インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は8月16日、過去最高となる2,528.8兆ルピア(約18.8兆円)の2020年国家予算案を提出した。予算案では5.3%のGDP成長を目標としているが、実際には5.0~5.2%程度にとどまるとみられている。
特に重点が置かれているのは、インフラ強化、人材育成、社会的保護、地方自治、世界的情勢不安対応の5つの分野である。
今回の予算案が提出される直前には、首都をジャカルタからカリマンタン島へ移転させる計画についても正式に発表されている。
不動産部門への予算配分は多くはないものの、インフラ開発の強化はジョコ政権にとってキーとなる政策目標の一つであり、結果的に投資家やデベロッパーにとって良い形につながることが期待されている。
ジャカルタにおいては、MRTやLRTなどの都市交通システムの開通に伴い、駅近くの土地の購入や新規プロジェクトを立ち上げるなど、すでにインフラ開発を活用している国内デベロッパーも多いという。
2019~2024年に完成予定の主なインフラ開発プロジェクトとしては、ジャワ縦貫高速道路やジャカルタ~バンドン間の高速鉄道、ジャカルタ~スラバヤ間の特急列車、西ジャワ州のパティンバン港、ジョクジャカルタの新空港等があり、これらの開発発表や進捗状況は常に注目されている。
また首都移転に関しては、今後10年で100万人を超える政府関係者がカリマンタン島へ移ることとなり、道路や鉄道、オフィス、住宅などの新しいインフラ整備が必要となる。この点に着目している投資家やデベロッパーも多く、今後投資活動が活発化していくことが考えられる。
首都移転後は、カリマンタン島が政治的・行政的中心地となるが、ジャカルタがインドネシアのビジネスや経済拠点であり続けることは間違いない。それゆえ、移転後にジャカルタの不動産市場が急落する可能性は低いとみられている。
また現在の政府所有の建物については、リースや売却される案が検討されている。多くは一等地にあり、再開発の価値もあり魅力的な物件ではあるが、その大部分は比較的古い物件であり、すでに供給過剰となっている不動産市場に参入するのは難しいと指摘する声も上がっている。
【参照】2020 budget focus on infrastructure to buoy real estate development
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