東マレーシア最大の都市コタキナバルのタンジュン・アルでは、「タンジュン・アルエコ開発(Tanjung Aru Eco Development (TAED))」と呼ばれる複合開発プロジェクトが進められている。バンクーバーやシドニーといった世界的な臨海都市を参考にし、自然と街が調和したデザインが取り入れられるという。
TAEDプロジェクトについては様々な環境やデザインへの取り組みが認められ、「シンガポール景観設計アワード2019(the Singapore Landscape Architecture Awards 2019)」において金賞を受賞した。プロジェクトの景観デザインについては、約1年かけて丁寧に検討されたという。
マレーシア・サバ州の玄関口でもあるコタキナバルは、ジャングルなど大自然でのアクティビティや優雅なビーチリゾートが楽しめる場所として近年観光客も増加している。開発においては、その素晴らしい自然に細心の注意を払って進めていく必要があると考えられている。
開発における森林の保護については、サバ州林業局との協力体制の下で行われており、ランドマークともなっている木々については残され、その他については適宜移植させるなど工夫を凝らした措置が取られている。
Singapore Institute of Landscape Architecture(SILA)が主催するSILA Awardsは今年で12回目となり、シンガポール国内およびアジア地域の優れた景観建築・設計を行う団体が2年に一度表彰されている。今回の賞は、専門家からクライエントまで広く知られている賞であり、プロジェクトに対する熱意や質が認めらたとしてTAEDプロジェクト関係者も喜びをあらわにしているという。
現在の景観設計においては、「種の多様性」と「気候変動」が大きなテーマとなっており、TAEDのようなプロジェクトは、問題を緩和するだけではなく理想的な環境を作り出す上でのスキルや役割を実証するものになっていると関係者は話す。また都市開発関係者のみならず、地元当局や国際的なエンジニア、環境の専門家など幅広い分野の関係者と共に協力し、進めることがプロジェクト成功には必要不可欠になるという。
TAEDプロジェクトについては、多額の費用がかかるという理由から一度中止に追い込まれたが、政権交代を機に、規模の縮小などを含むプロジェクトの見直しが行われた。
プロジェクトのマスタープランは、ボルネオ島に新しいレジャーリゾートを作ることを視野に策定されている。住民にとっても観光客にとっても魅力あるエリアにすることを目標に、さらにサバ州やボルネオ島を訪れる観光客を迎え入れ、自然や歴史を学び、体験すると共に自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のあり方「エコツーリズム」を推進していくことが求められる。
Photo:dailyexpress
【参照】Award-winning Tg Aru project design inspired by waterfront cities
海外不動産の最新動向が届くメールマガジンの登録はこちら。