プレビルド(Pre-build)とは、工事が着手される前に物件を購入することを指し、「青田売買」とも呼ばれています。日本では馴染みのない言葉になりますが、マレーシアなど東南アジアでの海外不動産投資では積極的に行われています。マレーシアで海外不動産投資を行うのであれば、このプレビルド物件は購入を検討する対象に入るでしょう。そこで本記事では、プレビルドのメリットとデメリットをご紹介していきます。

1 プレビルドのメリット

1-1 プレビルドならキャピタルゲインが得やすい

東南アジアでプレビルドは、不動産を購入する方法の一つとして一般的です。しかし、日本ではこの販売方法が禁止されているため、これから海外不動産投資を行おうと考えていた方にとっては、あまり聞いたことのない言葉になるかもしれません。

プレビルトの最大のメリットは、不動産を安く購入できることです。なぜなら、プレビルドで売り出された販売開始直後の不動産は、販売価格が安いケースが多いからです。その後、建物の完成間近になると、価格がどんどん上がっていくという仕組みになっています。そのため、プレビルトによって早めに物件を購入し、完成後に高く売ることでキャピタルゲインを得られるのです。

1-2 支払いを複数回に分けられる

手付け金の支払い回数に関しても、プレビルトにはメリットがあります。日本で新築物件を購入する場合、手付金(頭金)として物件価格の5~10%を物件費用として支払います。一般的に物件の売買契約を結んだ時に一部を支払い、物件完成後の物件の引き渡しの際に残りの物件費用を支払います。つまり、日本では手付け金を2回に分けて支払うことになるのです。

しかし、プレビルドの場合には、手付け金(物件価格の10〜20%)を複数回に分けて支払います。日本の一般的な支払い方式と違い、手付け金を分割で支払うことができるこの支払い方法を、プログレスペイメント方式と言います。

図:プログレスペイメントの例

1-3 プログレスペイメント方式の利点

海外不動産投資の場合はローンを組むのが難しかったり、組めたとしても金利が高く、さらに不動産価格の7割り程度しか融資を受けることができません。そのため、手持ち資金が多くある人でないと不動産投資ができません。しかし、プログレスペイメント方式の場合は、物件価格の10〜20%の手付け金を複数回に分けて支払えますので、手持ち資金が少ない人でも不動産の購入が可能になります。

2 プレビルドのデメリット

2-1 物件が完成しない場合がある

手付金を支払った後に、物件が完成しないことが分かったとしても支払った手付金が戻ってこないケースがあります。物件を担当していたデベロッパーが倒産してしまった場合などは、手付金の返金は厳しいでしょう。マレーシアを含め、東南アジアではこのようなトラブルは減少傾向にありますが、物件購入の際には情報をしっかりと確認することが必要です。

2-2 竣工が大幅に遅れる

プレビルドでは、竣工の大幅な遅れも懸念されます。マレーシアでは、大型のコンドミニアムの完成に約3年かかるといわれています。長期の建設計画になりますので、当初の計画よりも竣工が遅れてしまうこともあります。場合によっては、開発計画自体が進まなくなり、実質的に中止となるケースも存在します。

2-3 需要のないエリアにある不動産を購入

プレビルド物件であったとしても、価格が他のエリアより格段に安い不動産は注意が必要です。キャピタルゲイン・インカムゲインどちらを狙うにしても、その不動産に価値がないと実現できません。

 建物自体に問題がなくても、その周辺の環境や立地までチェックすることが大切です。マレーシアでも他の国と変わらず、治安の良さや買い物のしやすさ、交通の便など、インフラや設備が整ったエリアが人気です。そういった要素を検討せずに、価格の安さや建物の魅力だけで購入を決めてしまうと、後々後悔するかもしれません。

2-4 完成間近になっても、物件価格が上がらない

これからどんどん値上がりすると期待を込めてプレビルド物件を購入しても、思ったよりも価格が上がらないというリスクもあります。さらに、賃貸に出そうとしても空室のままでインカムゲインが得られず、売却しようとしても高く売れず結果的に資金がマイナスになってしまう・・・。そんな可能性もありますので、購入前には信頼できる不動産会社やエージェントからの情報をしっかりと検討するようにしましょう。

3 まとめ

今回は海外不動産投資ではメジャーなプレビルドのメリット・デメリットをご紹介しました。完成前に安く物件を購入し、完成間近や完成直後の価格が上昇したタイミングで売却できれば、キャピタルゲインが得られる素晴らしい不動産投資方法になります。しかし、その物件が遅れるとことなく無事に完成するのか、価格は期待通りに上がるのか。注意しなければならないポイントがいくつもあります。そのため、不動産会社やエージェントの情報に加えて、ご自身でも可能な限り不動産の情報を収集することをオススメします。また、検討材料の一つとして、実績のある大手デベロッパーが建設している物件であれば、トラブルが少ないといえるでしょう。マレーシアの大手デベロッパーの紹介記事もありますので、気になる方は下記よりご確認ください。

マレーシアの大手デベロッパー紹介記事
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