ベトナム・ホーチミンの高級アパートメント市場は今、海外投資家の注目の的となっている。理由は様々だが、ベトナムの高級アパートメントの価格が大幅アップし、前年比+64.9%の1㎡当たり5,320ドル(約58.3万円)(2019年第3四半期)に達したことが大きいだろう。
ベトナムは世界で最も経済成長を果たしている国の一つであり、2019年1~9月までの経済成長率は7%近くに達している。大型投資家は国内のデベロッパーとのパートナーシップを通じ、堅実な不動産部門と力強い経済成長を最大限に生かすべく、高級物件への投資を行っているのである。
高級物件を手掛けるベトナムのデベロッパーSonKim Landにおいては、香港系EXS Capital、日本系ACA Investment、クレディ・スイス・シンガポール支店を中心としたコンソーシアムによって1億2,100万ドル(約133億円)の追加資金調達が行われている。
SonKim Landは、2013年にEXS Capitalと提携して以来、「Metropole Thu Thiem」や「Serenity Sky Villas」「Gateway Thao Dien」等を手掛け、高級住宅開発の実績を順調に伸ばしているデベロッパーである。追加資金が行われたことによって、今後もベトナム全土において高級住宅や商業施設等のプロジェクトを積極的に勧めていきたいとしている。
ベトナムの物件への需要の高さは、低迷するIPO市場と厳しい不動産貸付環境の中、国内デベロッパーの海外投資家とのパートナーシップへの意欲が高まっていることにあると見られている。SonKim Land以外にも、NovalandやCapital Landなどホーチミン市で高級アパートメントを手掛けるデベロッパーは多く、今後も注目されるところである。
一方で、価格上昇に伴いバイヤーの需要鈍化も考えられ、高級住宅部門は低迷する可能性もあると懸念する声もある。実際に、高級住宅からヴィラやタウンハウスへと移行している投資家もいるという。
ベトナムは、東南アジアにおける製造および物流の拠点としての地位を確立してきた。加工・製造業部門においては、今年1~9月までに多くの海外直接投資を獲得しており、その額は180億ドル(約1兆9,720億円)に上るという。
またサプライチェーンを中国から撤退させ、東南アジアのさらにコストが安い国や地域へ移転させる動きも出てきており、ベトナムは米中貿易摩擦の恩恵を受けていると考えられる。
観光の面では、ベトナムへの旅行者は10.8%増加しており、中国、韓国、日本からの韓国客が多いという。
不動産価格の高騰は、一部のバイヤーを遠ざけてしまう可能性があるが、ホーチミン市の高級物件市場は、香港やシンガポールの市場と比較するとやはり手頃な安価であると言える。投資家は、より大局的な視点で捉えていく必要があるだろう。
【参照】Why overseas investors are moving into Vietnam's luxury apartment market
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