2021-06-24

ハワイの不動産を売却する11のステップ。税金や費用まで徹底解説

  • 海外不動産コラム

「別荘を購入してみたけれども結局あまり利用しないから手放したい。」「減価償却期間が終わったので、節税のために買い直したい。」色々な理由でハワイに所有している不動産の売却を考え始めた時、最低限知っておいたほうがいいこととは何でしょう?

今回は日本とは異なる売却費用や税金の話や、物件を売却するための具体的な11のステップについて解説します。

ハワイ不動産を売却する時にかかる費用

ハワイ不動産を売却するときに注意すべきポイントは、物件を購入するときにはかからなかったエージェントフィーがかかることです。そのほか、エスクローにも手数料を支払う必要があります。

エージェントに支払う費用

ハワイに限らず、アメリカ不動産の取引には買主と売主の双方に不動産エージェントがつきます。また、双方の不動産エージェントに手数料の支払いが必要です。

しかし、アメリカでは物件の売主が双方のエージェント手数料を支払います。エージェント手数料は1人あたり2.5%〜3.0%が一般的です。ハワイ不動産の取引では、売主は物件売却価格の5%〜6%に相当するエージェント手数料を支払います。

エスクロー手数料

エスクローとは不動産の公平な取引を仲介する会社で、ハワイ不動産の取引ではエスクローを通すことで、取引の公平性や透明性が確保されています。

エスクローは民間企業ですが、信頼性は高いものです。なお、エスクローを売主や買主が指定することはほとんどなく、大半は不動産エージェントが過去に取引をしたことのあるエスクローなどが利用されます。売主はエスクローを探す必要はありません。

なお、エスクローへ支払う手数料は物件売却価格の1~3%で、売主と買主とで折半して支払います。

ハワイで不動産を売却時にかかる税金

譲渡所得税(源泉徴収税)

ハワイ不動産を売却すると、物件の売買金額から譲渡所得税が源泉徴収されます。税金には連邦税と州税との2種類があり、両方とも源泉徴収の対象です。連邦税の税率は買主の物件購入目的と売却額によって異なります。

なお、州税の源泉徴収税は、2021年時点では物件売却額の7.25%です。連邦税の具体的な税率は以下の表のようになっています。

・連邦税の税率

物件売却額
買い主が自宅用に購入した場合
買い主が投資用に購入した場合
売却価格30万ドル以下
0%
15%
売却価格30~100万ドル以下
10%
15%
売却価格100万ドル以上
15%
15%


例えば、日本に住んでいるAさんがハワイのコンドミニアムを5,000万円で売却、買主のそのコンドミニアムの使用目的が自宅としての活用なら、

連邦税:売却額 5000万円×10%=500万円
州税 5000万円×7.25%=362万5千円
合計862万5千円

が売却額から徴収されます。

売却益が出なかった場合や損益が出た場合は、翌年の確定申告で申請すれば源泉徴収税は還付されます。あるいは、あらかじめ届出の上、税務署の審査を通過できれば源泉徴収の回避も可能です。

ただし、ハワイ不動産投資が初めてなどの場合は、審査を通過できない可能性のほうが高くなっています。また、物件購入時にローンを利用していた場合は、税金の源泉徴収によって、売却で入ってきた資金だけでは残債を返しきれないこともあるので要注意です。自己資金の投下による返済を迫られる場合もあります。

※参照:ハワイ州税務局

外国税額控除について

日本の居住者がハワイで不動産を売却し、売却益を得た場合には、日本国内でも譲渡所得税の納税が必要です。

アメリカと日本とで税金の二重払いになりますが、アメリカ不動産の取引では外国税額控除を適用できます。外国税額控除の適用を受けるためには、物件を売却した翌年の確定申告が必要です。

ハワイで不動産を売却するための11のステップ

1.エージェントを選ぶ

ハワイで不動産を売却するときに最初にすることは、自分が売却したい物件の担当になってくれるエージェント(不動産会社)を選ぶことです。物件を購入した時のエージェントに依頼するか、その時の対応に不満があれば、他にハワイの不動産売却に精通していて信頼のおけるエージェントを探しても問題ありません。

2.売却価格を決める

現在のハワイ不動産マーケットの状況や、近隣の同じような条件の物件と比較しながら売却価格を決めていきます。買手から値引き交渉が入ることも考慮した上で価格を設定することをおすすめします。なお、ハワイの不動産マーケットは世界的に人気があるので、立地条件などが良い場合は、多少高めの価格を設定してもすぐに買手がつくこともめずらしくありません。

3.MLSに物件を掲載する

ハワイの売り出し物件がすべて掲載されているMLSに自分の物件を登録、掲載します。

4.内見が入る

MLSを見た物件購入検討者から内見の申込が入ります。すぐに内見が入らないようなら、日曜日のある時間だけ予約を入れなくても誰でも見学ができる「オープンハウス」というスタイルを取るのも選択肢の1つです。内見に出したい物件がホテルコンドの場合は、宿泊客がいると内見の予約を受けられません。

5.購入希望者からオファーが来たら返答する

物件の購入希望者から希望購入金額を含めたオファーが来ます。それに対して売主は以下いずれかの回答を返します。

ACCEPT(アクセプト)・・・ 受託、売買契約成立
REJECT(リジェクト)・・・拒否
COUNTER OFFER(カウンターオファー)・・・条件変更の申し出

お互いに条件を出し合う場合もめずらしくありません。条件について合意すれば売買契約の締結に移ります。

6.契約が合意できたらエスクローを開設する

売買契約が成立したら、エスクローが開設されます。

エスクローの仕組みについては「エスクロー決済は不動産取引でどう利用されているの?」をご覧下さい。

7.物件の調査が入る

エスクローは売却物件の権利関係について調査します。具体的には、物件所有権の登記名義が売主の名義に書き換わっているか、ローンを利用していない金融機関の抵当権がついていないかなどです。

調査の結果、権利関係に何らかの瑕疵があった場合は、売買契約の解除につながる可能性もあります。

8.開示報告書に答える

売主は物件についての開示報告書を買主に渡すことが義務付けられています。

売主は、エスクローが作成した開示報告書の質問(その物件の価格に影響すると思われる物件の過去および現在の欠陥・修理箇所・状態など)について、正直に回答しなければいけません。この開示報告書を読み、売主の回答内容に不満を持った場合にも、買主は契約を解除可能です。

9.権利書用書類作成

すべてが合意に達したら、エスクローが権利移転の書類を作成します。これが買主の権利書になります。

10.譲渡書類、名義変更の書類にサイン

売主と買主の両者が関係書類にサインをします。譲渡書類のサインは公証されている書類のみが認められているため、エスクロー会社でサインをします。買主が日本にいる場合は、日本のアメリカ大使館や領事館でも公証の対応が可能です。各書類は、登記変更予定日の2日前までにエスクローへ届いている必要があります。

11.売却完了

すべての書類が揃った上で、決済資金がエスクローに着金したら、エスクローは決済および登記の手続きを進めます。その後、買主から支払われた購入金額から、必要経費、手数料、税金などが差し引かれ、売主に購入代金が支払われたら売却の手続きは完了です。

まとめ

ハワイ不動産の売却においては、エージェント手数料がかかるほかに源泉徴収税があるなど、物件購入時と比較すると経費が多くかかります。

物件の売却を検討する際には、必要経費や税金の種別と金額の確認が重要です。解説したとおり、物件購入にローンを利用した場合は特に、税金の源泉徴収などによってローン返済に支障が出る場合もあります。

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