現在、日本の人口減少、景気の低迷から、国内の不動産投資よりも海外不動産投資に目を向ける人が増えてきています。海外不動産投資といえば観光客や現地駐在員への賃貸を目的としたコンドミニアムを購入する方法が知られています。しかし海外のコンドミニアムへの投資は、経済成長による不動産相場の値上がりや高い利回りなどを期待できる一方、ローンの利用が難しく資金調達で苦労したり、日本とは異なる物件管理の仕方に戸惑ったりすることもあるようです。

そこで、この記事では海外のコンドミニアム投資の特徴とメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。海外不動産投資に興味のある方は参考にしてみてください。

1 海外コンドミニアム投資とは

コンドミニアムとは日本で言う分譲マンションのことを指します。自分で住まない場合は賃貸してインカムゲイン(家賃収入)を得られるほか、人気エリアのコンドミニアムを完成前に購入すれば転売で早期にキャピタルゲイン(売却益)を狙うこともできます。

節税を考えるなら経済の成熟した先進国で、 土地よりも建物の価値が高く、その建物の価値が長く下がりにくいハワイやアメリカ本土のような国のコンドミニアムがいいでしょう。

1-1 コンドミニアムを購入できる国

海外では、外国人が不動産を取得することになんらかの制限をつけている国が多くあります。まずは自分がコンドミニアム投資を考えている国が、どのタイプにあたるのか確認しましょう。

<外国人でも土地・建物を購入できる国>
日本、アメリカ・イギリス・フランスといった欧米諸国、マレーシア、ネパール、バングラディシュ(現地法人の設立が条件)、韓国など

<外国人は土地は購入できないがコンドミニアムの所有は認められている国>
タイ、カンボジア、フィリピン、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、ロシアなど

新興国のコンドミニアム

コンドミニアムをキャピタルゲイン狙いでコンドミニアムを購入する場合は、主に物件価格の上昇が著しい東南アジアの新興国を検討することになります。ただし中には不動産価格がすでに高騰している地域もあるため、エリア選びは慎重に行う必要があります。

例えば香港の場合、40㎡のアパートメントの価格は$901,326(約9,500万円、1ドル=106円にて算出。以下同)となっています。シンガポールは2019年6月時点のデータで40㎡のコンドミニアムが$700,960(約7,400万円)と、いずれも高額です(Global Property Guideより)。

一方で東南アジアの新興国の場合、主な国のコンドミニアム価格は㎡単価で次のようになります。いずれも40〜50㎡のコンドミニアムであれば、2,000万円前後で購入できます。

  • タイ(バンコク) $5,266(約56万円)
  • フィリピン(メトロマニラ) $2,918(約31万円)
  • カンボジア(プノンペン) $3,216(約34万円)

Global Property Guideより)

なお、これらの新興国でも都市部ではすでに価格がかなり上昇していますが、エリアを絞れば比較的手頃な価格で購入できる物件もあります。キャピタルゲインを狙うためには、周辺開発が行われるなど利便性の向上が見込めるエリアを選ぶのもポイントです。

このようなエリア選びは、国内不動産投資と共通する要素もあります。新興国だからと言って全てのエリアで値上がりが期待できるわけではないことに注意が必要です。

先進国のコンドミニアム

先進国の中では、外国人観光客の需要が見込めるハワイのコンドミニアムの人気が高くなっています。しかし、すでに大きく価格が上昇しており利回りはさほど高くないため、インカムゲイン狙いの長期保有という投資スタイルが向いています。

また、ハワイ不動産は建物価値が高いため、収入が多い方にとっては所得税の節税対策としても活用できます。

1-2 コンドミニアムを購入する方法

海外のコンドミニアムを購入する方法としては、日本国内の不動産会社に紹介してもらうのがおすすめです。ポータルサイトで直接物件を探すこともできますが、海外コンドミニアム投資は購入して終わりではありません。その後に賃貸運用したり、あるいは売却したりして利益を出す必要があるからです。

しかし東南アジアの新興国の現地の不動産会社では、そこまでフォローのできる管理会社を探すのは難しく、さらに不動産投資に関するインフラがまだ整っていないため、物件管理や転売における買い手探しなどのノウハウが蓄積されていません。

ですから海外のコンドミニアムを購入する場合は、国内の不動産会社で、海外コンドミニアム投資に関する実績があるところを選ぶのがベストな選択になります。物件を購入する際には、その会社の現地視察ツアーに参加すると周辺環境を細かくチェックすることもできます。

資産価値の高いコンドミニアムは、交通の便が良いことや買い物環境が整っていることが物件選びの目安になります。物件を選ぶときは購入者の目線に立つだけではなく、コンドミニアムを借りる外国の駐在員が住みやすいかどうかも考慮することが大切です。

管理会社選びについては、遠く離れた場所でのコンドミニアムを直接チェックすることは難しいため、管理会社任せになります。できれば国内の管理会社や現地に日系会社の支店を持つ会社を選ぶのがおすすめです。

海外不動産視察ツアー

2 海外コンドミニアム投資のメリット

海外コンドミニアム投資におけるメリットは次の通りです。

2-1 新興国のコンドミニアムは価格が安い

新興国のコンドミニアムは少ない資金で取得できる場合もあります。特に東南アジアは著しい経済成長を背景に不動産相場の上昇が続いていますが、それでも日本の都市部におけるマンションと比べれば、安く購入できます。

例えば、日本と東南アジアの都市部のエリアにおける住宅価格の平方メートルあたりの単価を以下のように比較すると、日本の港区で16,332ドル(約176万円)ですが、東南アジアはその半分以下の価格となります。(※カッコ内はデータ集計の年)。 

住宅価格の平方メートルあたりの単価

タイ

5,266ドル

フィリピン

3,952ドル

マレーシア

3,441ドル

カンボジア

2,913ドル

インドネシア

2,595ドル

ベトナム

2,280ドル

日本

16,322ドル

(出典:Global property Guide

2-2 キャピタルゲインが期待できる

不動産価格はインフレや需要の増加などにより上昇することがあります。東南アジアなどでは、経済成長や人口増加を背景に世界中の投資マネーが流入しており、例えば次のようにコンドミニアム価格を押し上げています(2018年:Globel Property Guideより)。

  • フィリピン(マカティセントラルビジネス地区)、1㎡あたり15.55%上昇
  • マレーシア(全国住宅価格指数)、3.31%上昇
  • タイ、2019年第1四半期までの上昇率1%(前年は6.3%上昇)

ただし、一部ではコンドミニアムの過剰供給となっているエリアもあるなど、賃貸需要が見込めないような場所も出始めています。物件を購入する前にエリア選びはしっかり行いましょう。

2-3 節税効果が期待できる

日本と比べてアメリカ本土やハワイのコンドミニアムは、節税対策になることで人気があります。アメリカでは、築年数の経過によって建物評価が下がりにくく、かつ土地に対する建物価格の比率が高いという特徴があります。

そのため、減価償却費(時間が経つごとに減少していく資産の価値について、その資産の取得費を残存耐用年数で按分し計上する費用のこと)を多く計上することができるので、所得税の圧縮効果が期待できます。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

【関連記事】:アメリカ不動産で節税できるの?減価償却費の計算方法も解説!

3 海外コンドミニアム投資のデメリット

コンドミニアム投資には注意すべきリスクやデメリットもあります。

3-1 完成しないリスク・完成前に時間がかかる

新興国のコンドミニアム投資で利益を出す方法として、新築プレビルド物件を安く購入して完成後に売却するというスキームが知られています。ただし、プレビルド物件は、デベロッパー(開発・建設会社)が完成前に販売して建設資金を集めるため、デベロッパーが資金繰りでショートすれば物件が完成されないままになる可能性があります。

また、国内新築マンションは、完成後の引き渡しの時点で購入金額すべてを支払いますが、海外コンドミニアムは契約した時点で支払いが始まります。そのため、コンドミニアム投資では、物件が完成しておらず賃借人を付けることができない状態での出費が重なることになります。賃貸収入が無いので、完成するまでの支払いは持ち出しになります。

さらに新興国のコンドミニアムは建設に数年かかることも珍しくありません。契約書には、完成時期に関してかなりアバウトに記載されています。完成が遅くなれば家賃収入を得るのも遅れます。

3-2 経済成長リスク・為替リスク

キャピタルゲインを狙った東南アジアのコンドミニアム投資は、経済成長が続くことを前提としています。しかしアメリカと中国の貿易における問題をはじめ、世界経済の行方が懸念される中で、新興国の経済成長もどこまで続くのかが不透明になっています。

新興国の経済を支えるのは、多くの場合、先進国への製品や資源の輸出、観光などです。しかし先進国の経済が停滞することになれば、これらの産業にも影響が出る可能性があります。投資マネーが引き上げられることになれば、コンドミニアムも価格が下落する可能性があります。

また海外不動産投資では為替リスクが伴うことにも要注意です。コンドミニアムの売却時に為替が円高に振れることで、受け取れる日本円は少なくなります。

3-3 海外送金が難しい事がある

購入した物件を貸し出して家賃収入が発生した場合や、コンドミニアムを売却した場合などで、そのお金を直接日本の口座に送金してもらうことはまず難しいと考えておきましょう。

そのため、コンドミニアムを購入した国で銀行口座を開く必要が出てきます。

しかし、少し前までは不動産を購入するからと言えば外国人でも現地で簡単に銀行口座を開ける国が多かったのですが、テロなどへの警戒から現在は現地に居住していない外国人が銀行口座を開くことが困難な国が増えています。

また、口座を解説できても海外送金に制限がある国もあるので、自分がコンドミニアム投資をしたい国が、非居住者でも口座を作れる銀行はあるのか、日本に容易に送金できるのかなどを事前に調べておく必要があります。

4 コンドミニアム投資を始める手順

海外コンドミニアム投資を始める手順をご紹介します。

4-1 コンドミニアム投資の情報収集をする

海外コンドミニアム投資では、先進国か新興国かによって利益を出す方法は変わります。さらに支払いをどのようにするのか、利益はどのようにして確保するのかの方法も異なります。そこで、まずは海外不動産投資に関する基本的な知識を身につけておくことが大切です。

効率的に学ぶ方法としては、企業が主催する海外不動産投資のセミナーが挙げられます。コンドミニアム投資の基本的な仕組みから物件価格の相場を把握できるようになります。また、投資家同士のつながりもできるため、情報交換がはかどります。

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4-2 出口戦略を立てる

海外コンドミニアム投資の知識をひと通り得た後は、出口戦略を決めます。海外コンドミニアム投資で利益を出す基本的な方法は、短期売却でのキャピタルゲインを狙うか、日本国内の不動産投資のように節税を行いながらインカムゲインを狙うかのどちらかになります。

判断基準としては、どの程度の現金を確保できるかを目安にすると良いでしょう。海外コンドミニアムを検討する場合、アメリカやハワイのコンドミニアムは節税対策としても人気がありますが、価格はかなり高くなります。資産価値が高いのもメリットですが、購入できなければインカムゲイン狙いでの保有はできません。

用意できる現金が少ない場合には、東南アジアで安く購入できるコンドミニアムが候補に挙がります。こちらはインカムゲインよりも、短期間での値上がりによるキャピタルゲインを狙うのが一般的です。

短期売却ではコンドミニアムが完成し、所有権が移ってから買い手を探すことができます。プレビルド物件を購入した場合には、物件の完成・引き渡しまでは売買契約を交わしてから数年は経過することになります。その間は購入に充てたお金は寝かせることになるので、ほかの金融商品と比べてリターンが見込めるのかもチェックしておくことが大切です。

仮にコンドミニアムのデベロッパーが提供するインハウスローンを利用した場合には、高い金利負担もあるので注意しましょう。

4-3 コンドミニアムを探す

出口戦略を立ててコンドミニアム投資の対象国を選んだ後は物件探しです。現地の物件を扱うポータルサイトで探すこともできますが、できれば現地事情に詳しい不動産会社を通して選んだほうが無難でしょう。交通や買い物の利便性、さらに周辺の開発予定などの情報を集められる不動産会社であれば、資産価値が上昇するエリアの選定も期待できます。

4-4 テナントを探す

物件購入後は、テナント(賃借人)を探す必要があります。未完成のプレビルド物件はテナントを付けることはできませんが、賃貸に出せるコンドミニアムは早急にテナントを探しましょう。これも物件を探す時に利用した不動産会社に依頼するのが良いでしょう。その後の管理も売却に関しても任せることができます。

このように、海外コンドミニアム投資ではビジネスパートナーとなる不動産会社選びが重要になります。物件購入の相談ができるだけではなく、その後の賃貸管理までしっかり任せられる会社を選ぶようにしましょう。

5 まとめ

キャピタルゲインやインカムゲインが狙える海外のコンドミニアム投資は、日本の不動産投資より大きく収益を狙える可能性が高い分、海外ならではのリスクもついてきます。利益に囚われて安易に契約してしまうと大きな後悔をしてしまうかもしれません。

海外のコンドミニアム投資で成功するためには、海外不動産について深い知識と実績のある日本国内の不動産会社をエージェントに選ぶことは必須条件です。まずは気になる国の資料を取り寄せたり、国内で海外不動産セミナーに参加をして情報収集から始めてみましょう。

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