アルゼンチン不動産ガイド。不動産動向から購入規制まで解説!昨今、実業家サム・ゼル氏のエクイティ・インターナショナル社とゴールドマンサックス・グループがアルゼンチン不動産に1億ドル以上の投資しているという報道がありました。マウリシオ・マクリ大統領によるアルゼンチン経済の立て直しが高く評価された表れと見られています。
同国は10年以上もの間、資本主義市場の表舞台に立たなかった国ですが、今、このタイミングがチャンスと言えるかもしれません。今回はそんなアルゼンチンの不動産について解説します。
南米の親日国、アルゼンチンってどんな国?在留邦人は11,726名!
はじめに、アルゼンチンの基本情報を見てみましょう。
面積 | 278万平方キロメートル(日本の約7.5倍) |
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人口 | 4,385万人(2016年、世銀) |
首都 | ブエノスアイレス(Buenos Aires) |
民族 | 欧州系(スペイン、イタリア)97%、先住民系3% |
言語 | スペイン語 |
宗教 | カトリック等 |
主要産業 | 農牧業(油糧種子、穀物、牛肉)、工業(食品加工、自動車) |
通貨 | ペソ、為替レート:1米ドル=約19.8ペソ(変動相場制,2018年3月現在) |
在留邦人数 | 11,726名(2016年)(外務省「海外在留邦人数調査統計」) |
(出典:外務省)
日本の真裏、南半球の南アメリカ南部に位置するアルゼンチンは、チリ、ボリビア、パラグアイ、ブラジル、そして、ウルグアイと隣接し、東と南は大西洋に面しています。世界で第8位の領土面積を擁し、アンデス山脈やパタゴニアなど雄大な地形も魅力のひとつです。
1月、2月が最も暑く最高気温は約29度まで達する一方、真冬となる6月、7月の最低気温は平均5~6度と、雪が降らない程度の寒さ。このため、年間を通して過ごしやすい気候といえるでしょう。
明治時代にアルゼンチンへ移民した日本人たちがまじめに働き、地域の発展に貢献していることから、アルゼンチンは親日国としても知られています。在留邦人数は11,726名、日系企業の進出数は67社にものぼっています(2017年10月外務省)。
アルゼンチンの不動産市場動向
次にアルゼンチンの不動産価格を見てみましょう。
以下のグラフは、中南米で最も重要な都市の中心に位置するアパートメント(120平米)の1平方メートルあたりの平均価格(米ドル)を比較したものです。
(出典:Grobal Property Guide)
アルゼンチンは、ブラジル、パナマに次ぐ不動産価格で3,327米ドル(約370,000円)となっています。
そんなアルゼンチンでは2016年4月にインデックス連動の住宅ローンが導入されて以来、不動産取引が急増し住宅価格も急騰しています。
アルゼンチン経済大学(UADE)経済学部経済研究所が調査によると、ブエノスアイレスの中古住宅価格は米ドルベースで16.5%上昇し、2017年8月までの年間住宅平均価格は10.0%上昇しました。
具体的には、ブエノスアイレスのベルグラーノ地区では新築の住宅平均価格が前年同期比で+10.1%、パレルモ地区では同+9.4%、レコレータ地区では同+5.9%に。一方、中古住宅はベルグラーノ地区で同+16.4%、パレルモ地区で同+12.8%、そしてレコレータ地区では同+12.9%となり、軒並み上昇しています(2017年8月)。
また、2017年1月~7月に売却された住宅数は前年同期比+44.7%、そして、2017年8月に登記された不動産は同+42.3%で6,019件となるなど、アルゼンチン不動産の活況をうかがうことができる数字が叩き出されています。
(出典:Grobal Property Guide)
アルゼンチンの不動産は外国人でも購入できるの?
アルゼンチンでは、外国人でも制限なく不動産を購入することが可能。 ただし、CDI(納税者番号)番号を不動産購入前に政府から取得する必要があります。 さらに、非居住者は固定資産税を支払うためにアルゼンチンの代理人を任命しなければなりません。
外国人が必要とする唯一の書類は公証人が得てくれる納税者番号だけです。
アルゼンチン不動産購入の際にかかる税制と諸費用
アルゼンチンにおいて不動産を売買する際には、以下の税金や諸費用がかかります。
譲渡税
譲渡税は取引がキャピタルゲイン税の対象とならない場合(すなわち、買手と売手の両方が企業の場合)にのみ売手が支払います。
譲渡税は売手が支払った不動産価格の1.5%です。 ただし、売手が主たる住居を売却し、1年以内に別の物件を購入する場合、この税は適用されません。
付加価値税
居住用で新築の建物の場合は10.5%、それ以外の場合は21.0%の付加価値税を支払います。土地の売買は付加価値税の対象にはなりません。
印紙税
不動産売買契約は州政府による印紙税の対象となります(平均3.60%)。しかし、ブエノスアイレス市では、賃貸用のものを含む居住用不動産の印紙税が廃止されています。
印紙税は、通常、買手と売手の間で折半します。
公証料
公証人の手数料は、通常1.0~1.50%の間で交渉可能です。
登記費用
登記にかかる手数料および関連費用は、通常、不動産価格の約0.20%です。
不動産エージェント手数料
ブエノスアイレス、またはダウンタウン中心エリアの不動産の場合、不動産エージェントの手数料は不動産価格の3.0%~4.0%、さらに付加価値税21.0%がかかります。
一方、ブエノスアイレスの郊外では、不動産エージェントの手数料は4.0%。付加価値税の21.0%は買手と売手で折半することがほとんどです。
(出典:Grobal Property Guide)
アルゼンチンの不動産を購入するのにおすすめのエリア
首都ブエノスアイレスの都市圏人口は約1,428万人(2016年)で、南米有数の大都市です。スペインやフランスの影響を受けた建物が多く「南米のパリ」と称される街並みが特徴的。ユネスコ世界デザイン都市として認定されています。
ブエノスアイレス市には48の地区(バリオ)があり、モンセラート地区、サンニコラス地区からなる中心街、レティロ地区、レコレータ地区、パレルモ地区などからなる北部地域、そして、サンテルモ地区、ボカ地区などの南部地域と大きく3つに分けることができます。
今回はそれらの中でも治安が良く人気の高い3地区を紹介しましょう。
アルゼンチンの代官山?お洒落でなパレルモ地区
街路樹に囲まれた高級住宅地が広がるパレルモ地区は、ブエノスアイレスの中心街からタクシーで20~30分の距離。ブエノスアイレス市における最大の地区で、高級住宅街から緑豊かな公園、そして、おしゃれなレストランやお店などが数多くそろっています。
緑地が非常に多く、公園以外にも、動物園、植物園、日本庭園、バラ園、競馬場などもあります。このエリアでは、ジョギングやサッカー、日光浴を楽しむ人々の姿を見ることができるほか、ポロの競技場では世界レベルのポロの試合を観戦することもできます。
また、パレルモ地区の南にあるセラーノ広場(Plaza Serrano/プラサ・セラーノ)周辺は、「パレルモ・ソーホー」と「パレルモ・ハリウッド」と呼ばれるエリアがあり、個性的でおしゃれなショップが集まる街として若者を中心に注目が高いエリアとなっています。
洗練された街並みがパリを思わせる、レコレータ地区
ブエノスアイレス中心から北に位置するレコレータ地区は、富裕層が多く居住するエリアで閑静な緑豊かな地域。国立美術館や聖母ピラール聖堂のほか、ブランドショップや高級ホテル、粋なレストラン、バーなども数多くあります。ブエノスアイレスが「南米のパリ」と称えられるのを実感する優雅な街並みが特徴的です。
週末のフランセル広場ではフリーマーケットが開かれているので、散歩がてら覗いてみるのも面白いでしょう。また、周囲には緑地が多く、天気の良い日には人々が芝生で日向ぼっこする様子を見かけることも。
ベルグラーノ地区
ブエノスアイレス市内でも、パレルモ地区より更に北にあるベルグラーノ地区は、高層マンションが立ち並ぶ高級住宅街です。
ここには、アルゼンチンで人気のサッカーチーム、リーベル・プレイト(RIVER PLATE)の本拠地で、モニュメンタル・スタディアムがあります。鉄道ベルグラーノ駅付近のアリベーニョス通りは、中華街になっており、日本の食材などもここで入手可能です。
まとめ
以上、アルゼンチンの不動産事情について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
アルゼンチンの不動産市場はまだ発展途上ですが、アルゼンチン政府は自宅所有と都市開発を優先事項としています。多目的プロジェクト向け売却資産や共同事業に関する投資機会の提供を決定しました。このため、今後はアルゼンチン不動産投資の動向が注目されていくことでしょう。
SEKAI PROPERTYでは、現地のデベロッパーや不動産エージェントと提携しており、不動産購入の相談も受け付けています。アルゼンチンをはじめ海外での不動産投資を検討している方はお気軽にお問い合わせください。