下落が続いていたオーストラリアの不動産価格だが、ようやく回復の兆しが見えてきた。しかし住宅購入については、いまだ多くの国民を悩ませる問題となっている。
最新のレポートでは、オーストラリアの住宅中間価格は2.7%上昇し77万ドル(約5,800万円)を超え、国内不動産関係者の68%が「今後6カ月間においても価格上昇が続く」と見ているという。
オーストラリア準備銀行(RBA:中央銀行)は、今年に入り3回の政策金利の引き下げを行っているが、住宅購買意欲を高めるまでには至っていない。若い世代の大半が、将来の住宅所有について懸念を示している状況だが、問題解決となる糸口はあるのだろうか?
アプローチの一つとして注目されているのが、狭小住宅である。ここで言う狭小住宅とは、37㎡以下の住居で、建物下部に車輪がついているトレーラーハウスを指す。このようなトレーラーハウス型極小住宅は、世界金融危機に直面した時期にアメリカで人気を集めた。人気が出たとは言え、その認知度はまだまだ低いのが現状だ。
オーストラリアにおいても、シンプルかつ効率的な生活を求める声は高まりを見せており、ドイツのHäuslein Tiny House Co社が2つの極小住宅モデルを披露している。価格については10万ドル(約750万円)程度で、これはシドニーの住宅中間価格の1/10に当たる。
現在のオーストラリアの不動産市場を鑑みると、狭小住宅購入は理にかなった投資と言えるだろう。まず価格がリーズナブルであるため(最高級クラスの物件でさえ、シドニーの物件の20%程度で購入可能)ローン返済期間は数年で済む。
もちろんこのような狭小住宅は、すべての人に通用するソリューションというわけではない。狭いスペースで暮らすことを苦痛に感じる人もいるだろう。シンプルな生活を求める人は多いが、実用性についても十分検討する必要がある。
またトレーラーハウス型の住宅には、土地がついていないというデメリットもある。しかし地方議会は、このような狭小住宅について理解を示しており、今後さらに受け入れ体制が整えられていくことが期待される。
狭小住宅は、法的にキャラバン(トレーラーハウス)に分類される。オーストラリアでは、既存住宅の敷地内に狭小住宅を設置するのに行政の認可は必要ないため、家族や友人の家の敷地内で生活することが可能となる。さらに年60日間使用されていない、もしくは1度の使用が48時間に満たない空き地についても、認可なしにキャラバンを設置することが可能である。
状況に応じた生活が可能となる狭小住宅は、住宅問題が山積みとなっているオーストラリアで住まい選びの選択肢の一つとなっていくだろう。
Photo supplied by Häuslein Tiny House Co
【参照】Are tiny houses the solution to housing affordability?
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