
イギリスで不動産投資にチャレンジしてみたいけれど、税金面や利回りがどれくらいになるのか気になる方も多いのではないでしょうか。外国人による不動産の購入規制が緩いと言われる一方で、デメリットにも注意しなければなりません。
本記事では、イギリスの不動産投資に関するメリット・デメリットを解説します。さらに、イギリスの不動産投資に迷われている方向けに、今後の経済発展が見込まれる新興国の不動産も紹介しているので、投資先をじっくりと比較してみてください。
イギリスで不動産投資をするメリット
イギリスは、外国人投資家への不動産購入規制が少なく、日本人の方でも不動産投資でメリットを得られる国です。どのようなメリットがあるのかを踏まえたうえで、今後の検討材料にしてみましょう。
イギリスの不動産価格が上昇傾向にある
イギリスの不動産価格は、最近10年間で上昇傾向にあります。UK House Price Index summary: March 2025によると、2025年3月の住宅価格は、£271,000(約5,500万円※)と推定されており、前年同月比で 6.4% の上昇を記録しています。(※1)
近年では、コロナ禍による一時的な価格停滞や変動はあったものの、住宅価格インデックス(UK HPI)は再び上昇軌道に戻っており、2025年3月〜4月の間でも月次ベースで上昇が続いています(例:3月→4月で+1.1%上昇) 。また、年率換算での上昇率も安定しており、3年~5年スパンでも堅調な上昇が続いています。
なお、地域別・物件種別によって上昇率にはばらつきがあり、ロンドンなどでは比較的伸びが鈍化している傾向も見られます。
※1 ポンド=202円で計算
法整備による安全な不動産投資が可能
イギリスは、不動産に関する法整備も進んでいるのが特徴に挙げられます。新興国のなかには、法整備が進んでいない国も多く、契約時や売却、税金などでトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。
一方、イギリスでは、不動産の取引時に「ソリシター(Solicitor)」と呼ばれる弁護士が、買主・売主の双方に付きます。そして、イギリスの法律に基づき、不動産購入の手続きや本人確認、マネーロンダリングといった厳しい審査をクリアし、最終的に購入に至ります。買主・売主が同じ目線で購入プロセスを進められるため、外国人でも安全に投資しやすいのがメリットです。
イギリス不動産投資のデメリット
外国人でも投資しやすいイギリスの不動産ですが、購入時に注意しておきたいこともあります。トラブルや損失を防ぐためにも、不動産投資を始める前に、次の4つの注意点を把握しましょう。
イギリス経済の先行きが見通しにくい
不動産投資を考える際に注意すべき点として、イギリス経済の先行きが必ずしも安定していないことが挙げられます。一見すると不動産価格は上昇傾向にありますが、マクロ経済面では成長見通しが抑制されつつあります。2025年第2四半期には GDP が前期比 +0.3% の伸びにとどまり、成長ペースは鈍化傾向を示しています。 (※3)
複数の予測機関も、2025年の成長率をおおむね 1.2〜1.3%程度と見通しており、構造的な制約や国際的な逆風が成長を抑えるリスク要因とされています。 
こうした経済の不透明さは、消費や企業投資の抑制、金利の上昇圧力、住宅ローン需要の減退といった波及を通じ、最終的には不動産市場にネガティブな影響を及ぼす可能性があります。
イギリスの不動産売買は英語を使ったコミュニケーションが必要
次に、イギリスで不動産売買を行う際には、基本的に英語が必要です。イギリスの公用語は英語であり、人と人とのコミュニケーションだけでなく、不動産の契約書や公的な書類も英語で記入しなければなりません。言語が苦手な方にとって、単独でイギリスの不動産を購入するとなると、ハードルが高くなる恐れがあります。
銀行口座の開設と融資の借り入れが難しい
イギリスの銀行口座開設は、非居住者の外国人の場合、ほぼ不可能であるという認識で問題ありません。
次に、融資の借り入れについても、金融機関の口座を持っていないことから難しいと考えてください。また、日本の金融機関から、海外不動産購入に関する融資を借り入れることも難しいため、基本的に現金を用意することとなります。
イギリス不動産投資の表面利回りはそこまで高くない
イギリスの表面利回りは、一般にそれほど高い水準ではない点が投資における注意点の一つです。かつては 3~4% 程度といわれることもありましたが、最新データでは平均グロス利回りは 5.9~7.0%前後 と報告されるケースが多く、地域や物件タイプによって大きく変動します。(※4)
ロンドン中心部などでは物件価格が高騰しているため、利回りは抑制される傾向があります。ロンドンの平均利回りは約 4.3% 程度と報じられており、都心では 2.5~3.0% 程度の低利回りになる物件も見られます。(※5)
また、グロス利回りから管理費・修繕費・空室リスク・税金・運営コストを差し引いた実質利回りはさらに低くなるため、実質的な収益性を見極める必要があります。
イギリスの不動産投資情報に詳しい会社を探す手間がかかる
途上国と比較して法整備が整っている点が、イギリス不動産投資の安心材料と言えます。とはいえ、英語でのコミュニケーションが必要なことや、現地の不動産情報を入手するにあたって、イギリスの不動産に精通した会社を探すことも大切です。
とくに、不動産の会社選びで重視したいのが、現地法人を設立しているかどうかです。最新の不動産情報が入手しやすいだけでなく、英語によるコミュニケーションのサポートや、投資に最適な不動産を紹介してくれるので、スムーズに不動産投資を始められます。
イギリス不動産投資に関する税金の種類
イギリスの不動産投資では、主に「土地印紙税」、「所得税」、「キャピタルゲイン税」、「カウンシル税(Council Tax)」が課せられます。とくに、不動産売却時のキャピタルゲイン税が高い点に注意が必要です。
キャピタルゲイン税
キャピタルゲイン税とは、不動産売却時に課せられる税金です。売却額に応じて税率が変わりますが、基本的には売却益に対して18%または24%が課税され、納税者の所得水準により適用が分かれます。
土地印紙税
土地印紙税は、日本における不動産取得税にあたるものです。物件価格に応じて、0〜12%の税金が課せられます。
賃料の所得税
日本と同様に、イギリスでも累進課税が採用されています。以下のとおり、所得額に応じて税率も高くなります。
所得額 |
税率 |
~£12,570(約250万円) |
税率0% |
~£50,270(約1010万円) |
税率20% |
~£125,140(約2,530万円) |
税率40% |
£125,140 ~(約2,530万円)以上 |
税率45% |
カウンシル税(固定資産税)
カウンシル税は、固定資産税に近いもので、イギリス国内の不動産に居住する限り支払わなければならない税金です。ただし、購入した不動産に別の入居者がいる場合は、入居者が支払います。一方、入居者がいない場合には、非居住者でも不動産を購入した人物が支払う必要があります。
不動産投資におすすめの国
イギリスは、不動産価格が高く、融資の借り入れも難しいことから、相当の資金力が必要となります。「海外不動産は資金がないと難しいのか」と思われる方もいるかもしれませんが、東南アジアであれば、イギリスの不動産よりも安く購入できます。経済成長が著しい東南アジアのなかでも、不動産投資におすすめの国を紹介します。
カンボジア
近年、カンボジアは、目覚ましい経済成長を遂げています。2020年は、新型コロナウイルスの影響で-3.1%まで落ち込んだものの、2021年は3.0%まで回復しました。2025年は4〜5.8%程度の成長レンジが示されており、サービス・輸出の改善がけん引しています。経済成長に伴い、不動産価格の上昇も期待できます。
また、カンボジアは、非居住者の外国人でも銀行口座を開設できるほか、米ドルでの不動産売買に対応しています。資産運用の面でも、為替リスクへの安全性にメリットがあります。
フィリピン
フィリピン経済はコロナ禍の2020年▲9.5〜9.6%から反転し、2021年+5.6%、2024年+5.6*まで回復。2025年は+5.3%成長が見込まれています。
世界銀行の所得分類では下位中所得にとどまるものの、2024年のGNI/人は4,470米ドルまで伸び、上位中所得入り(閾値4,496ドル)まで26ドル差に迫りました。
住宅価格はセグメントにより強弱があり、中銀統計では2025年Q2の全国中央値は約340万ペソ。都市部コンドミニアムは300〜700万ペソ帯の在庫も多く、取得額のボリュームゾーンとして妥当です。外国人の住宅ローンは銀行により要件・可否が異なり、ビザや収入証明等の条件付きで取り扱う銀行もあります。
フィリピンの不動産は、600万ペソ(約1,500万円)ほどで購入可能な物件も多く、融資を受けられにくい一方で、金銭的な負担を抑えやすいのがメリットです。
マレーシア
マレーシアの不動産は、利回りだけでなく、キャピタルゲインを狙いやすいのも特徴です。コロナ後に持ち直し、2025年成長率は4.0〜4.8%程度が見込まれています。
為替・輸出・関税動向に左右されるが、内需の底堅さが支えです。日本からは直行便で約7〜8時間(便・空港により7時間台前半〜8時間強)でアクセスでき、比較的現地確認が容易です。
生活環境面では、ロングステイ財団の“希望国”ランキングで長期にわたり1位(2023年発表時点で15年連続)と、日本人の移住先としての人気も根強く、投資では家賃収益に加え、都心再開発など中長期のキャピタルゲインを狙う戦略も検討余地があります。
まとめ
イギリスの不動産は、外国人でも比較的購入しやすいのがメリットです。しかし、利回りがあまり期待できないことや、イギリス経済の先行きが見通しにくいこと、イギリス現地に精通した不動産会社を探す手間がかかるなど、注意するべき点が多くあります。
そこで、日本からも訪れやすい東南アジアの不動産がおすすめです。今後の経済成長や人口増加に伴い、不動産価格の上昇が期待されています。
当社は、マレーシアとカンボジアに現地法人を設立し、お客様の不動産投資をサポートしています。東南アジアの不動産にご興味がある方は、この機会にぜひお問合せください。
出典一覧
※1 GOV.UK『UK House Price Index summary: March 2025』
※2 GOV.UK『UK House Price Index for June 2025』
※3 Office for National Statistics『GDP first quarterly estimate, UK: April to June 2025』
※4 YIELD INVESTING『Average Rental Yields in the UK: 2025 Guide for Property Investors』
※5 RPA GROUP『A Guide to London Property Rental Yields for Investors』
※6 GOV.UK『Rates and thresholds for employers 2025 to 2026』