シカゴはアメリカ中西部に位置するイリノイ州最大の都市であり、多様な文化と経済の中心地として知られています。近年不動産市場も注目を集めており、投資を検討する方も増えています。本記事ではシカゴの不動産投資について、メリットやデメリット、購入の流れ、おすすめの投資エリアをご紹介します。

シカゴの概要

シカゴはアメリカ合衆国イリノイ州に位置し、ニューヨーク、ロサンゼルスに次いで全米第3位の人口を誇る大都市です。アメリカの五大湖の一つ、ミシガン湖の西岸に広がるこの都市は19世紀後半の急速な都市化と産業発展を経て、アメリカの経済と文化の中心地としての地位を築いてきました。世界的に有名なマクドナルドの第1号店もシカゴ近郊にあります。

ミシガン湖に接する北東部は湖からの風が強く、「ウィンディ・シティ(Windy City)」の愛称でも知られています。また、シカゴは多様な民族・文化が共存する国際都市として発展を続けています。

経済面では金融・保険・医療・製造・ITなど多様な産業が集積しており、全米でも有数のビジネス拠点です。シカゴ・ボード・オプション取引所(CBOE)やシカゴ商品取引所(CME)など、世界的に重要な金融機関も立地しています。また、ユナイテッド航空やボーイング社の本社が所在するなど航空産業や輸送業も盛んです。

教育・文化面では、シカゴ大学やノースウェスタン大学といった名門校があり、芸術・建築・音楽の分野でも世界的な評価を受けています。シカゴ交響楽団やシカゴ美術館、またミレニアム・パークなどの文化施設が集まり、観光客や地元住民に親しまれています。

さらにオヘア国際空港をはじめとする交通インフラが充実しており、全米・世界各地へのアクセスが容易であることも大きな魅力です。また、シカゴは電車システムが発達しており、日本の都市部と似て電車で大学や仕事などに通う人が多く、便利な都市としても有名です。

多面的な発展が進むシカゴは安定した不動産市場の形成にもつながっており、国内外の投資家にとって注目度の高い都市となっています。

 

項目概要
人口約266万人
言語英語
宗教キリスト教が多数派
主要産業金融、製造業、情報技術、医療、食品製造
為替1ドル = 142円(2025年4月時点)

 

シカゴ不動産投資のメリット

シカゴの不動産投資にはいくつものメリットがあります。今回はシカゴ不動産投資のメリットを3つご紹介します。

多様な経済基盤と主要産業の存在

シカゴは単一の産業に依存しない多様な経済構造を持つ点で、不動産投資における安定感が非常に高い都市といえます。金融業ではCMEグループやモーニングスターといった世界的な機関が本社を構え、製造業では食品加工、医療機器、自動車部品など幅広い分野が展開されています。また、情報技術やヘルスケア、物流業でも成長が著しく、2020年代に入りスタートアップ企業も急増しています。

このような産業の多様性により、景気後退時でも賃貸需要が大きく落ち込むリスクが相対的に小さく、不動産投資におけるリスク分散の観点でも優位性があります。特にダウンタウン周辺や近郊の商業エリアでは、企業活動に伴う定住者や短期滞在者の住宅ニーズが継続的に発生しており、投資対象として魅力が高まっています。

手頃な不動産価格と安定した賃貸需要

ニューヨークやサンフランシスコなどの大都市に比べ、シカゴの不動産価格は比較的リーズナブルです。Zillowのデータによれば、2025年の平均住宅価格は約297,772ドルで、全米平均を若干下回る水準にあります。価格が安定しており、過度なバブル的上昇がないため、中長期的な資産形成を目指す投資家にとってはリスク管理がしやすい環境です。

また、全米有数の学生数を誇る都市であることや、若年層の就職希望地として人気があることから、単身者や共働き夫婦を対象とした賃貸需要が強く、空室リスクも低い傾向にあります。さらに企業の地方進出やリモートワークの普及により、シカゴ郊外においても住宅需要が徐々に高まっている点も注目すべきです。

インフラ整備と再開発の進行

シカゴ市は近年、老朽化した都市インフラの再整備と、都心部再開発に力を入れています。特にダウンタウンではオフィスビルの住宅転用プロジェクトが複数進行しており、2024年以降には1,000戸超の新規住戸が供給される見通しです。これにより居住環境の整備と同時に人口回帰の動きも強まっており、不動産価値の底上げが期待されています。

また、公共交通機関(CTA)のアップグレードや、ミレニアム・パーク、レイクフロント周辺の都市公園整備によって生活利便性や景観価値も向上しています。こうした都市のインフラ的魅力は将来的な物件価格の上昇に寄与するだけでなく、長期保有による安定的な収益をもたらす可能性が高いといえるでしょう。

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シカゴ不動産投資のデメリット・リスク

シカゴ不動産投資のメリットを先にご紹介しましたが、デメリットやリスクがあることも事実です。以下に解説する3つのマイナス面に気をつけて不動産投資を検討することをおすすめします。

高い固定資産税と経済的変動

シカゴが位置するイリノイ州はアメリカ全州の中でも特に固定資産税が高いことで知られています。SmartAssetによると、州全体の平均固定資産税率は2.27%(全米平均は約1.1%)と、投資家にとってはランニングコストが大きな負担となる可能性があります。特に投資物件を長期保有する場合にはこの税負担が収益性を圧迫する要因となります。

また、シカゴの経済は多様であるものの、全米経済やグローバルな景気動向に左右されやすい大都市であるため、景気後退時には企業の撤退や雇用減によって一時的に賃貸需要が落ち込むリスクも存在します。これにより、賃料の下落や空室期間の長期化といった投資リスクが顕在化する場合もあります。

犯罪率と治安の問題

シカゴは一部地域で全米平均を上回る犯罪発生率が続いており、治安に関する課題が指摘されています。特にサウスサイドやウェストサイドの一部では暴力事件の発生件数が高く、不動産投資においては慎重なエリア選定が必要です。ただし2025年に入ってからは市全体の殺人事件が前年同期比で約15%減少しており、警察と市民団体による治安改善の取り組みが一定の成果を上げつつあります。

また、治安の良いエリアと悪いエリアが隣接していることも多く、地域情報に精通していない投資家にとってはリスク評価が難しい点があります。現地視察や信頼できる不動産会社のサポートが不可欠です。

気候に関連するコストと市場の競争

シカゴは五大湖沿岸に位置するため、冬の寒さが非常に厳しい都市としても知られています。降雪量も多く、冬季には暖房費や除雪作業などに関わる運用コストがかさみやすくなります。これらの要因は物件の管理費用やリフォームコストの増加に直結するため、予算計画には十分な余裕が求められます。

また、シカゴの不動産市場は全米の中でも競争が激しく、特に好立地のエリアでは物件価格が年々上昇しており、利回りの確保が難しくなるケースも見られます。競争率の高い市場では購入タイミングや価格交渉力が収益性を大きく左右するため、迅速な意思決定と正確な市場分析が重要です。

 

シカゴのおすすめ投資エリア3選

シカゴといっても、様々な特色のエリアが点在しています。今回はシカゴでおすすめの不動産投資エリアを3つピックアップしてご紹介します。

1. リンカーンパーク

リンカーンパークはシカゴの北部に位置する高級住宅地であり、自然豊かな環境と都市的利便性を兼ね備えたバランスの良いエリアです。美しい湖畔や大規模な公園「リンカーンパーク」は散歩道や動物園、博物館などが整備され、住民の生活環境として非常に人気があります。また、レストランやブティック、カフェなどの店舗も充実しており、生活の利便性も高いのが特徴です。

住宅価格は高めではあるものの安定した資産価値を保っています。ファミリー層や富裕層の入居が多いことから空室リスクが低く、長期的な投資先として適しています。物件の品質や街の景観にも統一感があり、転売時の需要も見込めます。

2. ウェストループ

シカゴは街の中心部をループと呼び、その西側に位置するエリアはウェストループと呼ばれています。ウェストループは、過去10年でシカゴで最も注目された再開発エリアの一つです。

元々工業地帯だったこの地域は、市の再開発計画などにより古い倉庫や倉庫が再利用されるようになり、アーティストたちが移住してきました。近年ではオフィス・住宅・商業施設が一体となった複合開発が進み、若年層やスタートアップ関係者、IT企業の進出によりトレンドの発信地として変貌を遂げています。

特に有名な「フルトンマーケット」周辺には高級レストランやアートギャラリー、シェアオフィスが密集しており、昼夜を問わず活気にあふれています。

賃料相場は高めながらもそれに見合う需要があり、投資物件のキャッシュフローは非常に良好です。リノベーション物件やコンドミニアムの供給も盛んで、比較的短期での投資回収が可能な点も魅力となっています。

3. ハイドパーク

ハイドパークはアイビーリーグの一つであるシカゴ大学を中心に発展した学術・文化エリアです。南部地域の中でも治安や景観が良好で、教育水準の高い住民層が多く集まっています。シカゴ大学は全米でもトップレベルの評価を持つ名門校であり、学生や研究者、教育関係者向けの住宅需要が常に安定しています。

また、近年では大学主導による街づくりの一環として再開発が進み、ショッピングセンターや住環境の整備も行われています。大学の影響により土地の価値が下がりにくく、安定した収益が見込めるため、長期投資に向いたエリアです。

街並みはゆったりとしていて美しく、ヨーロッパのような雰囲気があります。文化的にも魅力があり、黒人文化と学術文化が融合する独特の雰囲気を持ち合わせています。

 

まとめ

シカゴはアメリカ中西部における経済・文化・教育の中心都市であり、多様な産業構造と安定した賃貸需要を背景に不動産投資先として非常に高いポテンシャルを秘めています。特に手頃な物件価格と堅実な利回り、さらに進行中の都市再開発による資産価値の上昇が期待できる点は投資家にとって魅力的な条件といえるでしょう。

一方で固定資産税の高さや地域による治安格差といった課題も存在します。これらのリスクを適切に理解し、慎重にエリアを選定することが投資成功への鍵となります。とくにリンカーンパーク、ウェストループ、ハイドパークのような地域は将来性と安定性の両面から見ても非常に有望なエリアです。

都市の成長とともに不動産価値が上昇する傾向があるシカゴは、長期的視野に立った資産形成を目指す方にとって理想的な投資先といえるでしょう。今後も再開発やインフラ整備が継続する中で新たな投資チャンスが生まれることが期待されます。シカゴ不動産市場への参入を検討している方は、現地事情をよく理解した上でぜひ前向きに一歩を踏み出してみてください。

 

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