ヨーロッパの中心でもあり、歴史と文化と芸術の詰まったフランスは、日本人には憧れの国です。
旅行として訪れるだけでなく、一生に一度は「フランスに住む」という体験をしてみるのも、ゴージャスでビッグなチャレンジと言えるのではないでしょうか。
文豪ヘミングウェイも「一生に一度でもパリに住むことは特別な経験」と言っています。他にも多くの歴史的偉人たちがフランスに移住し自己実現を果たしています。
人の内面に「何か」をもたらしてくれる特別な魅力が備わった国、そんなフランスへの移住の魅力をご紹介してまいります。
フランスに移住する11つのメリット
フランスは美しい風景、豊かな文化、美味しい料理が揃った国として知られています。ここでは、フランスに移住する11つのメリットを詳しく解説します。
1.過ごしやすい気候
フランスの気候は地域によって異なりますが、全体的に温暖で過ごしやすいです。南フランスでは地中海性気候が特徴で、冬は温暖で夏は暑く、アウトドア活動を楽しむには最適です。
特にニースやマルセイユでは、ビーチでのアクティビティが人気です。一方、北部のパリやリールは、四季がはっきりしており、春と秋は特に心地良いです。過ごしやすい気候は、快適な生活を送るための大きな要因となります。
フランス・パリの年間平均気温と平均降水量
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
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平均最高気温 (°C) | 6.7 | 7.6 | 11.1 | 15 | 19.1 | 22 | 25.1 | 24.6 | 20.5 | 15 | 10 | 7.5 |
平均最低気温 (°C) | 1.7 | 2.1 | 4.2 | 7.1 | 11.1 | 14 | 16.7 | 16.3 | 13.4 | 10 | 5.1 | 2.8 |
平均降水量 (mm) | 49 | 42 | 46 | 50 | 60 | 58 | 43 | 54 | 61 | 70 | 61 | 54 |
2.家賃・不動産が安い
フランス全体の家賃や不動産価格は、特にパリを除けば比較的手頃です。例えば、リヨンやボルドー、ナントといった地方都市では、中心部でも安価な物件が見つかります。
具体的な例として、リヨンでは1LDKのアパートが700〜900ユーロで借りられることがあります。また、地方では広い庭付きの家を手に入れることも可能で、生活コストを抑えつつ、快適な住環境を確保できます。
フランス・パリの部屋タイプ別平均家賃
部屋タイプ | 平均家賃 (月額) | 日本円(1ユーロ=155円で換算) |
---|---|---|
スタジオアパート | €1,200 - €1,800 | ¥186,000 - ¥279,000 |
1ベッドルームアパート | €1,500 - €3,000 | ¥232,500 - ¥465,000 |
2ベッドルームアパート | €2,500 - €4,500 | ¥387,500 - ¥697,500 |
ルームシェア | €600 - €1,000 | ¥93,000 - ¥155,000 |
家族向けの3ベッドルーム | €3,000 - €5,000 | ¥465,000 - ¥775,000 |
3.居住空間が広々
フランスの不動産は他の欧州諸国と比較しても、居住空間が広いという特徴があります。地方では、一戸建て住宅のサイズが大きく、家族で快適に過ごせます。アパートメントでも、部屋数やリビングスペースが充実しているため、プライベート空間を大切にしたい人にとって魅力的です。
4.建物の管理が行き届いている
フランスでは、賃貸物件の管理が行き届いています。特に大規模なアパートメントビルでは、管理人が常駐していることが多く、住民のニーズに応じたサポートを提供しています。
また、建物の保守・メンテナンスも適切に行われており、安心して生活できます。このような環境は、特に初めての外国生活で不安を感じる人にとって重要です。
5.フランスらしいお城やお屋敷物件といったレアな不動産物件が多数!おまけに安い!
フランスには、歴史的な建築物やお城を改装した物件が多く存在します。郊外や田舎では、手頃な価格でユニークな物件を購入できるチャンスがあります。
例えば、ノルマンディー地方には、美しいお城や歴史的な屋敷が点在しており、観光名所としても知られています。こうした物件は単なる住居としてだけでなく、投資や観光業の一環としても利用されています。
6.お洒落な街並みで芸術センスが磨かれる
フランスの都市、特にパリは世界的に見ても美しい街並みが広がっています。古い建物とモダンなデザインが融合した街は、毎日の生活の中でアートを感じさせてくれます。また、フランスでは美術館やギャラリーが充実しており、無料で入館可能な日もあります。芸術に興味がある方にとって、フランスは日常的に趣味を楽しめる国です。
7.ヨーロッパ旅行を満喫できる
フランスはヨーロッパの中心に位置しており、他の国々へのアクセスが非常に便利です。パリからは、電車や飛行機を利用して、数時間以内に他国に訪れることが可能で、週末旅行や短期のバカンスが容易に楽しめます。例えば、ベルギー、オランダ、スイスなどは、日帰り旅行としても人気です。
8.フランス人の性格がさらっとして陽気
フランス人は一般的に社交的で、外国人に対してもフレンドリーに接することが多いです。特にカフェ文化が根付いているため、外出時に気軽に人々と会話を楽しめます。フランス人のオープンな性格は、異国の地で友人を作る際の大きな助けとなるでしょう。
9.年配者に優しく尊重してくれる国
フランスでは、年配者を大切にする文化が根付いており、高齢者に対しての配慮が行き届いています。公共の場では、席を譲ることが一般的とされており、年齢に関係なく人々が尊重される社会で、安心して生活できる環境が整っています。
10.親日家が多い
フランスには、日本文化や日本食に興味を持つ人が多く、親日的な環境が整っています。日本のアニメやマンガ、料理を愛するフランス人が多く、日本人に対してフレンドリーに接してくれます。異文化交流が円滑に進みやすく、外国人のコミュニティにも入りやすいです。
11.ペットと住みやすい国
フランスはペットに対する規制が少なく、犬や猫などのペットと一緒に生活しやすい国です。多くのカフェやレストランでは、ペットを連れて入ることが許可されています。また、公園や広場でもペットを自由に遊ばせられるので、愛するペットと共に快適な生活を楽しめます。
フランスに移住すると生活費はいくらかかる?
移住を検討する上で、生活費は非常に重要な要素です。ここでは、フランスにおける主要な生活費について詳しく見ていきます。
1.家賃
フランスの家賃は地域によって異なりますが、パリの中心部は高い傾向にあります。例えば、パリでは1LDKのアパートが1,200ユーロから1,800ユーロ程度です。
しかし、地方都市では同じサイズの物件が600ユーロから1,000ユーロで借りられることが一般的です。また、シェアハウスやルームシェアを利用することで、コストをさらに抑えることも可能です。
2.食費
食費は生活費の中でも重要な部分を占めます。フランスでは、食材は比較的高価ですが、地元の市場で新鮮な野菜や果物を手に入れられます。一般的な一人暮らしの食費は月に200〜400ユーロ程度です。自炊を心掛けることで、外食費を抑え、より健康的な食生活を送れます。
3.交通費
フランスの交通機関は非常に発達しており、特にパリでは地下鉄やバスが充実しています。月額パスは70〜90ユーロ程度で利用可能です。地方都市でも公共交通機関が整備されており、自転車を使った移動も人気です。
4.光熱費
光熱費(電気、ガス、水道)は地域や住居によりますが、一般的には月に150〜250ユーロ程度かかります。フランスは環境に配慮したエネルギー政策を推進しており、エコな生活を心掛けることでコストを抑えることも可能です。
5.電話代
携帯電話のプランは多様で、一般的には月に20〜50ユーロ程度です。大手キャリアは豊富なプランを提供しており、データ通信も充実しています。フランスではSIMカードを手軽に購入できるため、観光客や短期滞在者にも便利です。
6.税金
フランスの税制度は複雑で、所得税や消費税が課せられます。所得税は累進課税制度を採用しており、年収に応じて異なる税率が適用されます。一般的に、税率は0%から45%の範囲です。住民税や社会保険料も考慮する必要がありますが、生活費の計画には税金を含めることが重要です。
フランスに移住するのに必要なビザは?
フランスに移住するためには、適切なビザを取得する必要があります。ここでは、ビザの種類や取得条件について解説します。
1.ビザの種類と取得条件
フランスのビザにはさまざまな種類があり、目的に応じて選ぶ必要があります。一般的なビザの種類には、労働ビザ、学生ビザ、長期滞在ビザなどがあります。労働ビザは、フランスでの就労が目的の場合に必要で、通常は雇用契約が求められます。学生ビザは、フランスの教育機関で学ぶために必要です。
ビザ種類 | 対象者 | 滞在可能期間 |
---|---|---|
長期滞在ビザ(VLS-TS) | フランスで90日以上の滞在を予定している外国人 | 最長1年(更新可能) |
ワーキングホリデービザ | 日本、韓国、オーストラリアなどの特定の国の18〜30歳までの若者 | 最長1年 |
学生ビザ | フランスの大学や学校に留学する学生 | 通常1年 |
就労ビザ | フランスで働く予定の外国人(特定の職業に応じたタイプあり) | 雇用契約の期間に応じて1年、またはそれ以上 |
企業家ビザ | フランスで新しいビジネスを設立したい起業家 | 最長4年(更新可能) |
リタイアメントビザ | フランスで定年後の生活を送りたい退職者 | 最長1年(更新可能) |
配偶者ビザ | フランス国民またはフランス在住者の配偶者 | 最長1年(更新可能) |
2.ビザ取得の必要書類
ビザを取得するためには、以下の書類が必要です
・パスポート(有効期限が6か月以上)
・申請書(オンラインまたは書面)
・写真(パスポートサイズに適した写真)
・住居証明書(賃貸契約書や宿泊証明)
・経済的証明(銀行残高証明など)
ビザ申請は早めに行うことが推奨されます。通常、処理には数週間から数か月かかることがあります。
3.滞在期間を延ばす裏技
フランスでの滞在を延ばしたい場合、ビザを延長する手続きが可能です。通常、滞在許可証の更新はフランス国内の地方行政機関で行います。
また、学生ビザであれば、就学中に変更手続きを行うことも可能です。計画的に手続きを行い、滞在が途切れないようにしましょう。
フランスに移住するのにお薦めのエリア
フランスには魅力的な地域が多数あります。ここでは、移住にお薦めのエリアをいくつかご紹介します。
おすすめエリア1.パリ市内西部
「フランスに移住するならやっぱりパリ」、という方も多くいらっしゃいます。そこは名実ともに花の都、世界の文化と芸術を牽引するパリは、世界でも突出した魅惑的な町なのです。
パリ市は東京の山手線内ほどの小さな都市で、20区の地区に分かれています。日本人が安心して暮らせる区は、フランスでベストセラーになったお嬢様お坊ちゃま指南書「BCBG/ボンシック・ボンジャンル」が指摘する、7区、8区、16区といった高級住宅街が安全でお薦めです。
他にも、これらの地区に隣接する15区、17区も高級住宅が立ち並び、安全で交通商業も発展してとても便利です。また芸術や流行に敏感な方でシティライフに関心がおありなら、パリ中心部の3・4区のマレ地区や、6区のサンジェルマンデプレ界隈もおしゃれでお薦めです。
おすすめエリア2.パリ郊外
郊外と言ってもパリに隣接しメトロでもすぐにパリ市に直結する近郊においては、やはりパリ西部に位置するブローニュ、ヌイイといった高級住宅街がお薦めです。日本人も多く住み、生活にも便利で安全で暮らしやすい町と言えます。
全般的にパリ西部は高級住宅街にあたるので、さらに西郊外にあるベルサイユやサンジェルマンアンレイといった王室に所縁のある高級住宅地も、日本人の居住率が高い都市です。
おすすめエリア3.ノルマンディ地方
フランス北西部に位置し、夏でも年間平均気温が23~24度と過ごしやすい地方です。歴史的にイギリスやアメリカとの関わりも深く、英語も通じやすい地方と言えます。国内外の印象派の画家たちが多くの作品を残したロマンチックな町が多く、ドーヴィルやオンフルールなどの観光名所など、バカンス時には勿論、週末にはパリからも沢山の観光客が訪れる地方です。
おすすめエリア4.ブルターニュ地方
フランス西部のマンシュ半島を占める地方で、モン・サン・ミシェルから西を指します。やや粗削りな自然が多く残り、ガリアの古代史跡やケルト文化など地方色が根強く残る独自の地域文化を持っています。日本とのつながりも強く、「働き者で親切」という評判の高い地元民とは日本人とすぐに馴染みやすい性質を持っています。
おすすめエリア5.南仏コートダジュール地方
フランス南部の地中海に面した、セレブなリゾート地を代表するコートダジュール地方は、年間を通じて温かく、夏でも湿気がないためカラッとした暑さで快適な夏を過ごせます。5月には世界的に有名なカンヌ映画祭や、モナコのF1グランプリなど、セレブなイベントも目白押しで、常に観光客で溢れています。冬場は比較的静かでムードある南仏の海辺や太陽をゆっくり満喫できるリゾート地です。
おすすめエリア6.南仏プロバンス地方
プロバンスに移住した英国人作家ピーター・メイルによるベストセラー「南仏プロバンスの12カ月」で、世界的に一躍脚光を浴びたブロバンス地方は、一年中温かく乾いた地中海気候で快適な毎日を過ごせます。プロバンス地方の温かい土地柄と人情、美味しい農作物やロゼワインなど、メイルの本のページを開けば、夢のような移住生活の世界に誘われることでしょう。
おすすめエリア7.アルプス地方
山や湖の景色が好きな人、登山や山歩き、ウィンタースポーツが得意な人ならアルプス地方をお薦めします。スイスとイタリアの山間部に隣接するフランスのアルプス地方は、8000m級の山々が連なり、その光景は圧巻の一言に尽きます。壮大な自然と澄んだ空気に包まれて、身も心も清浄化されていくのを日々感じ取ることができるでしょう。地方特産のチーズやワインも豊富で、グルメ生活も充実しています。
おすすめエリア8.アルザス地方
ドイツとの国境に近いアルザス地方は、フランス東端の辺境のイメージがありますが、産業も発展しており生活水準が高いことでも知られる地域です。ドイツ的な規律正しい生活態度が慣習化しており、日本人にも馴染みやすい生活環境と言えます。冬のクリスマス市は有名でアルザスのノエルは観光客で賑わいます。
以上の他に、ワインやワイン文化に興味ある人なら、ボルドーのある「フランス南西部」や「ブルゴーニュ地方」もおすすめです。どちらも歴史と文化に育まれた豊かな大地がひろがり、ゆったりとしたロハスな時空を体感できるでしょう。
まとめ
以上、フランスへの移住に夢と希望が膨らんできたのではないでしょうか?「移住」と言うと、何か大きな決意が必要な気がしますが、あまり重々しく考えないで「長期滞在」のニュアンスで移り住む、と考えれば足取りも軽く夢を実現しやすくなります。元々日本で生まれ育った日本人なのですから、外国に骨を埋める決意で、などと意気込まなくていいのです。
「移住」という言葉には「新たな気概で新たな事にチャレンジする」といった、前向きな姿勢が込められています。環境を変えて新たな自分磨きをするのは、年齢に関係なくいつでも始めることができるのです。フランス人が口を揃えて言うところの「人生は楽しむためにある」を実現する権利は、今まで一生懸命働いてきた働き者の日本人こそ享受していいものではないでしょうか。
「移住」は人生のゴールではありません。「苦難の道」でもありません。人生を楽しみ充実させるための、多くの可能性を秘めた一つの選択肢なのです。