2021-09-30

フィリピン不動産購入に関わる規制・税金。物件選びの注意点も解説

  • 海外不動産コラム


フィリピン不動産投資に興味を持っている人の中には

「外国人は不動産を購入できるの?」

「税制はどうなっているの?」

ということが気になる人もいるのではないでしょうか。

そこで、フィリピンの不動産を外国人が購入する際の規制や税制に加えて、物件時の注意点などについて解説していきます。

フィリピンで外国人が不動産を購入する際の規制

フィリピンでは外国人も不動産を購入できますが、気を付けるべき規制が複数あります。

外国人は土地を購入できない

フィリピンでは、フィリピン国籍を持たない外国人による土地の所有が禁止されています。法人であれば所有できますが、資本の60%以上がフィリピン資本であることが条件です。

法人の主導権に関するリスクを考慮すると、フィリピン不動産投資のために法人を設立するのもあまり現実的とは言えません。

また、登記上は土地と同一に扱われるため、フィリピン国籍を持たない外国人は戸建ての購入も不可能です。

集合住宅であれば購入可能

集合住宅に関しては土地のような規制がなく、外国籍の人でもフィリピンのコンドミニアム(分譲マンション)やタウンハウス(低層の連棟式集合住宅)などを購入できます。

外国人は建物全体の40%まで所有できる

フィリピンのコンドミニアム法には、集合住宅の所有者についても外国人に関する規制があります。

集合住宅では土地が各戸所有者の共有物であるため、フィリピン人の主導権を強めることを目的として、外国人が所有者名義のユニットは、全戸数のうち39%までとされています。

フィリピンでは大規模なコンドミニアムも多数開発されていますが、外国人向けに販売されているユニット数は制限されることに要注意です。

なお、フィリピンでは外国人も物件を購入してから賃貸および転売できます。

外国人も住宅ローンを利用可能

数は少ないものの、外国人投資家にも住宅ローンを提供しているフィリピンの現地金融機関がいくつかあります。

日本の不動産投資ローンと比較すると必要な自己資金が多い点や返済期間が短い点などには要注意ですが、現地金融機関でローンを利用できれば為替リスクを軽減可能です。

フィリピンで不動産を購入・売却する時の諸費用・税金

フィリピンで不動産を購入・売却する時にかかる諸費用・税金は以下の通りです。

タイミング 税の区分 詳細
取得時 印紙税 物件売買価格、又は市場価格の1.5%
公証費用 市場価格の1~2%
地方譲渡税 物件売買価格、又は市場価格の0.5~0.75%
登録費 物件売買価格の約0.25%
運営時 不動産収入税 賃貸収入の25% (滞在期間180日未満の外国籍の非居住者)
家賃収入の5~32% (外国籍の居住者・滞在期間180日以上の外国籍の非居住者)
売却時 キャピタルゲイン税 物件売買価格、又は市場価格の6%
不動産仲介手数料 物件売買価格の3~5%

印紙税

フィリピン不動産を購入する際には、物件売買価格または市場価格の高い方に対して1.5%の印紙税がかかります。

公証費用

公証費用は、物件の市場価格の約1~2%がかかります。

地方譲渡税

物件売買価格、又は市場価格の高い方に対して0.5% (マニラ市内では0.75%)の地方譲渡税が課せられます。

登録費用

土地登記庁が掲載している登録料金表に基づいて登録費は決まります。登録費は販売価格の約0.25%です。

不動産収入税

不動産を投資目的で購入し、賃貸に出したときにかかる税金です。購入後に入居者からの家賃収入が発生する場合、滞在期間が180日未満の外国籍の非居住者は年間賃貸収入の25%の税金が課せられます。

外国籍の居住者、及び滞在期間が180日以上の外国籍の非居住者はフィリピンでの個人所得税の課税対象となり、累進課税で5~32%の税金が課せられます。

キャピタルゲイン税

物件売買価格、又は市場価格の高い方に対して6%のキャピタルゲイン税が課せられ、取引日から60日以内に支払わなければなりません。

キャピタルゲイン税は一般的に売主が支払いますが、稀に販売価格に含まれていることもあるので契約書はしっかりと確認することが大切です。

不動産仲介手数料

不動産仲介手数料は販売価格の3~5%かかります。


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フィリピン不動産投資の税金について

日本とフィリピンの両方で納税が必要

フィリピン不動産投資を進める上では、日本とフィリピンの両方で納税が必要です。日本はフィリピンと租税条約を締結しているため、二重課税にはなりませんが、税還付のタイミングには注意を要します。

先に両国で税金を支払った後、確定申告時に外国税額控除の申請をしてから還付されるためです。このため、例えば物件売却時にローンを一括返済しようとしている場合などは、追加で自己資金の投下を求められる場合もあるので資金計画を立てておくことが必要になります。

フィリピン不動産を購入する際の注意点

フィリピン不動産の購入に関する規制や税金について解説しましたが、物件選びにおける具体的な注意点についても気になる人は多いのではないでしょうか。

フィリピン不動産投資における物件選びの注意点について解説します。

エリア選定に関する注意点

フィリピン不動産投資においては、首都マニラの物件が数多く販売されています。マニラは人口増加も著しく、長期的には不動産価格が上昇し続けているエリアです。

しかし、マニラの物件であればどれでも利益を上げられるわけではありません。急速に都市開発が進むマニラでは、開発エリアが都市の中心部から郊外へと広がりつつあります。

決してマニラの中心部とは呼べないエリアで開発されている物件も増えているのが実態です。また、郊外の物件には低所得者向けの安い物件も多くなっています。

低所得者向けの物件では賃貸の入居者も現地の低所得者などになってくるため、家賃の滞納リスクなどに注意が必要です。

例えばマニラで物件を選ぶのであれば、家賃の滞納リスクや空室リスクなどを軽減するために、マニラの各エリアに関する理解を深めてから取り掛かることが必要になります。

不動産会社の選定に関する注意点

フィリピンには現地のデベロッパーが多数あるほか、海外資本も数多く進出しています。特にフィリピン現地のデベロッパーが開発した物件を選ぶときには、不動産会社の背景に要注意です。

フィリピンには例えばアヤラランドなど、規模が大きく歴史も古いデベロッパーも複数存在しています。しかし、大半のデベロッパーは客層によってグループ会社を分けているのが実態です。

「現地大手デベロッパーの系列会社が開発した物件」と謳って販売されているフィリピン不動産は少なくありません。

しかし、中には低所得者向けの物件が混じっていることも事実です。低所得者向けの物件では、仕上がりが粗末なために、引渡しを受けたものの賃貸できる状態ではないという場合もあります。

そのほか、設立されてから間もない不動産会社では、経営的な体力に乏しいために物件の建設工事を途中で中断してしまう事例も少なくありません。

売れ行きが芳しくない物件では、工事が中断されて買主が引渡しを受けられないトラブルも実際に発生しています。引渡しを受けられなかった場合は、支払い済みの資金は買主へ返金されません。

他のデベロッパーがプロジェクトごと買い取った場合などは工事が再開されることもありますが、事例としては少ないのが実態です。

フィリピン不動産投資の物件選びでは、物件を開発している不動産会社の背景や分譲実績などを確認することが重要なポイントになります。

まとめ

日本人はフィリピンでは土地を所有できないため、投資対象はコンドミニアムなどの集合住宅に限定されます。なお、外国人でも物件の賃貸や転売などが可能なので、日本人もフィリピンで不動産投資が可能です。

しかし、諸経費や税金は一通り支払いが必要なため要注意です。また、租税条約によって日本とフィリピンとで二重課税されることはありませんが、税金が還付されるタイミングは遅くなるため、ローン返済が必要な場合などは別途資金計画が必要になります。

そのほか、フィリピンで物件を選ぶ際には、エリアと不動産会社についてよく調べてから比較することが重要です。


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