2014年から4年連続で欧州一の経済成長率を達成している国、アイルランド。近年のマクロ経済状況は非常に良好です。EUの中では、ルクセンブルクに次いで人口あたりGDPが大きく、世界的に見ても第4位に君臨しています。
今回は、そんなアイルランドの不動産にスポットを当て、アイルランドの不動産市場から価格推移、おすすめのエリアのほか、不動産の購入規制・諸費用について解説していきます。
ヨーロッパのシリコンバレー、アイルランドはどんな国?
はじめにアイルランドの概要を見てみましょう。
人口 | 約476万人(2016年アイルランド国勢調査) |
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面積 | 7万300平方キロメートル(北海道より一回り小さい) |
首都 | ダブリン(人口約134万人,2016年アイルランド国勢調査) |
言語 | アイルランド語(ゲール語)及び英語 |
宗教 | 約78%がカトリック教徒(2016年アイルランド国勢調査) |
通貨 | ユーロ |
在留邦人数 | 2,316名(2017年) |
(出典:外務省)
アイルランドの人口は約476万人ですが、その推移を見てみると毎年のように増加し続けているとともに、就業者数も順調に推移しています。
それもそのはず、アイルランドは「ヨーロッパのシリコンバレー」と呼ばれ、首都ダブリンにはグーグル、フェイスブック、マイクロソフトなど、今を時めく企業の欧州本部があります。これらの魅力的な企業での就業を目指し、ヨーロッパやそれ以外の地域からも若者たちがダブリンへ移り住んでおり、ダブリンは国際色豊かな都市となっています。
このように多くの海外企業が進出するきっかけになったのは、アイルランド政府が外資企業に対する優遇税制措置を設けたことにあります。アップルやヒューレッドパッカード、インテルやデルなどの呼び込みに成功した後、先述したグーグルやフェイスブックをはじめ、ペイパル、リンクトイン、セールスフォースなどが続いています。
今もなお、海外進出を試みるシリコンバレーのハイテク新興企業がアイルランドへの進出を目指しています。急成長を続けるダブリンというハイテク都市でグローバル企業へと羽ばたくきかっけづくりを期待しているのでしょう。最近では、エアビーアンドビーやドロップボックスなどもダブリンへ進出しており、これらの成功を受け、今後もさらなる企業の進出が期待されています。
首都ダブリンを中心としたアイルランドへの企業進出の背景には、企業の受け入れに積極的な政府の政策はもちろん、公用語が英語であること、ヨーロッパ圏内にあること、そして高学歴の若い労働力の存在が挙げられます。
新規住宅建設が加速される、アイルランドの不動産市場。不動産の価格推移は?
多くの若い労働者が移り住んでいるというアイルランドですが、不動産市場はどのような状況なのでしょうか?
アイルランド中央統計局(CSO)によると、アイルランドの住宅価格は需要の高さに反した供給不足により強い上昇傾向にあります。前年比で7.75%も上昇しています(2017年10月)。
また、アイルランド最大の不動産ウェブサイトDaft.ieが公表した数字では、2017年第3四半期におけるアイルランド全体の平均住宅価格は前年比で8.9%。
なかでも首都ダブリンの住宅用不動産価格指数は8.42%で、前年4.46%の2倍近くも大きく上回る結果となっています。
以下の表で、ダブリンのそれぞれのエリアにおける不動産価格と上昇率を見てみましょう。
エリア | 年間平均提示価格(2017年第3四半期) | 年間平均提示価格の上昇率 (前年比) |
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ダブリン シティセンター | 306,574ユーロ(約3,852万円) | +17.4% |
ノースダブリンシティ | 325,635ユーロ(約4,091万円) | +10.7% |
サウスダブリンシティ | 388,486ユーロ(約4,913万円) | +8.8% |
ダブリンでもシティセンターにおける高騰ぶりが目立ちます。
また、ダブリン以外の地域でも住宅市場は引き続き堅調に推移しており、住宅価格は上昇傾向にあります。CSOアイルランドによると、平均住宅価格は7.1%増となっています。
エリア | 年間平均提示価格(2017年第3四半期) | 年間平均提示価格の上昇率 (前年比) |
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コーク | 209,596ユーロ(約2,681万円) | +8.8% |
ゴールウェイ | 186,929ユーロ(約2,362万円) | +8.6% |
リムリック | 204,602ユーロ(約2,578万円) | +6.7% |
ウォーターフォード | 177,771ユーロ(約2,246万円) | +8.6% |
参照 Global Property Guide
格付け会社のスタンダート・アンド・プアーズは、アイルランドの住宅価格は今後2年間でヨーロッパで最も速いペースで上昇すると予測。さらに、その住宅価格は2017年に8.5%、2018年はさらに7%上昇すると予想しています。
この上昇の背景には、ダブリンを中心とした力強い労働市場による住宅供給不足が挙げられます。このためアイルランド政府は、ダブリン、コーク、リムリック、ゴールウェイ、ウォーターフォードの既存の住宅エリアに、今後20年間に新築される住宅の40%を建設するなど、その対策に追われています。
アイルランドの不動産を購入するのにおすすめのエリア
今後20年間は新たな住宅建設が予定されている都市の中でも、ダブリン、コーク、そしてゴールウェイは、若手労働者やその家族、留学生による需要が特に高くなっており、住みやすい街であるとともに注目しておきたいエリアです。
それぞれの都市の特徴を見ていきましょう。
アイルランドの政治・経済・文化の中心地、首都ダブリン
アイルランド全人口の3分の1に当たる約134万人が集中する首都ダブリンは、国内最大の都市で政治や経済、文化の中心であり、且つ、ヨーロッパでも重要な金融センターの1つです。
また、アイルランドにおける教育の中心地としての側面もあり、3つの総合大学やダブリン工科大学など、数多くの高等教育機関が所在しています。その中でも旧市街にあるトリニティ・カレッジはアイルランド最古の大学であり、ブリテン諸島の大学の中でも圧倒的な歴史と伝統を誇ります。
近年の好景気にインフラ整備が追いつかず慢性的な住宅不足や交通渋滞など、様々な問題を抱えている都市ではありますが、ちょっと郊外に足を伸ばせば、緑豊かな牧草地や美しい海などが身近にあり、大都市でも豊かな自然に触れることができます。
そんなダブリンの気候はメキシコ湾流の影響で、冬の平均気温は東京都心と同程度。氷点下になる日はほとんどありません。また、夏は涼しく20度を少し超える程度です。年間降水量は日本よりも少ないものの、雨の日が多いのが特徴です。特に冬季に降雨が多くなります。
アイルランド第2の都市、コーク
アイルランド南部に位置するコークは人口約12万5,000人を擁する、首都ダブリンに次ぐ第二の都市。アイルランドの教育の中心地として知られており、住民の1200人中1人が博士課程の学生と言われています。というのも、コークには有名なユニバーシティ・カレッジ・コーク(UCC)やコーク技術大学があり、世界100ヶ国以上から約3000人が留学しており、同市の総人口の10%を学生が占めているからです。
ダブリンではルームシェアが主流ですが、コークの場合はハウスシェアが増えています。例えばルームシェアの場合、アパートの2LDKを4人でシェアするのが一般的ですが、ハウスシェアは1軒屋を8人でシェアすることが多いようです。コークでは学生を対象とした賃貸需要が高いことがわかりますね。コークの街の雰囲気はダブリンと似ており、ダブリンよりも人が少ないことや、より多くの自然に囲まれて過ごすことができるほか、ダブリンと比べると暖かく過ごしやすい天気が特徴です。
アイルランド西部の人気都市、ゴールウェイ
アイルランド西部の都市、ゴールウェイ。アイルランドの伝統文化の中心地として、ゲール語(アイルランド語)が色濃く残る都市です。人口は約8万で、アイルランドではリムリックという都市に次ぐ第四の都市です。有名なアラン諸島への拠点や様々な景勝地があるほか、アートフェスティバル、オイスターフェスティバルなどのフェスティバルが人気で、夏季を中心に観光客で溢れかえるコスモポリタンな街でもあります。
また、ダブリンに次いで留学生の多い街で、年間を通じて学生の多い学園都市でもあるほか、個性的なアイリッシュパブも多く軒を連ねるなど、アイリッシュライフらしさを満喫できる街として人気があります。1年を通して穏やかな気候で、夏は平均最高気温が20度前後と過ごしやすいのが特徴です。一方で冬は3~10度程度と氷点下までさがることはほとんどありません。ただし、アイルランド全体が雨の多い国であるため天気が変わりやすいのは、他の都市と同様です。
アイルランドの不動産は外国人でも購入できるの?
アイルランドで不動産を購入する際に外国人に定められた制限はありません。
アイルランドの不動産購入にかかる諸費用は?
アイルランドで不動産を購入する費用は、弁護士費用をはじめ、公証人の費用、登記費用、付加価値税(VAT)、不動産仲介業者の手数料などの費用が含まれます。
以下で詳しく見てみましょう。
印紙税
不動産価格が1,000,000ユーロ(約1億2,600万円)以下ならば印紙税はかかりません。1,000,000ユーロ以上の物件になると2%、または1,000,000ユーロがかかります。
付加価値税(VAT)
付加価値税(VAT)として不動産価格の23%が徴収されます。
弁護士の費用
アイルランドで不動産売買に関する法的手数料の定めはありません。このため、 弁護士への手数料は交渉可能です。不動産購入価格の1%~1.5%に加え、23%の付加価値税を支払うのが目安となるでしょう。
不動産仲介業者の手数料
不動産仲介業者の手数料は物件の売主が支払います。よって、不動産購入する場合は、発生しません。
登記費用
不動産価格によって異なります。
不動産価格 | 登記費用 |
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50,000ユーロ(約630万円)まで | 425ユーロ(約54,000円) |
200,000ユーロ(約2,500万円)まで | 600ユーロ(約76,000円) |
400,000ユーロ(約5,000万円)まで | 700ユーロ(約88,000円) |
400,000ユーロ(約5,000万円)以上 | 800ユーロ(約10万円) |
まとめ
以上、アイルランドの不動産にスポットを当て、アイルランドの不動産市場から価格推移、おすすめのエリアのほか、購入規制や諸費用について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
アイルランドは他のヨーロッパ諸国と異なり個人の土地所有率が高く、ダブリン都市圏を筆頭に人口が爆発的に増大する中、住宅市場はさらなる高騰を続けていくでしょう。
SEKAI PROPERTYは現地日系企業と複数提携し、常に新しい情報を入手しています。アイルランドをはじめとした海外投資を検討している方はお気軽にお問い合わせください。