カンザス州は手頃な物件価格と安定した賃貸需要があるため、不動産投資家にとって注目すべき地域です。特にウィチタやローレンス、カンザスシティといった都市部では投資のチャンスがあります。生活コストが低く、経済が安定しているため投資家にとって魅力的な環境が整っています。
本記事ではカンザス州の不動産市場の特徴や投資のメリット・デメリット、そしておすすめの投資エリアについて詳しく解説します。カンザス州での不動産投資を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
カンザスの概要
アメリカ中西部に位置するカンザス州は、広大な平原と豊かな農業資源を有する州です。全米でも有数の穀倉地帯として知られ、小麦やトウモロコシ、大豆などの生産が盛んです。
農業だけでなく、航空宇宙産業やエネルギー産業(特に風力発電)も発展が進んでおり、産業の多様化が進んでいます。また生活コストが比較的低く、雇用市場も安定しているため、住みやすい環境が特徴です。
州内には複数の大学や研究機関があり、教育や研究分野でも強みを持っています。主要都市では都市開発が進み、住宅市場に変化が見られるため、不動産投資の観点から見ても注目に値する州でしょう。
近年では特に、ウィチタやカンザスシティなどの都市部で人口が増加傾向にあります。商業施設の拡大や交通インフラの整備が進んだことで、不動産市場は活性化し、投資先としての魅力がさらに高まっています。
カンザス州は大陸性気候に属し、四季がはっきりしています。夏は非常に暑く、冬は氷点下になるなど寒暖差は極端です。そしてアメリカ人に「アメリカの田舎といえば?」と聞けば「カンザス」と答えるほど、田舎の象徴として知られています。
最近の動きとしては、2025年1月1日から食料品に対する州の売上税が完全に撤廃されました。
項目 | 概要 |
---|---|
人口 | 約297万人 |
言語 | 英語 |
宗教 | キリスト教が主流 |
主要産業 | 農業、製造業、航空産業、エネルギー産業 |
為替 | 1ドル=約150円(2025年3月時点) |
カンザス不動産投資のメリット
カンザスは初期投資の費用が低いことや高いキャッシュフローなど多くのメリットがあります。今回はその中から3つのポイントをご紹介します。
初期投資費用の低さ
カンザスは全米の主要都市と比べて不動産価格が割安で、少ない資本で投資を始められます。特にカンザスシティ周辺では、戸建て住宅や集合住宅を比較的安価で購入できるため、投資初心者にもおすすめのエリアです。
また都市の成長に伴い物件価格は緩やかに上昇しており、資産価値のさらなる増加が期待できます。他の州と比べ固定資産税が低めに設定されているため、維持費を抑えながら安定した収益確保が可能です。
州政府による住宅購入支援策や、低金利の住宅ローンを活用すればより有利な条件で物件を取得できます。
高いキャッシュフロー
カンザス州の住宅購入価格は低く、賃貸市場も安定しているため、高い利回りが期待できます。特にカンザスシティなどの主要都市では、経済成長に伴う人口増加で賃貸需要が高まっています。
平均的な投資物件の利回りは7〜10%とされ、他の大都市と比べても優れた収益が見込めます。州内には多くの大学や企業があり、学生や若手社会人向けの賃貸物件が人気です。
短期賃貸市場も活発で、企業の転勤者や旅行者向けに物件を運用することで収益をさらに伸ばすことも可能です。市場の安定性と高い賃貸需要は、投資家にとって安心材料となるでしょう。
経済成長とインフラ整備の進展
近年カンザス州では経済成長が続いているため、物流や製造業、IT、農業などの分野で新たな雇用が生まれています。特にカンザスシティでは、AmazonやGoogleといった大手企業が施設を拡充し、雇用の増加とともに住宅需要の上昇しています。
道路や公共交通機関の改善といったインフラ整備によって、都市の利便性も向上傾向です。州政府は再開発プロジェクトにも力を入れており、新しい商業施設や住宅エリアの建設も進められています。
これらの都市開発は今後の不動産市場の成長を後押しする要因となるでしょう。
カンザス不動産投資のデメリット・リスク
カンザス不動産投資にはデメリットやリスクがあることも事実です。以下で解説する3つのマイナス面に注意し不動産投資を検討しましょう。
市場の流動性の低さ
カンザスの不動産市場は比較的安定していますが、主要な投資都市と比べると人口規模が小さく、不動産の売買が頻繁に行われないため流動性が低い傾向にあります。そのため物件を売却しようとした際に買い手がすぐに見つからず、売却に時間がかかる可能性があります。
また物件の価値上昇スピードはニューヨークやロサンゼルスのような大都市ほど速くなく、短期間でキャピタルゲインを狙う投資家には向いていません。長期的な視点で安定した賃貸収入を得ることを目的に投資する必要があるため、売却益を重視する投資家にとってはデメリットと言えるでしょう。
天候リスクと自然災害
カンザス州は「トルネード・アレイ(Tornado Alley)」と呼ばれる地域の一部で、春から夏にかけて竜巻にさらされる危険があります。特に郊外や農村部の物件は強風や雷雨の影響を受けやすいため、保険代が高くなる場合もあります。
このような自然災害リスクは、長期的な不動産の維持管理コストを増やす要因となります。また冬には寒波や雪害が発生することがあり、物件の屋根や給排水設備が損傷する可能性が高まります。
これらの気候的な要因により修繕コストが増え、投資収益に影響を及ぼすことが少なくありません。投資を検討する際は自然災害のリスクを考慮し、適切な保険やメンテナンス計画を立てましょう。
賃貸需要の地域差
カンザス全体としては賃貸市場が安定していますが、エリアによって需要に大きな差があります。例えばカンザスシティやウィチタといった大都市圏では賃貸需要が高い一方で、郊外や地方のエリアでは空室率が上昇するリスクがあります。
特に人口減少が進む地域では、賃貸物件の借り手が見つかりにくくなるため、投資物件を選ぶ際は慎重な判断が重要です。また経済成長が鈍化すると、企業の撤退や雇用の減少が起こり、賃貸市場にも影響が出ることが予想されます。
そのためカンザスで不動産投資を行う際は、ターゲットエリアの経済状況や人口動向をしっかりと調査しましょう。
カンザスのおすすめ投資エリア3選
カンザスには特色の異なるエリアが点在しています。今回はカンザスでおすすめの不動産投資エリアを3つピックアップしてご紹介します。
1. ウィチタ
カンザス州最大の都市であるウィチタは「エアロスペース・キャピタル」として知られる航空産業の中心地です。ボーイングやスピリット・エアロシステムズをはじめとする航空関連企業が集結し、地域経済を支えています。
この産業基盤により技術者やエンジニアなど専門職が多く住み、安定した賃貸需要を生みだしています。またウィチタ州立大学があるため、学生向けの賃貸市場も活発です。
ダウンタウンでは再開発プロジェクトが進み、新しい商業施設や高級アパートメントが増加中です。低コストが比較的低く、将来的な物件価値の上昇も期待できるため、不動産投資に適したエリアといえるでしょう。
ウィチタは都会の便利さと田舎の穏やかさがちょうど良く混ざっているように感じます。産業がしっかりしているので仕事には困らず、しかし週末には自然の中でリフレッシュできます。1ベッドルームのアパートは約$700で、私が住むカリフォルニアの4分の1の価格です。生活費の安さに驚かされます。
2. ローレンス
カンザス大学の所在地として知られるローレンスは学術都市です。カンザス大学には約2万人の学生が在籍し、その多くが学内外の賃貸住宅を利用しています。そのため学生向けアパートやシェアハウスの需要が安定しており、長期的な賃貸収益が見込めます。
街にはカフェやレストラン、アートギャラリーなどが多く、若者やクリエイティブな人々が集まり活気があります。歴史的な建築物も多く残り、観光地として魅力的です。
交通アクセスも良く、カンザスシティまでは車で約40分。ローレンスは上品で優雅な雰囲気が漂っており、治安がいいことから落ち着いて学生生活を送るには最適な環境です。また神奈川県平塚市の姉妹都市でもあります。ローレンスの1ベッドルームは約$850で、アメリカの大学生は厳しい規則のある寮よりも、2〜3ベッドルームのアパートを数人でシェアすることが人気です。
3. カンザスシティ
カンザスシティはミズーリ州との州境に位置し、大都市圏の一部を形成しています。カンザス州側のカンザスシティは、手頃な価格で不動産を購入できる点が魅力です。
近年では都市開発が進み、ショッピングモールやオフィスビルが増加するなど、商業エリアとしての成長が期待されています。交通インフラの整備も進んでおり、ダウンタウンへのアクセスが向上しています。
住宅市場では特に新築のタウンハウスやコンドミニアムが人気で、投資家にとって魅力的な選択肢となっています。州境をまたいだ都市圏での経済活動が活発で、住宅価格の上昇が見込まれているため、長期的な資産運用を考えている投資家におすすめです。
カンザスシティには美術館や博物館、メジャーリーグの本拠地として有名なカウフマン・スタジアムがあります。不動産価格については物件によりますが、1ベッドルーム$800– $1,000、3ベッドルーム$ 1,600–$1,800と、アメリカの都会としては手頃な価格です。
まとめ
カンザス州の不動産市場は観光業の発展と企業進出を背景に、投資家にとって魅力的な環境が整っています。
不動産投資家にとって魅力と言えるメリットは以下の3つです。
- 初期投資費用の低さ
- 高いキャッシュフロー
- 経済成長とインフラ整備の進展
一方で、次のような課題もあるため、慎重な分析が必要です。
- 人口増加率の低さ
- 天候リスク
- 賃貸需要の地域差
慎重なリサーチを行いながら、適切なエリアと物件を選びましょう。
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