2023-02-17

中小企業の節税対策10選!対策が求められる理由やポイント

  • 海外不動産コラム

中小企業が生き残るためには、単に会社の売上を伸ばしていくだけでなく、節税対策が求められます。しかし、どのような節税対策を行えばよいのか、節税対策の方法が分からないといった悩みを抱えている中小企業も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では中小企業に適した節税対策10選を紹介します。節税対策が求められる理由や、節税対策時のポイントもまとめているので最後までご覧ください。

中小企業が納める税金の種類

法人企業を経営するなかで、主に以下の税金を納めることとなります。会社の所有物に対する税金、利益に対する税金など、さまざまな税金を納めなければなりません。納税漏れが出ないように、1つ1つ自社で納めるべき税金を把握しておきましょう。

税金の種類 内容
法人税
法人に課せられる税金で、中小企業向けに軽減措置がある。
法人住民税
個人の住民税と同様に、法人にも住民税が課せられる。
法人事業税
事業を行っていくにあたり、行政サービスを利用するために課せられる税金。
消費税
商品やサービスの売上にも消費税が加算される。課税売上高1000万円以下の事業者は、免税の対象となる。
印紙税
契約書や領収書など一定の文書を作成する際に課税される。
登録免許税
登記・権利などを登録する際に課せられる。
固定資産税
企業が保有する固定資産に課せられる。

中小企業で節税対策が求められる理由

企業の規模を問わず、どの企業でも節税対策は安定的な経営実現に重要な要素となります。とくに、中小企業はさまざまな理由で節税対策が必要です。どのような理由から、中小企業で節税が求められるのかを解説します。

外部から資金の調達が難しい

中小企業は、大企業と比べて外部から資金を調達するのが難しいと言われています。社会的な信用度や知名度、ビジネス規模の大きさが異なることから、すぐに資金調達を行えるわけではありません。

また、金融機関から融資を受ける方法に関しても、会社の経営状況を細かく説明しないと、中小企業は審査に苦戦する可能性があります。資金調達が難しいなかで、支出を可能な限り抑えるためには節税対策が求められます。

大企業よりも税負担が大きい

現行の法人税によると、中小企業は大企業よりも税負担が大きいことになります。大企業(資本金1億円超)の法人実効税率は、「30.62%」です。

一方、中小企業(資本金1億円以下)の法人実効税率は、「34.59%」です。中小企業には一定の税優遇が適用されますが、基本となる法人税率は中小企業の方が高い数字となっています。

会社の経営状況が不安定になりやすい

潤沢な資金を有する大企業と異なり、中小企業の資金には限界があります。今は順調に経営が進んでいても、ビジネスの変化や経済的な逆風によって、いつ倒産するか分かりません。

このような難しい状況のなかで、中小企業は節税対策を行いつつ経営の安定化を図ることが重要です。最悪の事態を防ぐためにも、節税対策をしながら資金を貯える必要があります。

中小企業で始められる節税対策の裏ワザ10選!

中小企業は、資金調達が難しいことや、会社の経営が不安定になりやすいことなどから、節税対策が求められます。中小企業でも始められる節税対策の裏ワザ10選を紹介するので、1つ1つ確認してきましょう。

参考記事:経営者に効果的な税金対策10選!個人事業主や中小企業に適した節税方法とは?

1.役員報酬を活用する

1つ目の節税対策として、役員報酬を活用する方法が挙げられます。役員報酬は、経営者や経営陣である役員が受け取る報酬のことで、税務上における経費として処理できます。

また、親族を役員に就任させ、所得分散を図りながら相続税の対策を行えます。業務実態がないままだと税務署に指摘される可能性がありますが、一定の業務を担っていれば、親族への役員報酬分を経費に当てられます。

2.必要のない固定資産を売却する

次に、不必要な固定資産の売却です。減価償却の期間が終わる前に、使用していない固定資産を除去することで、残りの減価償却費も合わせて経費として計上できます。

また、固定資産は毎年1月1日に所有している状態だと、固定資産税も課せられます。今後も使用する予定がなければ、廃棄・帳簿から削除し、固定資産税の節税対策につながります。

3.設備投資を進めていく

不要な固定資産を帳簿から外すことで固定資産税の節税対策になる一方、設備投資を進めながら節税対策を行えます。年度内に過剰な利益が発生した場合、利益分に応じて、法人税を納めなければなりません。

なお、30万円未満のモノを購入すると、少額償却資産の特例に基づいて一括で経費にできます。通常、10万円以上のモノは、数年にわたって減価償却として経費にしなければなりませんが、中小企業であれば30万円未満でも一括での経費処理が可能です。

4.人材への投資を行う

設備投資だけでなく、人材への投資も節税対策に効果的です。「所得拡大促進税制」や「雇用促進税制」といった制度を活用することで、税額控除を受けられます。

前者の所得拡大促進税制は、前年度よりも従業員の給与額をアップさせると、法人税が減税される制度です。また、雇用促進税制は、適用年度中に一定人数を雇用すると、法人税の税額控除が受けられる制度です。詳しくは、以下の資料も参考にしてください。

厚生労働省HP:所得拡大促進税制雇用促進税制

5.法人で不動産投資を始める

法人で不動産投資を始めることも節税対策につながります。法人名義で不動産を保有すれば、福利厚生という形で従業員向けに社宅として使い、経費に計上できます。

また、現金を親族に相続するよりも、不動産として相続した方が相続税の節税対策にも効果があります。相続財産の価値を計算する際に用いる「相続税評価額」が、不動産の時価よりも下回る(一般的に時価の7〜8割)ため、相続税対策に有効です。

参考記事:不動産投資の空室対策10選を紹介!空室の原因や埋めるアイデアとは?

6.経営者保有の不動産を法人に貸し付ける

中小企業の経営者が不動産を保有している場合、自社法人に貸し付けることで節税効果が期待できます。会社側としては、社宅や事務所として借りた不動産を活用することとなります。

事業向けに不動産を使えば、所有者である経営者に支払われる費用は、経費として精算できます。ただし、法人の節税につながる一方で、経営者側は不動産の所得税が課せられる点に注意が必要です。

参考記事:経営者が不動産投資を行うメリット5選!資産運用や節税効果を狙う戦略

7.既存とは別の会社を設立する

今の会社とは別に、資産管理用の会社を設立することで節税対策を狙えます。年間の所得が800万円を超える企業は、23.2%の法人税を納める必要があります。

一方、中小企業では、年間所得が800万円以下の部分に関して、15%の軽減税率が適用されます。つまり、別会社を設立し、所得を分散させることで節税効果を高められるということです。とはいえ、別会社に事業実態がなかったり、取引内容が不自然であったりすると、税務署にて調査が行われる危険性があります。

8.中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入する

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは、取引先企業が倒産した際に、連鎖的な倒産や経営難を防ぐための共済です。1年以上事業を行っている中小企業や個人事業主が対象で、支払った掛金を経費として計上できます。

なお、中小企業倒産防止共済に加入しておけば、上限8000万円で掛金の10倍を借りることが可能です。ただし、解約時の返戻金は収益の扱いとなるので、課税対象となる点に注意が必要です。

9.出張手当を支給する

出張手当として支払った分に関して、経費として計上することが可能です。出張手当とは、宿泊費・交通費といった出張にかかった費用とは別に支給されるもので、実際に使った金額に関係なく一律で支払われます。

出張手当の支給で節税するためには、法人にて旅費規程の作成が必要です。旅費規程の通りに、従業員に対して出張手当を支払うことで課税対象外となります。

10.福利厚生を利用する

福利厚生は、懇親会、社内旅行、通勤手当、慶弔見舞金、健康診断費などが該当します。経費として計上できるほか、従業員のモチベーション向上にもつながります。

ただし、出張手当同様に福利厚生を経費として扱うには、「社内規定を作成すること」、「全従業員が対象であること」、「常識的な金額の範囲内であること」が条件となります。とくに、3つ目の「常識的な金額の範囲」は、とくに法律で定められているのではなく、合理的に説明できるかどうかが重要です。

中小企業が節税対策を行う際のポイント

中小企業が節税対策を行うにあたって、さまざまなポイントに注意が必要です。どのような点を意識すればよいのか、3つのポイントを紹介します。

過剰な節税対策の実施はしないようにする

過剰な節税対策は、実施しないように気をつけましょう。具体的には、決算のタイミングで来年度に必要なモノを大量に購入したり、人材・設備投資を過度に行ったりするといったことです。

一定の節税効果は得られるものの、お金を使いすぎてしまうことで、損失につながる可能性が考えられます。また、過剰な節税対策を行っていると、税務署から調査を受けることもあるので注意が必要です。

税金の繰延効果は一時的な対策に過ぎない

税金の繰延効果とは、税金の支払いを引き延ばす制度です。一見、会社から出ていくお金が減るので、節税対策に効果があるように思えますが、一時的に納税を逃れただけに過ぎません。最終的には繰延した税金も支払う必要があるので、節税効果としては十分な対策とならない可能性があります。

節税対策に関して専門家に相談する

節税対策を行う際には、各専門家への相談も検討しましょう。とくに、税金のスペシャリストである税理士に相談することで、どれくらい節税効果を狙えるのかを試算できます。

また、不動産投資で節税効果を図りたい場合には、専門的な知識を有する担当者に相談することを推奨します。当社では、カンボジアやマレーシアに現地法人を設置し、海外不動産投資のサポートを行っています。不動産投資に興味がある方は、この機会にぜひお問い合わせください。

参考記事:【不動産投資初心者必見!】始め方やメリット・デメリット、成功のコツは?

まとめ

中小企業は、大企業よりも資金的に安定していないことや、税率も高く、節税対策をしっかりと行う必要があります。本記事でも紹介したとおり、さまざまな節税対策があるので1つ1つ確認してみてください。

とはいえ、節税対策だけに意識が奪われないように注意しなければなりません。各専門家にも相談しながら、自社に適した節税対策を行うようにしましょう。