すぐお隣の国である韓国は、食文化や生活習慣、あるいは民主主義国家としての歴史など、日本と多くの共通点を持つ国です。それでも、韓国で外国人が不動産投資を行うときには、事前に把握しておきたいポイントがあります。

韓国で外国人が不動産を購入する際に規制はあるのか、物件以外にかかる費用はあるのかなど、気になることは多いでしょう。そこで、今回は韓国で不動産を購入するときの方法やルール、税金について、ステップに分けて解説していきます。

韓国不動産の購入規制をチェック


日本に住みながら韓国へ不動産投資をする場合には、非居住外国人として分類されることになります。その際、適用される韓国の法律は、主に以下の3つです。

  • 外国人土地法
  • 外国人投資促進法
  • 外国為替取引法

不動産売買はこれらの法律に従い、各種の申請や税金の納付などを行う必要があります。

1998年に制定された外国人投資促進法により、それまで許可制であった土地取得の制度が申告制へと変更されました。海外からの投資に対して門戸を開いたことにより、外国人であっても韓国人とほとんど同じように不動産売買が行える環境となっています。

韓国の不動産投資移民制度とは


海外からの不動産投資を活発にするという目的から、韓国には不動産投資移民制度が作られています。日本の法務省にあたる法務部が指定したエリアの不動産に、基準の金額を超えた投資を行った外国人が対象です。基準となる金額は指定エリアによって異なるため注意しましょう。

不動産投資移民として認定された場合、まずは長期ビザにあたるF-2ビザが与えられ、5年が経過すると永住権を取得することが可能となります。不動産投資だけでなく、韓国への移住も視野にいれている人には魅力的な移民制度といえるでしょう。

韓国の不動産を購入するための7つのステップ


ステップ1. エージェントを探す

まずは、不動産手続きを行ってもらうエージェントを探さなければなりません。インターネットなどで物件の目星がある程度ついているようならば、エージェントに相談して手続きを具体的に進めていく必要があります。

現地のエージェントに直接依頼するという方法もありますが、おすすめは日系のエージェントです。日本語による円滑なコミュニケーションが図れるのは大きいでしょう。また、日本人の海外不動産投資について、経験とノウハウが蓄積されているというのも大きなメリットとなります。

ステップ2. 物件選びと内見

不動産エージェントにアドバイスをもらいながら、予算やエリアなどから希望の物件を選んでいきます。その後は、現地へ赴いて内見を行うことがおすすめです。

日本からの不動産投資が盛んな東南アジア諸国に比べると、韓国はすぐ隣にあるもっとも近い国となります。この距離の近さは、現地に足を運ぶ際に大きなメリットです。

内見の際には不動産の立地をしっかりとチェックしましょう。主要道路や駅などからの距離、周辺環境、土地開発がどのように進められているかなどを考慮して、投資に適した物件かどうかを判断します。

ステップ3. 売買契約を結ぶ


希望する物件が決まったら不動産の取得契約を結ぶことになります。契約時には保証金として購入金額の何割かを支払うことが一般的ですが、保証金の金額は不動産会社や売主の意向によって異なるようです。

また、韓国で不動産を取得する際には、不動産取得申告と土地取得申告、そして不動産登記を契約締結日から60日以内に行わなければなりません。それらについても詳しく見ていきましょう。

ステップ4. 不動産取得申告を行う

非居住の外国人が不動産を購入する場合には、韓国の外国為替銀行で不動産取得申告を行わなければなりません。不動産売買の許可を申請するのではなく、あくまで申告のみとなるため、手続きが停滞することはないでしょう。

不動産取得申告は、不動産を取得するための資金を銀行から引き出すときに行うことになります。不動産取得契約書や登記簿謄本、日本における住所証明書なども提出しなければなりません。事前にしっかりと準備しておきましょう。

ステップ5. 土地取得申告を行う


非居住の外国人が韓国国内の土地を取得する場合、土地取得申告の手続きを行うことが外国人土地法によって定められています。

これは土地のみが対象となっており、建物について申告する必要はありません。しかし、韓国の不動産は土地と建物を切り離さずに売買されることが一般的なため、不動産取り引きの際には土地取得の申告を行うことが求められるでしょう。

個人で購入する際には、その土地の用途や面積などによる制限はありません。ただし、軍事関連の施設に隣接している土地や、文化的価値により保護されている地区などには取得制限があります。

ステップ6. 所有権移転の登記

不動産取得申告と土地取得申告が完了したら、いよいよ所有権移転の登記となります。まずは出入国管理事務所に行き、不動産登記用登録番号を発給してもらいましょう。

登記の期限は、契約締結日から60日以内となります。不動産のある管轄登記所で速やかに行いましょう。

ステップ7. 瑕疵への対応


韓国では購入した物件に欠陥などがあった場合、売主の担保責任が法律で定められています。民法では所有権の瑕疵などについても規定が設けられており、日本の売買契約と大きな違いはありません。

購入した住宅に欠陥があった際には、できるだけ早く不動産エージェントに相談しましょう。

韓国の不動産売買で支払う税金とは


韓国で不動産購入時に支払う主な税金は以下のとおりです。

  • 購入費用に応じた税率が適用される「取得税」
  • 農漁業保護のための「付加税」
  • 建物購入費用の10%が課せられる「付加価値税」
  • 不動産の譲渡契約に必要な「印紙税」

韓国には政府が指定した「外国人投資地域」が設けられており、このエリア内であれば取得税の減免が受けられます。

不動産を保有している場合には、日本の固定資産税に相当する「財産税」などがかかりますが、日本よりも税額は安い傾向にあります。また、保有していた不動産を売却するときには、不動産の譲渡価格から取得価格や必要経費を除いた「譲渡所得税」などを支払わなければなりません。

韓国での不動産売買に融資は受けられる?


非居住の外国人が韓国で不動産を取得する場合、支払いを手持ちの現金のみに絞る必要はありません。すでに韓国国内で不動産投資を行っているならば、不動産担保融資を考えてみるのもよいでしょう。それぞれの銀行が設けている個人向けローンなどについても、情報を集めてみることをおすすめします。

また、韓国には「チョンセ」と呼ばれるユニークな家賃制度があります。賃貸契約を行うときにまとまった保証金を支払うことで、月々の家賃が無料となるといったものです。この保証金は、その住宅を購入できる金額の5~8割といわれています。

しかし、近年は金利の低下により家賃制度が変わりつつあります。

以前は韓国の銀行の預金金利が6~10%と高金利だったため、チョンセで得たお金を銀行に預けることで、家賃よりも収益を得ることができたり、そのお金と銀行からの融資を組み合わせて、不動産投資の機会を増やしている人も少なくなかったようです。

最近は金利も1~2%と下がり、住宅自体も、80万戸というマンションの大量供給が始まることで不動産価格が停滞するのではないかという懸念から、新たな不動産投資を控え、リスクのあるチョンセより「ウォルセ」と呼ばれる月極め家賃の形式で家賃収入を得る不動産オーナーが増えてきているようです。

日本との違いを事前に把握して


日本人にとっては「近くて遠い国」といわれる韓国ですが、日本との距離はもちろんのこと、政治体制や法体系、生活習慣などが似ている点は、不動産投資にとってメリットになります。

不動産売買における日本との違いについてもしっかりと把握して、予想されるリスクを最小限に抑えましょう。

SEKAI PROPERTYでは、現地のデベロッパーや不動産エージェントと提携し、いち早く正確な情報を提供できるほか、現地日系企業とも複数提携しており常に新しい情報を入手することができます。韓国の不動産投資を検討している方はお気軽にお問い合わせください。