ドイツ・ベルリン市政府は、家賃高騰への対応策として、賃貸住宅の家賃を5年間凍結する法案をまとめた。今回の行政による市場への大胆な介入については、欧米諸国からも注目が集まっている。

ドイツ国内の他都市については、ミュンヘンでは6年間の凍結を求める声も挙がっているが、その他は住宅の新規開発の妨げになるとして家賃凍結は見送る方針だという。

ベルリンは、首都であるにもかかわらず家賃や生活費などが安かったこともあり、国内外から多くの人が集まって独自の文化を作り上げてきた。しかし人口の急増や投資・投機資金の流入などで家賃は急騰し、ここ10年間で約2倍の値上がりとなった。

今回の対応で最も手痛い影響を受けたのは、ベルリン最大手の不動産企業「ドイチェ・ヴォーネン(Deutsche Wohnen)」である。今年6月の家賃凍結の発表以降、大きく売り上げを減らし、株価も下落した。

ベルリン以外にも、家賃の高騰や住宅不足に悩む都市は多く存在する。例えばスペインでは今年初めに家賃の引き上げに関する上限が定められており、ポルトガルでは借り手が低所得者の場合の家賃引き上げは認められていない。アイルランドでは、2016年に家賃引き上げは年4%までとする特別区が設置されている。

ベルリンについては、2019年6月18日時点にさかのぼって5年間家賃の引き上げが禁止され、オーナーが物価上昇率に応じた年1.3%の値上げができるのは2022年以降となる。また特定の条件下で、借り手側がオーナーに家賃の値下げを要求することも可能となる。

他の都市からは反発する声も挙がっている。ハンブルグ市長は、家賃高騰を抑えるためには需要を満たすペースで十分な供給を行うことだと話す。過剰なセールスや家賃凍結は、新しい物件への投資を思いとどまらせることにつながるという考えだ。市長の考えは、ベルリンやブランデンブルクの建設関係者の間で支持されているという。

Photo:gulf-times

【参照】Berlin freezes rents in key plan to tackle cost spiral

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セカイプロパティ編集部
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