リゾート地として人気のハワイは、コンドミニアムなどの不動産にも世界中から投資マネーが集まっています。ハワイの不動産価格は上昇を続けていますが、エリアによっては平均価格がアメリカ本土よりも高いため、一見すると手を出しにくい印象もあります。
そこでこの記事では、ハワイ不動産の特徴から不動産市場の動向、人気エリア別の購入価格、ハワイ不動産の維持コストについて詳しく紹介するので、購入を検討している方はご活用ください。
1 ハワイ不動産の特徴
ハワイは観光地として人気が高く、不動産取引は活発で価格も安定しています。世界中の投資家から需要があるため、サププライム問題が発生した時期でも価格は大きく下がりませんでした。
ハワイ不動産市場に流通している物件のほとんどは中古ですが、古くても資産価値は高く、値崩れするリスクが低いのも特徴です。そのためハワイは不動産投資初心者におすすめのエリアとしても知られています。
1-1 ハワイのエリア別の特徴
マウイ島、オアフ島など8つの島と小島からなるハワイは、エリアによって特徴が違います。例えば日本人にも人気のオアフ島の観光エリア「ノースショア」は、海を見渡す立地の住宅などが多く集まる場所です。美しい砂浜が有名な「カワイロア」や「ワイメア」などは高級住宅地としても知られます。
「セントラルオアフ」もビジネスや観光で人気のエリアですが、中央に位置する「ミリラニ」には比較的安価なコンドミニアムも売りに出されています。南部にある「パールシティ」の戸建ての相場価格は高いものの、コンドミニアムであれば手頃な価格で探すことも可能です。
1-2 最新のハワイ不動産市場の動向
ハワイ全体でみると、住宅とコンドミニアムの価格は上昇しています。カリフォルニア・アリゾナ・中国・ドイツ・ロシア・日本・カナダなど世界中から買い手が集まり、ハワイの不動産相場を押し上げています。2019年1月の平均販売価格は967,119ドルと、前年同月比で3万ドル上昇しています(ManageCasaより、以下同様)。
一方、2019年6月の一戸建て住宅販売数は10.4%減少、コンドミニアムは13.5%減少しました。コンドミニアムの価格は前年同月比で3%上昇し、平均で432,500ドル(約4,615万円:1ドル106.7円で計算。以下同)となっています。アメリカ大手不動産ポータルサイトのzillowは、「2020年にかけての1年間でハワイ不動産相場は0.9%ほど価格が下落する」と予測しています。
予測住宅価格中央値は614,100ドル(約6,548万円)です。ハワイの経済動向もやや減速ぎみです。2019年の経済成長率(GDP)は2.6%予想ですが、2020年は1.4%になると予測されています。ただしハワイでの賃金は上昇傾向にあるため、賃貸価格に関しては強気の予測がされています。
2 ハワイのエリア別の購入価格
オアフ島ホノルル地区を中心とした各エリアの不動産価格に関するデータをご紹介します(いずれも2019年6月までのデータとなります)。
・カイルア(ホノルル)
販売価格の中央値 | 997,400ドル (約1億636万円) |
過去1年間の増減 | -5.0% |
今後1年の増減予測 | -5.6% |
販売価格中央値の1フィート単位の価格 | 673ドル (約7.1万円) |
値引きした物件の割合 | 15.3% |
家賃価格 | 3,195ドル (約34万円) |
家賃価格の1フィート単位の価格 | 2.31ドル (約246円) |
・ホノルル
販売価格の中央値 | 655,100ドル (約6,991万円) |
過去1年間の増減 | -2.6% |
今後1年の増減予測 | -3.1% |
販売価格中央値の1フィート単位の価格 | 678ドル (約7.2万円) |
値引きした物件の割合 | 14.3% |
家賃価格 | 2,300ドル (約24.5万円) |
家賃価格の1フィート単位の価格 | - |
・ワイキキ(ホノルル)
販売価格の中央値 | 410,400ドル (約4,379万円) |
過去1年間の増減 | -1.4% |
今後1年の増減予測 | -2.6% |
販売価格中央値の1フィート単位の価格 | 754ドル (約8.0万円) |
値引きした物件の割合 | 12.9% |
家賃価格 | 2,200ドル (約23.4万円) |
家賃価格の1フィート単位の価格 | 3.56ドル (約379円) |
・ハワイカイ(ホノルル)
販売価格の中央値 | 929,000ドル (約9,915万円) |
過去1年間の増減 | -0.7% |
今後1年の増減予測 | -2.7% |
販売価格中央値の1フィート単位の価格 | 594ドル (約6.3万円) |
値引きした物件の割合 | 15.6% |
家賃価格 | 3,000ドル (約32.0万円) |
家賃価格の1フィート単位の価格 | 2.33ドル (約248円) |
・ワイパフ(ホノルル)
販売価格の中央値 | 929,000ドル (約9,915万円) |
過去1年間の増減 | -0.7% |
今後1年の増減予測 | -2.7% |
販売価格中央値の1フィート単位の価格 | 594ドル (約6.3万円) |
値引きした物件の割合 | 15.6% |
家賃価格 | 3,000ドル (約32.0万円) |
家賃価格の1フィート単位の価格 | 2.33ドル (約248円) |
・カポレイ(ホノルル)
販売価格の中央値 | 633,600ドル (約6,755万円) |
過去1年間の増減 | -2.0% |
今後1年の増減予測 | -2.2% |
販売価格中央値の1フィート単位の価格 | 449ドル (約4.7万円) |
値引きした物件の割合 | 13.9% |
家賃価格 | 2,900ドル (約30.9万円) |
家賃価格の1フィート単位の価格 | 2.13ドル (約227円) |
・エバビーチ(ホノルル)
販売価格の中央値 | 621,400ドル (約66,235万円) |
過去1年間の増減 | -0.5% |
今後1年の増減予測 | -1.0% |
販売価格中央値の1フィート単位の価格 | 461ドル (約4.9万円) |
値引きした物件の割合 | 11.4% |
家賃価格 | 2,900ドル (約30.9万円) |
家賃価格の1フィート単位の価格 | 2.03ドル (約216円) |
(以上、zillowより)
3 ハワイ不動産の維持費用
ハワイの不動産投資でかかるローン返済、税金、メンテナンス費用などの維持コストを見ていきます。
3-1 ローン返済
ハワイ不動産の購入では、国内の金融機関からローンを借りることができます。例えばオリックス銀行では、国内不動産を担保に融資を受けることが可能です(ただし、条件付きです)。金利もハワイ現地での銀行を利用するよりも安いため、まずは国内の金融機関からチェックしてみると良いでしょう。
ただ、多くの場合、国内で担保にできる不動産を保有していることなどを条件としています。
3-2 税金
次に毎年支払う税金があります。固定資産税と賃貸収入に対する消費税、所得税を支払うこととなります。固定資産税はハワイの中でもエリアによって税率が異なります。また評価額も物件ごとに違うため、購入前にチェックしておくと良いでしょう。固定資産税額は年間で決まりますが、支払いは「8月20日」と「2月20日」までの2回に分けられています。
賃貸収入に対する税金には、所得税と消費税があります。消費税は賃借人から徴収してそのまま納付となりますが、通常の4.5%に加えて180日未満の短期滞在型賃貸契約の場合は10.25%を加算します。所得税は家賃収入から税金などの経費を引いた純利益に対して課税されます。
非居住者は毎年6月15日までに確定申告をします。なお日本での確定申告では、外国税額控除(外国で支払った所得税を、一定額を限度として所得税額から差し引くことができる制度)を申告できます。また、ハワイ現地での確定申告でも、減価償却費は経費計上できますが、長期賃貸契約と短期賃貸契約とで償却期間が違うため、注意しましょう。
ハワイの物件は土地に対する建物の価格の比率が高いという理由で、節税効果の高さが投資家の人気を集めています。しかし、zillowなどで詳しく物件情報を見てみると、建物比率は物件によって異なります。節税目的で購入する際には建物比率のチェックを欠かさずするようしましょう。
3-3 メンテナンス費用
築古でもハワイ不動産の資産価値が高いのは、オーナーが物件のメンテナンスをしっかりしているからです。管理会社に支払うメンテナンス費用(コンドミニアムの場合)には以下のようなものがあります。
- 建物外装メンテナンス
- 造園
- 共用スペース
- 上下水道
- エクステリア(外構・外観)
共有部分に関するメンテナンスは管理組合で行うので、そのための費用を支払います。コンドミニアムの場合は、内装を含めてオーナーが自身でメンテナンスする箇所もあります。例えば壁に埋め込まれた配管などは、オーナー側でメンテナンスすることが必要です。配管の破損により階下などに水漏れの被害を与えると損害賠償責任を問われるため、定期的にメンテナンスすることが大切です。
旅行者を対象とする短期滞在のホテルとして貸し出す場合には、電気代をオーナーが負担することになります。ハワイは発電のための燃料費や人件費が高いので、電気代も高額になることがあります。
4 まとめ
ハワイ不動産は需要に対して供給量が少ないことから、価格上昇が続いています。さらに賃貸価格も経済成長を背景に上昇しているので、投資対象として安定した人気は今後も続くと見られています。
ただし、購入後のメンテナンス費用や税金の維持コストが思いの外かかることもあるため、現金を多めに用意しておくなど資金計画はしっかりと立てておくと良いでしょう。