豊かな大地に恵まれ、地震・台風・猛暑といった自然の脅威にさらされる心配もなく、年中穏やかに過ごせるフランス、歴史と文化が息づく芸術の国フランスで不動産を購入する外国人も増えています。
投資目的で、バカンスを過ごす別荘として、第2の人生を送る移住の場所として、目的は人さまざまですが、不動産価値が上がることはあっても下がることのないフランスの不動産は借りるより買った方がお得です。
フランスで不動産を購入するにはどのようなステップが必要になるのか、詳しく解説していきます。
フランスで不動産を購入するステップ①物件を探す
1.場所を選ぶ
フランス移住を考える時、まずどの地方に、どの都市に住みたいか、何故そこなのか、慎重に場所選びをすることから始まります。おすすめの場所については拙過去記事「フランス移住のメリットとは?ビザや生活費まで徹底説!」をご参照下さい。
2.物件の種類を選ぶ
不動産といっても沢山の種類があります。大きく分けてアパルトマンか一軒家か、中古か新築かが最初の選択肢になるでしょう。
その後は、建物の種類、周辺環境といった細かいオプション選択をしていきます。それぞれのメリット、デメリットを吟味し、選択肢のステップを1つずつ踏んで慎重に絞っていきましょう。
3.物件の探し方
賃貸と違って購入となると物件探しも慎重になります。不動産屋の介入手数料を省くために個人間の売買も存在しますが、やはり見知らぬ町での購入物件探しとなれば、その町で信頼できる不動産屋に相談した方がいいでしょう。
フランスで不動産を購入するステップ②契約前の確認事項
幾つかの物件を見て希望する物件が見つかったら、いよいよ契約に入ります。フランスの不動産購入では、仮契約、本契約という2つのステップを踏みます。しかし、仮契約の前に以下の点を確認することが重要です。
1.売主に「技術上の診断書類/Dossier des Diagnostics Techniques」を作成してもらい、居住環境の点から安全上問題点はないか、白アリ駆除済、建築素材に石綿が使用されてないかなど、詳細を確認します。
2.診断書類には電気の年間消費量、電気配線・ガス管・水道管の状態を明記しており、工事が必要な場合は、工事費用を差し引くなどの交渉も検討します。こうした書類は不動産屋が売主に請求して用意してくれるので任せて安心です。
3.不動産物件の敷地に別棟・駐車場・地下室がある場合でも、母屋と分けて分散販売する売主もいます。中には広い土地を分割販売するケースもあるので、契約前に売却条件にこういった付属スペースや全区画が含まれるかどうかチェックしましょう。
フランスで不動産を購入するステップ③公証人/Notaireを選ぶ
フランスの不動産売買に不可欠な存在となるのが公証人/ノテールと呼ばれる日本の司法書士にあたる専門家です。
公証人は不動産売買に伴う物件の調査(物件の抵当権、市の都市計画の区分に入っていないか等)を行い、登記の手続きを代行します。公証人の選択権は売主にもありますが、フランスでは購入側に優先権があるため、買主側が訳有物件などを購入しないようリスクを防ぐことができます。
公証人の選択は不動産業者に任せることも可能ですが、不動産業者への手数料とは別途公証人への謝礼費用も発生します。
公証人が行う業務の中には、不動産登記税、不動産公示税、県税、市税、その他登記に必要な諸経費をすべて代行しますので、公証人への手数料は物件価格の約2.5~7%になります。
フランスで不動産を購入するステップ④仮契約/Avant-Contrat
物件購入が決まったら正式な契約の前にアヴァン・コントラと呼ばれる仮契約を結びます。特に住宅ローンを組む場合は最終審査にこの仮契約書が必須となります。
仮契約にはクーリングオフ期間が設けられており、仮契約締結から7日~10間以内は違約金無しで契約をキャンセルすることができます。
それを証明する「クーリングオフ証明書/Delai de Retractation」 が公証人から送られてくるので、キャンセルを希望しなくても大切に保管して下さい。
数種類ある仮契約の中でも「売買協定/Compromis de Vente」という契約は、売却側と購入側の双方に責任を課すもので、仮契約後に購入側が購入をキャンセルしても頭金は返金されません。
ただし金融機関の融資審査に通過することを正式契約の条件として追記することは可能です。売却側が正式な契約締結をキャンセルした場合は、頭金を返金した上で、頭金と同額の金額を購入側に支払う必要があります。
仮契約は公証人の事務所で行われ、この時購入者は不動産業者か公証人あてに購入価格の5~10%の頭金を支払い、この金額は売主の公証人の口座に保管されます。
仮契約は本契約と同様の書類提出や条件提出を行います。売主は権利書、管理組合総会の報告書、法廷面積記載書や上出の「技術上の診断書類」などを提出し、買主は、身分証明書や婚姻証明書など本人証明の他、給与明細書、銀行残高証明書など支払い能力を証明する書類を提出します。
仮契約から本契約まで3ヵ月の猶予があります。その間、買主側の公証人は物件を調査し、名義変更や登記などの法的手続きを行います。
買主が外国人でフランスに銀行口座がない場合は、この仮契約書をもとに銀行口座が開設できるので、この期間にその手続きをすませるといいでしょう。口座開設後、買主は銀行ローンなど購入資金の調達手続きを無難に進めることができますし、本契約時に必要となる銀行小切手も用意してくれます。
資金調達、融資の利用、銀行口座の開設、ローンの組み方などについては、また別記事で取り扱いたいと思います。
フランスで不動産を購入するステップ⑤本契約のすすめ方と経費
仮契約から約3カ月後に、公証人の事務所に売主、買主、公証人、不動産業者が立ち合い、最終的な本契約を結ぶことになります。この時に支払う費用は以下の通りです。
1.購入代金の残額
仮契約で支払った頭金以外の残額です。銀行からローンで購入する場合は、銀行側が発行する小切手を公証人に支払う方法と、銀行から公証人の口座へ残額を振り込む方法があります。
2.公証人への経費
不動産登記に伴って発生する税金申請手続きなどを代行して行う公証人に対し、謝礼を含めた手数料として、購入価格の約2.5~7%を支払います。これには、不動産取得税、県税、市税、その他登記に必要な諸経費、公証人への謝礼費用1%が含まれます。
3.不動産業者への仲介手数料
不動産会社によって異なりますが、一般的には購入価格の5~10%を支払います。
4.固定資産税
毎年売主が払っている固定資産税の一部を、その年の分割計算した残高を売主に支払います。
5.四半期の不動産物件管理費
アパルトマンを購入した場合は、アパルトマンを管理する「組合/サンディック」と呼ばれる管理会社に、売主が毎年払っている管理費の残高を分担して支払う必要があります。
上記のうち、3~5については小切手で支払うのが一般的なので、本契約までには銀行口座を開いて銀行小切手を用意しておくことが必須となります。
物件情報、売主と買主の情報書類、購入価格書類といった契約内容の他、工事履歴(アパルトマンなら管理会社による工事履歴と費用一覧)など、全ての書類を公証人、不動産業者と1枚ずつ確認します。
確認後、全頁にイニシャルでサインし、最終書類に署名をして契約終了となります。全書類への署名、支払い手続きが終わると、契約者同士、参列者が握手をして無事契約は終了します。
その際、売主から購入物件の鍵を譲り受け、場合によっては契約当日、または別の日に売主や不動産業者同席の元、物件の使用説明などを受けます。
フランスで不動産を購入するステップ⑥本契約後の諸手続き
購入物件現地における使用説明では、地域や不動産物件によって規定が異なる電気、水道、ゴミ、電信電話などの使い方や契約の仕方について情報を与えられ、こうした光熱費に関してすぐに名義変更を行います。
売買契約後にしなければいけない契約の一つが、「住宅保険」の契約です。これはフランスでは家主の義務となっていますのですぐに手続きをして下さい。不動産業者からも保険会社を沢山紹介してくれます。
新居に引っ越し後、フランスでは日本のように近所に挨拶回りといった面倒な手間は不要ですが、アパルトマンの場合は建物を管理しているガーディアン/管理人に一言挨拶をしておいた方が、後々いろいろな局面でサポートしてくれて住みやすい環境を作れるでしょう。
フランスで不動産を購入するステップ⑦家主となって発生する納税義務
フランスの不動産保有に関する税制では、家主に以下のような税金が課せられています。
1.住宅税
個人、法人に関わらず不動産の所有者に課せられる税金です。常時居住していない別荘や賃貸物件も含みます。ほとんど使用しない別荘でも、5年以上空家だと特定の罰金が課せられ、10年以上空家だと罰金額はさらに上昇します。課税基準は、物件の台帳賃貸価格から一定額を控除したものです。
2.建物付土地に対する不動産税
土地建物の所有者に対して課せられる税金で、台帳賃貸価額から50%の概算経費を控除して、さらに一定の居住用不動産について30%の控除をした金額になります。
3.建物無土地に対する不動産税
主に農地や空き地の所有者・使用収益権者に対して課せられる税金で、台帳賃貸価額から20%の概算費用を控除した金額になります。
4.職業税
投資用、事業用不動産について、個人・法人の利用者に対して課せられる税金です。
5.収入税
個人・法人所有の不動産を賃貸して得られた収入に対して課せられる税金です。
6.社会貢献税
個人・法人が所有する不動産の事業展開、賃貸事業によって収入を得ることで、社会に貢献する義務が発生します。社会貢献税と呼ばれ、収入税の課税以外に課せられる税金です。
7.その他
上記の他にも、住民税、テレビ税、ゴミ税などは、賃貸物件の借主同様、家主にも平等に課せられる税金があります。
まとめ
以上、フランスで不動産を購入する方法を7つのステップで解説してきました。
フランスの土地・不動産は外国人でも原則自由に所有することができるため、外国人にとって売買しやすいシステムが導入され、政府も住宅取得の支援策として様々な制度や措置を提供しています。
家主が支払う税金も確かに多いかもしれませんが、こうした政府の支援を賢く利用すれば、リーズナブルに快適な家主生活を享受することができるでしょう。
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