2020-03-24

シンガポール、マレーシア、投資先としてのそれぞれの魅力

  • 海外不動産ニュース

マレーシアのジョホールバルは、シンガポールから25km、電車で20~30分と最も近い外国都市である。しかし不動産市場となると、状況は異なるという。シンガポールは、香港に次いでアジアで2番目に住宅価格が高い国であるのに対し、マレーシアの物件は最もリーズナブルであると言われている。シンガポールの平均住宅価格は、1平方フィート当たり1,700ドル(約18.2万円)であるのに対し、マレーシアは平均143.3ドル(約1.5万円)である。

シンガポールは同じアジア圏内ということもあり、香港や中国の富裕層に人気の投資先であった。シンガポールの政治的・経済的安定性と商業ハブとしてのステータスを考慮すると、価格が高額になるのも厭わないとするバイヤーが多かったのだが、最近はマレーシアへの注目度が高まっているという。首都クアラルンプールやペナン州は、すでに香港投資家の間で「安全な投資先」として認知されているが、ジョホール州の州都ジョホールバルも投資先としての知名度を上げている。

香港情勢が悪化した昨年から、マレーシアのデベロッパーは積極的に新築物件の開発を進めており、香港バイヤーからの注目度も高まっている。キーとなるのは「リーズナブルな価格」と「フリーホールド(永久所有権)」である。シンガポールは、国土の大半が国有地であるため、ほとんどのコンドミニアムがリースホールド(定期借地権)であり、さらに同じ価格であればマレーシアより小さい物件しか手に入らない。

またシンガポールでは、外国人バイヤーは20%の追加印紙税が課されるが、マレーシアにはそのような課税制度はない。マレーシアのMM2H(Malaysia My Second Home)ビザの供給が受けられれば、家族をマレーシアに呼び寄せ、医療や教育などを受けることも可能となる。マレーシアでも中国語が多く使われているため、香港や中国人バイヤーにとっては生活しやすいというのも大きな利点であろう。

マレーシアでは住宅の供給過剰が問題となっていたが、ジョホールバルも例外ではなく、昨年5月には最も供給過剰が深刻な都市とされるほど状況は深刻化していた。しかし外国人の不動産購入下限額が100万リンギット(約2,500万円)から60万リンギット(約1,500万円)に引き下げられる措置が発表されたこともあり、特に安全な投資先を求めている香港バイヤーが増加することが考えられる。

一方のシンガポールにも利点はある。シンガポールの明確な法律や安定した通貨は、投資家にとっては魅力的である。また中国系が多くを占める人口構成や整備されたインフラ、高い生活基準などは、香港や中国人バイヤーを惹きつける要素となっている。

マレーシアの不動産購入下限額の引き下げ措置は、予算を抑えたいシンガポール人や高利回りの投資機会を求めている外国人バイヤーにとっては非常に魅力的であろう。しかしシンガポールとマレーシアは、それぞれ異なるタイプのバイヤーを獲得していると言える。シンガポールの物件を求めるバイヤーは、安定と堅調な伸びを求めており、それなり出費は厭わない。一方のマレーシアには、リスクは伴うものの、予算を抑えつつ高利回りが期待できる物件を求めるバイヤーが集まっているのである。

【参照】Just 25km from Singapore, Malaysia's Johor Bahru offers a financial bolt-hole for savvy Chinese and Hong Kong investors

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セカイプロパティ編集部
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