昨年、アジア・太平洋地域における住宅不動産への需要は大きな高まりを見せた。中国人バイヤーの関心も、欧米からアジア・太平洋地域へと方向転換をしているようだ。

大きな要因としては、中国の資本規制と人民元安が挙げられる。不安定な政治情勢やリスク等から、中国人バイヤーは、地理的に近く、また少ない資金で高利回りを得られる市場を求めるようになり、結果的にアジア・太平洋地域、特に東南アジアが注目されるようになった。

中国の大手不動産ポータルサイトJuwai.comによると、中国人バイヤーによるアジア・太平洋地域の物件に関する問い合わせは、2018年は10件に1件程度であったが、2019年は10件中6件に増加したという。

一方、アジア・太平洋地域以外の地域については、市場シェアは縮小傾向にある。アメリカの不動産に関する問い合わせは、2018年の35%から昨年は17%に減少している。ヨーロッパや中東、オセアニアについても、問い合わせ件数は半数以下に減少しているという。

年明け早々緊張感が高まっている中東の状況を鑑みると、2020年の世界情勢は、昨年よりもさらに不安定になると見て間違いないだろう。また昨今の複雑な米中関係下では、アメリカの不動産に対する需要が今後大きく伸びることも考えにくい。

マレーシアについては、供給過剰の問題を解消するため、外国人の不動産購入下限額の引き下げ等の対応が行われた。政策発表後は中国人バイヤーによる問い合わせも大幅に増えており、今後しばらくは熱い視線を集めることになるだろう。

【参照】Chinese real estate demand moving from the West to Asia

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セカイプロパティ編集部
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