海外不動産投資では、一般的に国内不動産投資よりもローンを利用する難易度が高く、資金調達が課題となるケースも多いものです。この記事では、2021年初頭の時点でマレーシア不動産投資に利用できるローンについて、金融機関と貸付条件等を解説します。

外国人でも住宅ローンを利用できる現地の金融機関

2021年時点で外国人にも融資しているマレーシアの金融機関は2行あります。それぞれの貸付条件等について解説します。

Malayan Banking Berhad

Malayan Banking Berhadは別名Maybankともいう銀行です。マレーシア国内では最大手の金融機関で、外国にも支店があります。Malayan Banking Berhadでは、保持しているビザの種類や勤務先などによって融資限度額が異なる点に要注意です。主な融資条件は以下の表のようになっています。

項目
貸付条件
融資限度額
物件価格(物件評価額)の60%〜90%
返済期間
10年〜30年(完済時の年齢が70歳以下であること)
金利種類
固定金利
貸付金利
3.25%以上

※2021年初頭時点の情報であり、詳細な貸付条件は審査によって異なります。

HSBC Bank

HSBC Bankは1865年設立でイギリスに本社を置いている国際金融機関です。支店は世界各国に渡っており、規模は世界最大級になっています。主な融資条件は以下の表のようになっています。

項目
貸付条件
融資限度額
物件価格(物件評価額)の 80%
返済期間
最長35年(完済時の年齢が70歳以下であること)
金利種類
固定金利
貸付金利
3.50%以上

※2021年初頭時点の情報であり、詳細な貸付条件は審査によって異なります。

現地金融機関でローンを利用する際の注意点

マレーシア現地の金融機関でローンを利用する場合に最も注意すべきポイントは、金利と最低預金額です。特に、最低預金額を維持しておかないと口座凍結の恐れもあるので、口座残高には注意を要します。

金利は日本国内より高い

マレーシアの金融機関が貸し付ける住宅ローンの金利は、マレーシアの政策金利によって決まります。マレーシアの政策金利は2021年3月時点で1.75%です。その一方で日本の政策金利は0.1%に届いておらず、マレーシアと日本とでは政策金利が大きく違います。

また、マレーシアは日本よりも経済成長率が高く、インフレの進行度合いも異なります。住宅ローンを日本と同じ水準の金利で使うことはできないので要注意です。支払金利は不動産投資にかかる経費の中でも大きなウエイトを占めます。利回りが不十分だと、現地金融機関のローンを利用した場合にキャッシュフローを残せないので要注意です。

最低預金額に要注意

海外の金融機関でローンを利用する場合は、融資元の金融機関で預金口座を開設し、自動引落などの方法で返済することになります。外国人が海外現地の金融機関で銀行口座を開設する場合は、最低預金額の規定があることも多いものです。

また、非居住者の外国人に対する最低預金額は高額に設定されていることも少なくありません。ローン返済によって残高が最低預金額を割り込んでしまうと、口座が凍結されてしまう恐れもあります。1度口座が凍結されてしまうと、口座復旧に時間がかかることもあり、物件運用に多大な支障をきたします。現地金融機関でローンを利用する場合は、ネットバンキングによる、こまめな残高確認が必要です。

不動産担保ローンを利用できる日本国内の金融機関

日本国内にローン完済済みの不動産を所有している場合は、当該不動産を担保として海外不動産投資の資金を借りられます。主な金融機関と融資条件について解説します。

オリックス銀行

オリックス銀行では、首都圏など日本国内の一部エリアに立地する不動産を担保にすれば、海外不動産投資用の資金も借りられます。国内不動産を担保にすることで投資先の国を問わないため、オリックス銀行の不動産担保ローンはマレーシア不動産投資にも利用可能です。2021年3月時点における主な貸付条件等は以下の表のようになっています。

項目
貸付条件
融資限度額
1,000万円以上2億円以内
返済期間
1年以上35年以内
金利種類
固定金利または変動金利
貸付金利
3.30%以上

※参照:オリックス銀行

国内金融機関では、海外の金融機関と違って急な口座凍結などのリスクは低くなります。しかし、オリックス銀行では金利が少々高めな点に要注意です。借り入れ比率にもよりますが、物件購入資金を全額ローンで賄う場合は、表面利回りが3.3%以上の物件に投資しないとキャッシュフローが残りません。また、家賃収入を返済に充当する場合は為替変動に注意を要します。

SMBC信託銀行

SMBC信託銀行では不動産活用ローンを利用できます。時期によっては、基準金利から割引が適用されるため、オリックス銀行よりも低金利で借り入れ可能です。2021年3月時点における主な融資条件等は以下の表のようになっています。

項目
貸付条件
融資限度額
500万円以上2,000万円以下
返済期間
1年以上20年以内
金利種類
固定金利(3年〜10年固定)
貸付金利
2.65%〜2.90%(2021年4月中に契約の場合)
基準金利は3.2%〜3.65%

※参照:SMBC信託銀行

SMBC信託銀行では、基準金利から割引が適用されるため、オリックス銀行との比較では低金利でローンを利用できる点はメリットです。しかし、融資限度額が2,000万円と少額な点や、返済期間が20年以内と短い点などはデメリットと言えます。

ローンノ利用額が少なければ毎月の返済も抑制できる一方で、返済期間が短いと毎月の返済額は大きくなります。借り入れを検討する場合は、キャッシュフローの有無に関して事前の検証が重要です。

まとめ

マレーシア不動産投資では、マレーシア現地の金融機関で外国人でも住宅ローンを利用できます。現地金融機関から資金を借りられれば、為替リスクを抑制できますが、貸付金利には要注意です。マレーシアの金融機関では、貸付金利が日本の金融機関より高い場合もあります。

また、日本国内に抵当権がついていない不動産を保有している場合は、国内金融機関で不動産担保ローンを利用できます。しかし、金融機関によって条件が大きく異なるため、借り入れてもキャッシュフローが残るか事前の検証が重要です。

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