カンボジア・シアヌークビルでは、ここ数年中国人の多大な流入が取りざたされている。道端の屋台や床屋などの小規模事業から不動産、建設、ホテル、カジノなどの事業まで、その影響は様々な分野で見られる。

これまで右肩上がりであった土地や住宅、ホテルの価格だが、最近は減少傾向が見られるようになったという。

今年8月、カンボジア政府はオンライン・ギャンブルのライセンスについて新規発行・更新を行わないとする方針を発表した。既存のライセンスはそのまま有効となるが、ライセンス期間は1年間であるため、2020年8月には全面禁止となる。それを受け、シアヌークビルを後にする中国人が増えたことが大きく関係しているようだ。

政府の発表後、シアヌークビルの不動産市場は急激に下落し、新規建設のペースもスローダウンしている。

オンライン・ギャンブルの禁止令で、カンボジアを訪れる中国人観光客の数も減っている。観光客の減少で、今後の宿泊施設やレストランなどへ影響も避けられないだろう。

また賃貸用物件への投資のため、銀行から融資を受けている人には、かなり厳しい状況になることが考えられる。借り手がつかなければ、融資を返済することも不可能となる。

これまで中国人の流入に頭を悩ませてきたシアヌークビルだが、現在懸念されているのは中国人の流出である。カジノリゾートであるバヴェットやポイペトなどの都市では、今回のオンライン・ギャンブル禁止令から受ける影響は大きい。

中国系カジノは様々な犯罪の温床となっているのも事実で、今回の政府のオンライン・ギャンブルに対する方針自体は間違っていないと思われる。しかし今後のカンボジアにおける海外投資を遠ざけてしまう可能性もあるため、慎重な判断が必要とされる。

似たケースはフィリピンでも見られ、オンラインカジノについての規制が発表されたが、不動産市場などへの影響を考慮し、後日若干の調整が加えられたという。

【参照】Chinese nationals on the decline in Sihanoukville?

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セカイプロパティ編集部
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