フィリピン不動産は、人口増加や経済成長が著しいことから海外不動産の中でもおすすめです。しかし、新興国の不動産に対して、不動産バブルが発生するのではないかなど不安を感じる人もいるのではないでしょうか。この記事では、フィリピンのコンドミニアムにフォーカスして、エリア別の値動きを分析します。ご一読いただければ、極端な価格変動のリスクを避けるためにはどのエリアで物件を選べば良いか、大まかに把握可能です。

フィリピンのコンドミニアム価格指数推移

フィリピンのコンドミニアムについて、中央銀行が発表している統計に基づきエリア別の値動きを分析します。

フィリピン全体のコンドミニアム価格推移

フィリピンでは個人の外国人による土地の所有が認められていません。また、戸建住宅と土地とで登記が分かれていないため、個人の外国人は戸建住宅を所有できないことになります。日本人がフィリピン不動産投資をするならば、コンドミニアムに投資するのが一般的です。フィリピン全体のコンドミニアム価格指数推移について解説します。

※参照:フィリピン中央銀行.

上記のグラフは、フィリピン全体における四半期ごとのコンドミニアム価格指数推移です。2019年第1四半期までは価格上昇のペースが緩やかでしたが、2019年の第2四半期以降は急激に価格が上下動するようになった様子が伺えます。フィリピンの不動産市場では、外国人に対する規制緩和によって市場を開放する動きが活発です。価格変動が大きくなった原因は、フィリピン国民の所得が急激に上がったわけではなく、規制緩和によって外資の流入量が増えたことと考えられます。なお、外資の流入元として考えられるのは、韓国・中国・アメリカなどです。特にマニラのベイエリアでは、オンラインカジノが中国人に人気なため、周辺で物件を購入する中国人も多くなっています。フィリピン全体では極端な値動きも見られますが、フィリピンの首都圏と地方圏とに分けて価格指数の動きを見ると、大きな違いが出ていることがわかります。

フィリピン首都圏のコンドミニアム価格指数推移

マニラを中心としたフィリピン首都圏のコンドミニアム価格指数推移は以下グラフの通りです。


※参照:フィリピン中央銀行

フィリピン首都圏のコンドミニアム価格指数は、フィリピン全体のコンドミニアム価格指数と推移がとても似通っています。フィリピン全体の不動産価格推移は、首都圏の価格動向に引っ張られていると予測されます。また、フィリピンでは首都圏と地方圏とでコンドミニアムの価格差が大きいとも考えられるため、物件を選ぶときには、エリアごとの価格差を考慮することが必要です。そのほか、フィリピン首都圏のコンドミニアムは価格変動リスクがあるとも言えます。物件購入と売却のタイミングには要注意です。不動産マーケットの動向を見ながら時期を選ぶことが重要になります。

フィリピン地方圏のコンドミニアム価格指数推移

その一方で、フィリピンの地方圏におけるコンドミニアム価格指数の推移は以下グラフの通りです。

※参照:フィリピン中央銀行

フィリピン地方圏のコンドミニアムは、首都圏ほど大きな値動きを見せていません。2017年に急激な上下動をしていますが、それ以外の時期では比較的安定的な値上がりを続けています。地方圏の価格指数動向は、フィリピン全体および首都圏の価格指数動向とは傾向が大幅に違っている点からも、首都圏と地方圏とでは取引数や物件価格に差があると言えるでしょう。急激な価格変動リスクを考慮すれば、フィリピンでは地方圏の物件を選ぶほうが低リスクと考えられます。なお、2014年からの値動きを首都圏と地方圏とで比較すると、首都圏は2020年末の時点で約1.6倍まで上がっている一方、地方圏の値上がり幅は約1.5倍です。値上がりの割合で比較すれば、フィリピンでは首都圏と地方圏とにそれほど大きな違いはないと言えます。

2021年におけるフィリピン不動産の値動きについて

Colliers Internationalが発表したレポートによると、2021年第1四半期におけるフィリピンの住宅価格は1㎡あたりPHP196,410でした。PHP1あたり2.2円で換算すると、住宅の㎡単価は43万2,102円であり、例えば30㎡の住宅価格は約1,300万円です。前年同期比では2.5%値下がりしている状況に対し、同レポートでは、政府によるコロナウイルスのワクチン展開が期待よりも遅いことに起因すると分析しています。

※参照:Colliers International

フィリピンの不動産価格動向は、首都圏に流入する外資の量に大きく影響される一面があります。コロナウイルス感染症の抑え込み成否によって、外資の流入量が変わることも予測されるため、今後の動向には要注意です。

まとめ

フィリピン不動産は首都圏と地方圏とで比較すると、地方圏では極端な値動きがないため、地方圏のほうが物件価格が急落するリスクは低いと考えられます。なお、過去7年間の値上がり割合を見ると、首都圏と地方圏とでそれほど大きな違いはありません。地方圏の物件であっても、キャピタルゲインを狙うチャンスはあります。ただし、2021年に入った後の値動きに関しては、コロナウイルス感染症対策が道半ばにあることから、値上がりの兆候は小さくなっています。今後フィリピン不動産投資を検討するのであれば、コロナ対策の進捗に要注意です。

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