり、バスの中でベビーカーや車いすの人に自然と席を譲る風景は珍しいことではありません。困っている人を助けることが当たり前という認識なんです。また、移民者や多民族が多いことから拙い英語でもきちんと耳を傾けてくれます。多くの日本人移住者が現地で友人が出来たと喜んでいることからも、カナダの人を受け入れる文化が素晴らしいことが分かるでしょう。

 3-2 残業がほとんどなく働きやすい

カナダで働く日本人の多くが驚くことのひとつが、残業がほとんどないことです。ほぼ定時で変えることができるため、プライベートや家族との時間を大切にできる暮らしを実現できます。また、多様な人種の人々が共に働く環境が当たり前のため、小さなミスで人を責めることはほとんどありません。言葉がわからなくとも「大丈夫」と笑って許してくれます。また州などによって変わりますが、カナダには医療費が無料の州があります。医療はすべての人が平等に受けるべきものという国の考えに基づいているためです。加えてアメリカまで主要都市から車で1、2時間の移動距離にあることもカナダならではの良さと言えるでしょう。

4 第2位 シンガポール

4-1 日本文化が根付いていることの暮らしやすさ

3万5000とも6000とも言われるほど多くの日本人が駐在しているシンガポールは、日本文化に対してとても寛容なため、初めて海外に移住する人には非常に住みやすい国と言えるでしょう。1000店を超える日本食レストランが、オーチャード通りや日本人街のリバーバレーに集中しているため、海外で日本食を食べたくなっても安心です。品質も高く、日本と差ほど変わらない味を堪能できる国は決して多くありません。食文化以外でも映画や音楽、アニメ、ファッションなど日本文化が広く受け入れられています。伊勢丹や明治屋といった日系デパートやスーパーも出店しており、日本の食材を現地で購入することが出来ます。言葉の面でも「シングリッシュ」と呼ばれる崩した英語を話すため、きちんとした英語が話せない人でもあまり不自由を感じることなく生活できます。

4-2 自然災害や治安に悩まない安心感

シンガポールは自然災害のほとんどない国としても有名です。台風や地震のないコトに加えて、都並は10年に1度それも数センチ程度とほぼ影響はありません。「スコールはあるでしょう?」という方も安心してください。スコールが土砂災害につながるケースもほぼないと言って差し支えありません。年間平均気温は26~27℃、最高気温は32~33℃と赤道直下の影響を受けた熱帯性気候ではありますが、海からの風が吹き込んでいることから日本の夏よりも過ごしやすいという人が多くいます。また、世界屈指の治安の良さを誇ります。夜でも女性が1人で歩けるほど安全かつ失業率は2%前後と、完全雇用に近い水準を長年維持しています。

5 第1位スイス

5-1 SKSグループによる新たな生活スタイルの提案

スイスが移住者にとって住みやすい国として人気のある理由のひとつが、よりよい就業環境と健全な給与を得られるバランスの良さです。スイス在住の海外移住者の内25%が年収2000万円以上を得ており、半数以上がスイスに移住してからの方が仕事と生活のバランスが良くなったと回答しています。また、47%の人が地域の経済状況に満足していると答えていることからも地域格差の少ない健全な社会が形成されていると言えるでしょう。

5-2 ショッピングだけじゃない安全でモダンな生活空間

治安の良さもスイスの特徴です。ある調査ではスイスで暮らす駐在員にアンケートを取ったところ、97%の人が「スイスは安全」と答えています。加えて、空気や環境の良さについても75%の人が母国より優れていると答えた他、子育てに対する安全性についても81%の人が納得し、教育に関しては65%の人が優れた教育を受けさせることができると答えています。ちなみに、住みやすい都市ランキングにおいてもスイスは、ジュネーブ、バーゼル、ベルンが上位にランクインしています。経済、安全性、教育などさまざまな面でバランスの取れた住みやすい国というのがスイスを1位に推す理由となるようです。

まとめ

ここで挙げた「住みやすい国ベスト5」に入った国々は、日本にはない暮らしやすさを持っている国ばかりです。だからと言って一概にこれらすべての国が自分に合っているというのは早計です。日本では難しい納得のいく生活を実現するために、自分に合った国を慎重に選ぶこと。それが海外移住を成功させるために最も大切なことなのです。あなたに合った、あなたが本当に実現したい暮らしに相応しい国はどこなのか。文化や制度、国民性など、さまざまな観点からその国を紐解いて見ると良いと思いますよ。

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