カンボジアは、海外不動産投資の中でも利益を拡大できる可能性を持っています。しかし、新興国ゆえに不動産市場には未整備な点も多いのが事実です。

そのため、

「カンボジアで不動産を購入するのは不安...」
「物件の選び方がわからない」
「実際の支払いスケジュールはどうなっているのか知りたい」など不安に思う人もいるのではないでしょうか。

そこで、今回はカンボジアで不動産を購入するステップと注意点をまとめました。

外国人に対するカンボジア不動産の購入規制

まずカンボジアで外国人が不動産を購入する際の規制について、大まかに紹介します。

1.外国人が所有できる物件は、コンドミニアムの区分所有のみ
2.一棟で購入できる外国人の枠が1棟の全戸数の70%まで
3.2階以上のお部屋のみ購入が可能。(地下や地上階部分は購入が不可)

カンボジアでは外国人による土地の所有が認められていません。日本人投資家がカンボジアで購入できるのはコンドミニアムのみとなります。また、同じコンドミニアムの中でも、外国人が購入できる戸数には制限があるので要注意です。カンボジアの不動産を購入する際の規制や税金については、「カンボジアで不動産購入する外国人が知っておくべき税金・規制の話」をご覧ください。

カンボジア不動産の購入手順①エージェントを絞り込む

最初に、物件情報をもらうために不動産エージェントを絞り込みます。エージェントを絞り込むためには、webで検索するほか不動産会社が開催しているセミナーに参加するのも有効です。日本の不動産会社の中にも、カンボジア不動産投資のセミナーを開催している会社が複数あります。

なお、参加するセミナーを選ぶにあたっては、カンボジアの現地に進出済みの不動産会社が開催するものを選ぶと、より鮮度の高い情報を得られます。また、不動産会社を選ぶ際には「カンボジアの不動産仲介会社を選ぶための5つのポイント」の記事も参考にしてみてください。

そのほか、エージェントがカンボジア不動産の販売ライセンスを所有しているか確認することも重要です。一部には、無資格で不動産販売を取り扱っているエージェントもいます。無資格のエージェントと取引すると、物件購入手続きのフォローアップを最後まで受けられないこともあるので要注意です。

カンボジア不動産の購入手順②エージェントに問い合わせる

不動産エージェントを絞り込んだら、エージェントに物件の条件を伝え、物件を絞り込みます。エージェントに情報提供を依頼するときには、できる限り具体的な条件を伝えることが重要です。物件価格の予算や理想の利回りなど、数字で表現できるポイントについて、優先順位を明確にしてから条件を伝えるのが理想的です。

また、カンボジア不動産投資のエリア選定については、首都のプノンペンが最も低リスクと考えられます。カンボジアの人口の半数近くがプノンペンに集まっているためです。カンボジア不動産投資で空室リスクを下げるためには、首都の都心部で物件を選ぶのが安全と言えます。

カンボジア不動産の購入手順③物件を視察する

購入する物件の候補が決まったら、実際にカンボジアに赴いて物件を視察します。成田空港からカンボジアまでのフライト時間は6時間程度です。カンボジアは、海外の中では比較的容易に現地視察できる投資先と言えます。

なお、カンボジアの不動産を購入する場合は、「プレビルド」と呼ばれる完成前のコンドミニアムを選ぶのが一般的です。 プレビルドのコンドミニアムは、購入の段階では物件の仕上がりを直接確認できません。

このため、物件のショーギャラリー(住宅展示場)へ行き、デベロッパーやエージェントから物件や周辺エリアの情報を聞くことになります。現地を実際に見ることで、web検索では見つからない鮮度の高い情報も得られるため、物件選びの際には極力現地視察するのがおすすめです。

また、物件視察は現地のエージェントを見極める機会としても利用できます。視察時に気になる点をエージェントへ質問することで、エージェントの質や信用性を判断可能です。

なお、視察に合わせてカンボジアの銀行で銀行口座を開設するのもおすすめです。カンボジアではUSドルが流通しているため、USドルの口座を開設できます。カンボジアでは定期預金口座の金利が高い水準で推移しているため、家賃収入の2次運用も可能です。USドルで資産形成できるのはカンボジア不動産投資の大きなメリットと言えます。

カンボジア不動産の購入手順④物件の購入申込書提出と予約申込金の支払い

現地視察で購入したい物件が見つかった時は、その場で購入申込書を記入し、デベロッパーに提出することで予約が完了します。検討する時間が必要であれば、視察後に日本から購入申込書を送っても問題ありません。

物件の購入を申し込むときには、予約申込金(US$1,000〜US$2,000など)をデベロッパーに支払います。振込等による支払いのほか、クレジットカード(VISAやMastercard)での支払いも可能です。また、物件によっては人民元で支払えることもあります。

カンボジア不動産に限りませんが、良い投資物件は足が早いものです。気に入った物件を確実に購入するためには、早めの決断が必要になります。決断を早めるためには、物件を選ぶ基準をあらかじめ練っておくことが重要です。自分で決めた基準に適合する物件であればすぐに決断できるよう準備しておくと、失敗の可能性も減らせます。

カンボジア不動産の購入手順⑤ローンの申し込み

物件の購入に際してローンを利用する場合は、購入申し込みに合わせてローンの申し込みも必要です。なお、2021年初頭の時点では、カンボジア不動産投資に有効な現地のローンなどはありません。

仮に現地のローンを利用できても、日本と比較すると金利が非常に高いため、キャッシュフローが出ない可能性もあります。カンボジア不動産投資でローンを利用するならば、日本国内の金融機関を探すほうが現実的です。

なお、海外不動産投資に融資している日本国内の金融機関については、「海外不動産ローンが組める3つの銀行と、融資プランの詳細を徹底調査」の記事をご参照ください。

カンボジア不動産の購入手順⑥売買契約の締結

購入申込金の支払いが完了したら売主と売買契約を締結します。なお、売買契約書はSPA(Sales & Purchase Agreement)とも呼ばれています。売買契約の締結については、カンボジアでも日本でも可能です。

カンボジアでサインする場合は、物件の売主であるデベロッパーと売買契約書にサインし合います。日本において各契約書類にサインする場合は、郵送で書類のやり取りを行います。

また、カンボジアの商慣習では、契約書のサインには青のペンを用い、拇印については青のインクをつけた右手の親指で捺すのが一般的です。購入申し込みから契約成立までに必要な期間は、早くて約1ヶ月となります。

カンボジア不動産の購入手順⑦物件購入資金の支払い

売買契約を締結したら物件購入資金を支払います。プレビルドの物件では、多くの場合は建築スケジュールに沿って2〜4年ほどかけて段階的に支払う「プログレスペイメント方式」が採用されています。
例えば、プノンペンのボンケンコン1区に建設されている「ラ・アトレボンケンコン」というコンドミニアムでは、以下のように支払いスケジュールが組まれています。

お申込時
2000USD
お申込みから1週間以内
物件価格の20%
2018年2月
物件価格の12%
2018年8月
物件価格の12%
2019年2月
物件価格の12%
2019年8月
物件価格の12%
2020年2月
物件価格の12%
2020年9月
物件価格の20%


なお、カンボジア不動産の購入決済は米ドルで行われることも多いものです。また、海外送金には1日以上の時間が必要になることもあります。着金までの間に為替が変動し、資金不足で決済できなくなってしまう場合もあるので要注意です。確実に決済を完了するためには、余裕を持たせた金額を送金する必要があります。

カンボジア不動産の購入手順⑧物件の引渡し

物件の購入資金を全額送金したら、物件の引渡しに移ります。物件の竣工から引き渡しまでの期間は2〜3ヶ月です。なお、引渡しに際しては、現地での物件の仕上がり確認をおすすめします。仕上がりに問題がなかった場合は、引渡し手続きに際して物件の鍵などを受け取ります。

カンボジア不動産の購入手順⑨入居者募集の準備

物件の引渡しを受けたら、入居者募集のために家具の搬入や電気・水道・ガスなどの開通が必要です。カンボジア不動産投資では、一般的に家具を搬入済みの状態で入居者を募集します。家具や内装関連のオプションをつけていなかった場合は、別途内装関連の手配が必要です。なお、最初にカンボジア現地へ進出済みの不動産会社を選んでいれば、入居者募集の準備から入居後の賃貸管理まで依頼できることがあります。

まとめ

ご紹介したカンボジア不動産購入のステップは、あくまでも一般的なものです。売主によっては、支払いスケジュールを選べる場合があるなど手順が異なることもあります。具体的な手続きについては、物件選びの際にエージェントを通じて確認すると確実です。

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