今年年明け頃から低迷の兆しを見せ始めていたニューヨーク・マンハッタンの不動産市場だが、第3四半期の売上高・価格はともに急落を見せた。特にタウンハウス(平屋もしくは2階建て、隣と壁を接する長屋タイプの集合住宅)の価格は、前年より30%以上下落している。

ニューヨーク市においては、100万ドル以上の高級物件を購入する際に、マンション税という独自の税金がかかる。このマンション税の増税が今回の下落の要因のひとつと見られている。それまで売買価格の1%とされていたマンション税は、今年7月より4.15%に引き上げられた。第2四半期には増税前の駆け込み購入が見られ、結果的に第3四半期の売上は下落した。

また、州・地方税(SALT:State and Local Taxes)の控除額に上限が設けられたことも大きい。これまで上限がなった所得税・不動産税の控除額が、新税制では上限1万ドルと定められ、高所得者が多く不え動産価値も高いニューヨークの納税者が打撃を受けることになった。

その他不安定な政治情勢や、大統領選を来年に控えるといったタイミングも影響し、タウンハウスの売れ行きは鈍化し、売り手側は値下げをしなければならない状況につながった。

ニューヨークの高級不動産市場は、2014~2015年頃ピークを迎えたが、その後も価格は維持されることが多く、結果的に買い手がつかない物件も増えていた。最近になり、ようやく価格が下げられる傾向が見られるようになったが、しかしこれは必ずしもタウンハウスの価格が底値に達したということではない。前述のマンション税の増税などの影響で、第2四半期は駆け込み需要で増えているため、第3四半期は実際よりも悪化して見えることを念頭に入れておくべきだ。

ニューヨークで不動産購入する際には、最新の市場動向に精通し、また業者同士の横のつながりがある仲介業者を見つけることが極めて重要になる。それから販売データや築年数、最後にリノベーションが行われた年など様々な情報収集を行うことが必要になる。

今、ニューヨークは買い手市場であることは間違いないが、売り手側(特に高級住宅部門)は物件を売ることに必死になっているわけではない。買収合戦は続いており、交渉に時間をかけすぎたり強気の交渉を続ければ、物件の購入は難しくなるであろう。

JOHN WANG / GETTY IMAGES

【参照】With New York townhouse prices down, now is a good time for buyers to re-enter the market

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セカイプロパティ編集部
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