最近、海外で不動産を買って節税しようという言葉をよく聞きますが、アメリカの不動産の節税効果はどうでしょうか。

2020年度の税制改正により、個人が海外の不動産(国外中古建物)を利用した節税はできなくなりました。しかし、法人名義であれば、現在もアメリカ不動産投資による節税は可能です。

本記事では、法人がアメリカ不動産で節税する仕組みや、2026年現在の最新税制について解説します。

海外の不動産で節税効果を狙うためには

海外の不動産で節税効果を大きく出すためには、その物件に以下の条件があてはまる必要があります。

  • 土地と建物では建物の価格比率のほうが高いこと

  • 中古市場が活発で、売却時に日本の法定耐用年数を超えていても、購入額以上の価格で回収できること

この2つの条件を満たすのがアメリカの不動産です。

アメリカと日本では建物の価値に対する考え方が違う

アメリカと日本では土地と建物の価値に対する考え方が大きく異なります。

日本では基本的に土地の価値が高く、建物の価値は年数の経過とともにどんどん下がっていきます。

それに対してアメリカは、不動産市場が中古物件中心なので、土地と建物の価格の割合が、2:8〜4:6と中古でも建物の評価が高く、メンテナンスをきちんとしていれば、年数が経過しても建物の価値はあまり下がりません。

建物価格が高いほど計上できる減価償却費も大きくなるため、より高い節税効果が期待できます。

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減価償却費とは

物は年数とともに劣化していくので、その分を償却されたと考えて経費に計上するという税制上の考え方を減価償却費といいます。不動産では、土地は劣化しませんので建物にだけ減価償却費が適応されます。

減価償却費の計算は以下のようになります。耐用年数分、毎年経費に計上できます。

建物価格÷耐用年数=1年間の減価償却費

また、各建物の法定耐用年数は以下の通りです。

鉄筋コンクリート(RC) 47 年
重量鉄骨 34 年
軽量鉄骨 19 年
木造 22 年

新築の場合は上記の通りである一方、中古住宅の場合は下記の計算式で算出されます。

耐用年数=(法定耐用年数ー経過年数)+経過年数×0.2

たとえば、築20年鉄筋コンクリートのコンドミニアムを6,000万円で購入した場合の減価償却費は以下のようになります。

6,000万円÷{47-20+(20×0.2)}=1,935,483円

約190万円を31年間、毎年経費に計上できるということになります。

このコンドミニアムを賃貸に出していて、毎年の家賃収入が240万円くらい出ていたとすれば、そこから約190万円を経費として計上できるので、課税対象額が下がります。

減価償却は、投資としての運用益はでていても税務上マイナスとして処理をして計上できるのが魅力です。

なお、アメリカでは建物の法定耐用年数は「居住用は27.5年」、「商業用は39年」です。この耐用年数は中古物件であっても、購入された時点から新たにカウントが始まるため、築年数が経過した物件でも長い期間にわたって減価償却が可能です。

建物の物件価値が下がらず、中古市場が活発な要因にもなっています。

さらに、2025年に施行された「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」により、特定の条件を満たす資産については、取得した年に購入費用を100%即時償却できる「ボーナス償却」が恒久化されました。対象となる不動産では初年度に大きな節税効果を期待できます。

大きく節税するなら加速度償却

 

日本の減価償却の話に戻りますが、法定耐用年数を過ぎた物件の場合どうなるのでしょうか?

耐用年数を超えた建物は法定耐用年数×0.2(小数点は切り捨てられます)で減価償却が可能で、加速度償却と言います。

加速度償却は以下のようになります。

鉄筋コンクリート(RC) 47年以上の物件:9年で償却
重量鉄骨 34年以上の物件:6年で償却
軽量鉄骨 19年以上の物件:3年で償却
木造 22年以上の物件:4年で償却

たとえば、築23年の木造の一軒家を1億円で買ったとします。

土地代は3000万円、建物代が7,000万円なら減価償却は建物代にのみかかるので

7,000万円÷4=1,750万円

が減価償却として適応されます。日本での確定申告の際に1,750万円を4年間経費として献上できるのです。

この建物の利益が1年間で100万円だったとすると、利益が出ているにもかかわらず、実際は使っていない1,650万円を損益として税務上処理できます。

ただ、1,650万円を経費に計上できても、そもそも給与所得や事業所得が1,650万円以上なかったらあまり意味がなくなります。

それどころか、その後にしっかり減価償却費を経費として落としきれずにその物件を売却してしまうと、かえって損してしまう可能性もあるのです。

注意が必要な不動産譲渡所得税

アメリカ不動産購入の際にはかならず知っておくべき「譲渡所得税」の存在があります。不動産譲渡所得税とは売却した不動産の売却益にかかる税金のことです。

例えば、1億円で買った一軒家が1億1,000万円で売れました。この時、売却益は差額の1,000万円と考えがちですが、ここで頭を出してくるのが先ほどの減価償却費です。減価償却費分、建物の価値は減ったと考えられますので、

売却額ー(購入額ー減価償却費)=売却益 1億1,000万円ー(1億円ー7,000万円)=8,000万円

となるのです。(実際にはここに購入経費、売却経費、金額によっては譲渡税なども引かれますので、ここでは概算です)

売却益8000万円に譲渡所得税20%〜39%がかかりますので、20%なら1,800万円が売却した年に課税されるということです。

減価償却費を毎年500万円以上経費から引かれていれば、それでも節税効果があったと言えますが、毎年300万円しか減価償却費を経費から落とせず、譲渡所得税が1,800万円来たら、節税効果があったとは言えませんね。

加速度償却で節税効果を狙うためには、ある程度所得が必要ということです。

法人はあくまで「税金の繰り延べ」である点に注意

法人が減価償却費を計上しても純粋な節税ではなく、税金の支払いタイミングをずらす効果があります。物件売却時に法人税が課税され、個人と異なり5年以上保有しても税率が下がりません。また、減価償却費は発生後10年以内であれば任意のタイミングで計上可能です。

不動産投資以外の節税方法

法人の節税対策としてはアメリカ不動産投資以外にも方法があります。

たとえば、航空機オペレーティングリースは航空機の所有権を共有して減価償却費を計上する方法があります。コロナ禍のような外的要因での航空会社破綻リスクや、ローン利用ができない点がデメリットです。

生命保険の活用もありますが、こちらもローン利用不可であり、従業員数が少ない中小企業では節税効果が狙いにくいです。

一方で、アメリカ不動産投資は物件評価額の50%まで融資を受けられる点が優れており、中小企業にとっても有効な節税手段となっています。

まとめ

アメリカの不動産は、家賃収入にあまり税金を乗せたくない人や、高所得の人にとっては節税しやすい条件を備えた魅力的な不動産といえるでしょう。

しかし、海外不動産投資におけるスピード償却のスキームは税逃れではないか」、という会計検査院から最近問題提起も出ているため、今後税法が変わる可能性に注意が必要です。

本記事では、節税の概要について解説しましたが、税金は個々の物件の条件によっても変わります。参考程度に留め、詳しくはアメリカの税金の話ができる会計士、税理士にご相談ください。

セカイプロパティではアメリカの不動産の購入についてご相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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