日本の住宅ローンを使って、海外不動産を購入したいと考えている方も多いのではないでしょうか。実際、日本の住宅ローンは国内物件に限定されているケースがほとんどですが、一部例外も存在します。

本記事では、日本の住宅ローンで海外不動産を購入する場合の方法や手続きを解説します。また、「海外在住者」が日本の住宅ローンを活用する方法や、メリット・デメリットなどを詳しく紹介していきます。

日本の住宅ローンで海外不動産は購入可能?

まずは、本記事の主題である「日本の住宅ローンで海外不動産は購入可能?」について解説します。

基本的に日本の住宅ローンで海外不動産は購入不可

基本的に、日本の金融機関が提供する住宅ローンは、基本的に国内の不動産購入を対象としています。これは担保としている物件が国内にあることが、金融機関における審査や資金回収の観点から重要であるためです。

結論としては、海外の物件に対して日本の金融機関が提供する住宅ローンは利用不可です。ただし、下記のように、例外として特定の銀行や特定条件下にて提供しています。

一部銀行で海外不動産向けの住宅ローンが利用可能

一部の日本の金融機関では、海外不動産を購入するためのローン商品を提供しています。主に高所得者や、高額な資産を持つ個人向けに設計されており、金利・条件が国内向けの住宅ローンに比べて厳しいです。

また、購入対象国や物件の種類によって利用の可否が異なるため、事前の調査が重要です。

東京スター銀行では、海外不動産購入向けに住宅ローンを提供しています。

項目概要
年利
0.95% ~ 4.00%(2024年現在)
期間
最長30年
対象国
全世界
海外居住者の利用
不可

出典:東京スター銀行 │ 【全世界型】海外不動産ローン

日本の不動産を担保することで資金が得られる

基本的に、上記の東京スター銀行以外で海外不動産向けの住宅ローンは取り扱っていませんが、「日本の不動産を担保」として資金を借り入れることが可能です。

この方法を利用すれば、実質的に海外不動産を購入するための資金を日本の住宅ローンで調達できます。ただし、日本の不動産を担保にして資金を獲得する方法についても、借り入れ先の金融機関との交渉や審査が必要です。

日本の住宅ローンで海外不動産を購入する手順

日本の住宅ローンを利用して海外不動産を購入するためには、どのような手順が必要なのでしょうか。具体的なプロセスを以下に解説します。

必要書類の準備と提出

海外不動産購入に必要な書類を準備し、金融機関に提出することが次のステップです。収入証明書や確定申告書、銀行口座の情報など、基本的な書類に加えて、購入予定の海外不動産に関する契約書や登記簿謄本も必要となります。

また、海外不動産特有の税金や法律に関する書類を整えるため、現地の専門家に相談することも重要です。これらの書類を全て正確に準備し、提出することで、審査が円滑に進む可能性が高くなります。

住宅ローンの審査と契約手続き

必要書類を提出した後は、金融機関による住宅ローンの審査が行われます。審査では、借入者の返済能力や購入予定の海外不動産の価値が評価されます。

そして、審査が通過した場合、金利や返済期間、返済方法などが記載された契約書に署名し、契約が成立します。また、海外不動産購入に関しては現地の法的手続きも絡むため、契約書に署名する際は現地の法律を遵守する必要があります。

「海外在住者」が日本の住宅ローンで海外不動産を購入する手続き

海外在住者が日本の住宅ローンを利用して海外不動産を購入するには、特有の手続きや条件を理解し、追加的な書類や手続きを行います。どのような手順を踏めばよいか確認しましょう。

海外在住者が利用可能な住宅ローンの確認

海外在住者向けの住宅ローンを取り扱う金融機関は限られており、外資系銀行や一部の大手銀行が対応しています。各銀行によって金利や融資条件が異なるため、複数の金融機関を比較することが重要です。

特に、日本国内に住んでいないことから、融資条件に特別な制約がある場合があります。海外在住者向けのローン商品を事前に調査し、自分に最適な金融機関を選ぶことが必要です。

住宅ローン申請に必要書類と翻訳のポイント

海外在住者は、国内在住者とは異なる書類を提出する必要があります。収入証明書や税務関連書類に加え、海外居住証明書や購入する海外不動産に関する書類も必要です。

提出する書類は、日本語での提出が求められることが多いため、正確な翻訳が重要です。翻訳は専門の翻訳機関に依頼し、品質を確保することが審査のスムーズな進行に繋がります。

海外在住者特有の審査基準と注意点

海外在住者の審査では、収入や資産状況の評価が厳しくなります。特に、為替リスクや海外での生活安定性が重要な評価項目となります。

また、金融機関によっては、返済能力に対する基準が高く設定されることがあります。日本語での連絡がスムーズに行えるかも審査に影響するため、事前に確認しておくことが重要です。

日本の住宅ローンで海外不動産を購入するメリット

日本の住宅ローンを利用して海外不動産を購入することには、さまざまなメリットがあります。低金利での資金調達や、日本国内の信頼性の高い金融機関を利用できる点、また外貨建てローンに比べて為替リスクが少ない点など、海外不動産購入を支援する重要な利点についてご紹介します。

低金利で資金を借りられる可能性

日本の住宅ローンは低金利で提供されているため、海外不動産購入においても資金調達が有利になります。一般的に欧米など他国の金融機関と比べ、金利が抑えられており、返済負担が軽減されます。

低金利であれば、長期的な返済計画が立てやすく、安定的に返済を進められます。特に、金利が固定されている場合、将来的な返済額を予測しやすく、計画的な資金管理が可能です。

日本国内の信頼できる金融機関を利用できる

日本の金融機関は、法的に規制されており、高い信頼性があります。海外の金融機関と比較して、安定したサービスを受けることが可能で、さらに契約内容も明確です。

万が一、住宅ローンに関するトラブルが発生した時にも、日本語による対応であるため、安心感を得られます。このように、契約後も長期的なサポートを受けやすくなるのがメリットです。

外貨建てローンに比べて為替リスクが少ない

日本の住宅ローンは円建てで返済が行われるため、為替リスクを避けられます。外貨建てローンでは、為替レートの変動により返済額が増えるリスクがありますが、円建てであれば、そもそもの為替リスク自体がありません。

為替リスクの回避により、安定した返済計画を立てやすくなります。また、長期的に予測可能な返済額が維持されるため、精神的にも安定することが可能です。

日本の住宅ローンで海外不動産を購入するデメリット

日本の住宅ローンを利用して海外不動産を購入することにはいくつかのデメリットがあります。特に、資金用途の制限や海外不動産向けのローン商品が少ないこと、手続きが複雑で時間がかかる点が挙げられます。

資金用途が制限される場合がある

日本の住宅ローンは通常、国内の住宅購入を目的としています。そのため、海外不動産の購入に対して資金用途が制限される場合があります。

また、金融機関によっては、海外不動産にローンを利用できない場合があり、事前に確認が必要です。資金用途に関する条件が厳格な場合、別途資金調達方法を検討しなければなりません。

海外不動産購入に特化したローンが少ない

冒頭でも解説したとおり、日本の金融機関が提供する住宅ローンは、主に国内不動産向けに設計されています。海外不動産購入に特化したローンは限られており、金利や条件が厳しくなることがあります。

また、金融機関によっては海外不動産に関する知識や経験が不足していることもあり、対応に時間がかかってしまいます。海外不動産向けの商品を見つけるのは難しいため、慎重な選定が求められます。

手続きが複雑で時間がかかる

日本の住宅ローンで海外不動産を購入する手続きは、国内の不動産購入と比べて複雑です。契約書類や物件調査の手間が増え、翻訳作業も必要になります。

申請手続きは時間がかかることが多く、銀行が提供するサポート体制によっては何回も繰り返し足を運ぶ可能性も考えられます。住宅ローンを借り入れるためには、十分な準備と計画が重要です。

日本の住宅ローンで海外不動産を購入する際によくある質問

最後に、日本の住宅ローンで海外不動産を購入する際によくある質問と回答をまとめます。

Q.日本の住宅ローンで海外不動産を購入する際に必要な頭金はどれくらい?

多くの金融機関では、住宅ローンの頭金として購入額の20~30%程度を求めることがありますが、海外不動産の場合、さらに高い割合を要求されることもあります。

これは海外不動産購入に対するリスクを考慮した結果です。具体的な頭金の額は金融機関や融資条件によって異なるため、事前に確認することが重要です。

Q.日本の住宅ローンで海外不動産購入をする場合、融資条件はどうなりますか?

住宅ローンを利用して海外不動産を購入する場合、融資条件が国内不動産購入とは異なることがあります。金融機関によっては、海外不動産購入に特化した商品がなく、融資の審査基準が厳しくなります。

また、購入物件の立地や評価額、返済計画に加え、海外での収入状況や資産状況が影響します。

Q.日本の住宅ローンで海外不動産購入後、返済はどのように行うか?

日本の住宅ローンを利用して海外不動産を購入した場合、返済は基本的に日本円で行われます。しかし、購入した不動産が外国通貨建ての場合、為替リスクが発生することがあります。

返済計画を立てる際には、為替の変動を考慮し、返済額に影響がないように慎重に管理することが求められます。

まとめ

基本的に、日本の住宅ローンは、日本国内の不動産を購入する際に適用可能で、海外不動産の購入に関しては適用外となります。ただし、一部金融機関にて海外不動産向けに住宅ローンを提供しているケースや、国内不動産を担保として融資を受けるという方法もあります。

なお、現時点で海外在住の方も日本の住宅ローンを申請できる場合もありますが、非常に煩雑な手続きが求められます。弊社を含む、海外不動産の取扱いに精通した事業者と相談し、スムーズに海外不動産を購入しましょう。