2019-08-25

深刻化するシアヌークビルの「中国化」

  • 海外不動産ニュース

投資や労働のため、カンボジアに移り住む外国人は年々増えている。

この状況を踏まえ、カンボジア政府は、タクシー運転手や露店商、理髪師、配達業などを含む10種の職業における外国人の自営業を禁止する方針を明らかにした。また民間企業において、外国人が人事や雇用を管理するポストに就くことも禁止されるという。

カンボジアを拠点とする外国人投資家は、長期間滞在ビザとして年間180ドル(約19,000円)、労働許可証(雇用ブック、雇用カード)代として年間130ドル(約14,000円)、従業員割り当てについて年間50ドル(約5,400円)を支払うことが法律で決められている。

現在のカンボジアにおける外国人の就労問題のほとんどは、中国に関連していると言っても過言ではないだろう。「中国化」という言葉は、現在シアヌークビルやその近隣に住むカンボジア人にとっては、誰もが知る言葉になっている。

今月初旬には、シアヌークビルにおける事業主の90%は中国人であるという驚きの調査結果が報告された。現在のシアヌークビルは、特にホテル、カジノ、レストランなどの分野における中国の投資拠点になっていると言えるだろう。この状況に危機感を募らせている関係者も多く、一つの国が投資の半分以上を占めるべきではないという考えが広がっている。

シアヌークビルの「中国化」は、シアヌークビルを訪れたカンボジア人も気づいているようだ。シアヌークビルではカンボジアらしさが失われつつあり、おそらく外国人が辞書をひいたのであろう、店の看板にも間違ったがクメール語が目立つという。

しかし悪い面ばかりではない。中国人が移住してきたことで、経済効果が生み出され、シアヌークビルの不動産や建設業は、予想を超える成長を見せている。

経済成長は人口に比例するとも言われており、人口が増えれば経済も比例して右肩上がりになるという。また多くの建設プロジェクトが立ち上げられ、現在も200件近いプロジェクトが進められている。その多くは中国人所有の建設物である。

著しい成長を見せるシアヌークビルだが、これらの開発はカンボジア人のためではなく中国人のためのものだという認識を持っているカンボジア人も多いという。

地価やテナント料は急上昇し、生活費も高くなり、シアヌークビルを後にするカンボジアの人々も少なくない。シアヌークビルに住むカンボジア人は、中国人に土地を売却もしくはリースし、一夜にしてお金持ちになったラッキーな人々だという。

言い換えれば、中国の人々はシアヌークビルの土地には大枚をはたくことを厭わないということになり、シアヌークビルの「中国化」に拍車がかかることになるだろう。

先月、シアヌークビルでは中国人所有の建設中のビルが崩壊し、現地の作業員が犠牲になる痛ましい事故が起こった。事故を受け、カンボジア政府は「中国化」に歯止めをかける、もしくは管理下に置くための対策を講じている。

【参照】Does Sihanoukville belong to China?

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セカイプロパティ編集部
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