マレーシア野党連合パカタン・ハラパン(Pakatan Harapan)は、「所得層で下位40%に相当する世帯「B40」向けの手頃な価格の物件を、今後10年以内に100万件建設する」という公約を掲げている。これまでのところ計画は順調に進んでいるようだ。
マレーシアの住宅・地方政府省長官によると、デベロッパーは30万リンギット(約800万円)より安い価格の住宅建設に意欲的な姿勢を見せており、現在までに39,864件のユニットが完成、181,211件が建設中、386,340件が計画段階にあるという。政府としては、今年中にさらに10万件のユニットを完成させたい考えだ。
マレーシアではその他にも、人民住宅プロジェクト(PPR:people’s housing project)や公務員住宅プロジェクト(PPAM:civil servant housing scheme)などの住宅開発プロジェクトが進められており、それぞれ5,000件近いユニットが今年中に完成する予定となっている。
デベロッパー側も手頃な価格の物件のニーズが高まっていることを理解しており、高級物件の建設は控えたいとする政府の要望に従っているという。
高級物件については、買い手がついていない物件も多く、供給過剰が問題となっているが、計画段階で適切なデータの活用ができず、需要と供給の間に大きなずれが生じてしまったことが原因だと考えられている。この問題に対処するため、政府は、地域や価格などによる需要に基づく情報を提供できるデータシステムの開発を行っており、今年中の完成が予定されている。
政府が進めている手頃な価格の物件については、快適さも重視されており、広さは900平方フィート(約83.6平方メートル)以上、レクリエーション施設やホールなども備えられている。
また住宅購入を促進するため、賃貸住宅に住み、気に入れば最終的に自己物件として所有が可能となるRTOスキーム(rent to own)など様々なプログラムも用意されている。これにより、金融機関からのローンが受けられないなど経済的問題がある人の住宅購入をサポートすることが可能となる。現在のRTOプロジェクトは、セランゴール州2件、クランタン州2件、クアラルンプール1件、ヌグリ・スンビラン州1件、ペナン州1件の計7件となっている。
【参照】1 mil affordable houses in 10 years achievable, says Zuraida
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