国内不動産投資の先行きに不透明感が出ている中、経済成長と人口増加に沸く海外のコンドミニアム投資に注目が集まっています。コンドミニアム投資は、国によっては安く購入できるほか、キャピタルゲインが狙えたり、節税対策になったりするメリットがあります。

しかし一方では、完成までに時間がかかったり、ローンを組むのが難しかったりと、日本の不動産とは異なるデメリットにも注意が必要です。

そこで、この記事では海外コンドミニアム投資の特徴からメリット・デメリットを詳しく説明するとともに、コンドミニアム投資で人気の4カ国をご紹介します。海外コンドミニアムの購入を検討している方は、お役立てください。

1 知っておきたい海外のコンドミニアムの特徴

海外のコンドミニアムとは、日本でいう分譲マンションのことを指します。部屋ごとに区分所有権が設定されていますが、廊下やエレベーターなどの設備は共同で管理・所有する建物になります。

コンドミニアムは基本的に購入者が住むこともできますが、マンション投資のような賃貸も可能です。また、海外のコンドミニアムは所有権の取得はできますが、東南アジアのほとんどの国では土地の所有権は取得できません。そのため、東南アジアでコンドミニアムを購入する場合は、土地の持分がない形で所有権を持つことになります。

1-1 購入方法は国によって違う

基本的に海外のコンドミニアムは非居住者の外国人でも購入することができます。例えばアメリカのコンドミニアムは中古物件の流通量がとても多いため、外国人も投資用の中古物件をよく購入しています。一方、東南アジアは不動産の中古市場が十分に整備されていません。そのため投資用としてコンドミニアムを購入する場合は新築を検討するケースが多くなります。

また新築のコンドミニアムは、建設前あるいは建設途中で購入する「プレビルド投資」も人気です。プレビルド物件は、デベロッパーが竣工後に売り出す価格よりも安く購入できるのが特徴です。支払いは完成後に一括で払うのではなく、分割で払っていきます。そのため、コンドミニアムの所有権は完成後に移転することになります。

1-2 コンドミニアムを賃貸運営する際の注意点

海外のコンドミニアムは賃貸運用も可能です。たとえばハワイや東南アジアのリゾート地であれば、観光客に貸し出してインカムゲイン(=家賃収入)を得ることができます。あるいは現地で駐在員として働く外国人などに居住用として貸し出すこともできます。この場合は通常通り契約期間を定めた賃貸契約を交わし、契約期間を更新する形で住んでもらうことになります。

ただし、国によってはアメリカのように投資用としての貸し出しを制限するレンタルキャップ(すでにレンタルキャップの制限数に達しているコンドミニアムを購入した場合、賃貸ができないこと)という概念や、ハワイのように短期レンタルが禁止されているエリアがあるため、注意しましょう。

海外でコンドミニアムを賃貸運用する際は、現地の不動産事情に詳しいエージェントや不動産会社に事前確認するなど、ルールや法規制についてよく調べておくことが大切です。

2 海外コンドミニアム投資のメリット

海外コンドミニアム投資の主なメリットとして、「キャピタルゲイン」「低価格で購入可能」「節税対策」などが挙げられます。

2-1 キャピタルゲインが狙える

日本のマンション投資では、多くの場合インカムゲインが収益確保のメインとなります。一方、主に東南アジアのコンドミニアムの場合では、物件売却による値上がり益であるキャピタルゲインをメインに狙うことができます。

東南アジアにおける経済成長や人口増加が今後も続けば、不動産需要もますます高まることが予想されます。今は人口が少ないエリアでも、外資系企業の工場が移転してきたり、鉄道が開通したりすれば、住民が増え、付近一帯の不動産相場も上昇します。このように都市開発の発展が予想されるエリアの物件を早い段階から取得しておくと、大きなキャピタルゲインが期待できます。

特に完成前に購入するプレビルド物件であれば、安く購入できる分だけ利益も大きくなります。

2-2 東南アジアのコンドミニアムは安く購入できる

新興国のコンドミニアムは少ない資金で取得できる場合もあります。特に東南アジアは著しい経済成長を背景に不動産相場の上昇が続いていますが、それでも日本の都市部におけるマンションと比べれば、安く購入できます。

例えば、日本と東南アジアの都市部のエリアにおける住宅価格の平方メートルあたりの単価を以下のように比較すると、日本の港区で16,332ドル(約176万円)ですが、東南アジアはその半分以下の価格となります。(※カッコ内はデータ集計の年)。


住宅価格の平方メートルあたりの単価
タイ

5,266ドル

フィリピン

3,952ドル

マレーシア

3,441ドル

カンボジア

2,913ドル

インドネシア

2,595ドル

ベトナム

2,280ドル

日本

16,322ドル

(出典:Global property Guide

2-3 節税対策になる

日本と比べてアメリカのコンドミニアムは、節税対策になることで人気があります。アメリカでは、築年数の経過によって建物評価が下がりにくく、かつ土地に対する建物価格の比率が高いという特徴があります。

そのため、減価償却費(時間が経つごとに減少していく資産の価値について、その資産の取得費を残存耐用年数で按分し計上する費用のこと)を多く計上することができるので、所得税の圧縮効果が期待できます。

3 海外コンドミニアム投資のデメリット

コンドミニアム投資のデメリットには、おもに「ローン」「完成リスク」「賃貸管理の難しさ」などが挙げられます。

3-1 ローンを組むのが難しい

日本国内の不動産であれば、事業用のローンを組む時に物件の収益性を担保として融資を受けることができます。しかし海外不動産を担保に融資をする日本国内の金融機関はほとんどありません。日本政策金融公庫や一部の国内銀行で融資を受けられる場合もありますが、担保として国内不動産を所有していたり、事業の延長として海外進出したりする場合に限るなど、借り入れ条件は厳しくなります。

また、現地銀行から融資を受ける場合でも、現地に居住し現地で収入を得ていることを条件にする国があります。このような条件は東南アジアもアメリカも同じなので、海外のコンドミニアムを購入する場合は、基本的に現金を用意することになるのがデメリットと言えます。

3-2 物件完成に時間がかかる

東南アジアのコンドミニアムでは、建設が予定通りに進まず、完成までに時間をかなり要する場合があります。売買契約書にも完成時期は大体の目安で記載されるため、正確に予測することはできません。

東南アジアの経済は人口増加とインフラ整備などを背景に拡大を続けています。しかし世界中の投資マネーが投じられていることや、先進国への輸出も経済成長の柱となっていることから、世界経済の影響を受けやすいという側面もあります。

そのため、コンドミニアムを購入してから数年の間に世界経済が失速すれば、購入した国の不動産市場も影響を受ける可能性があります。場合によっては、当初見込んでいた値上がりが見込めないということもあるでしょう。また、コンドミニアムの開発を担当するデベロッパーが資金不足に陥ると、そもそも物件が完成しないというリスクもあります。

海外のコンドミニアムを選ぶ際は、デベロッパーの信用や実績に関する調査も重要です。

3-3 賃貸管理が難しい

先進国の不動産市場は成熟しているため、投資用不動産の賃貸管理を任せられる会社は多くあります。しかしコンドミニアム開発が急速に進む東南アジアでは、賃貸管理に関する市場は十分に整っていません。

デベロッパーがコンドミニアムの賃貸管理をすることもありますが、入居者募集などのノウハウをどの程度蓄積しているのかは不明です。そのため、現地法人がある日本の管理会社などにコンドミニアムの賃貸管理を任せることになりますが、現地法人といえども日本の管理会社のように迅速に対応してくれない場合もあります。

このように海外のコンドミニアム投資では、賃貸管理を任せる会社選びを慎重に行うことが大切になります。

4 コンドミニアム投資で注目の4カ国

コンドミニアム投資のメリットとデメリットを踏まえて、今注目の国4カ国をご紹介しておきます。

4-1 経済成長が続くカンボジア

Global Property Guideによれば、首都プノンペンにおける高級コンドミニアムの1㎡当たりの単価は、2019年第2四半期で前年比1.3%上昇しています。プノンペン市内中心部におけるアパートメントの購入金額は349,500米ドル(参考値)、月額賃料は1,553ドルで、表面利回りは5.33%となっています(120平方メートル)。

カンボジアの経済成長は好調で、過去6年間の平均年間成長率は7.2%、2018年は約7.3%となります。これからカンボジアでコンドミニアム投資を検討する場合、キャピタルゲインに期待が持てる要素が揃っていると言えます。

4-2 価格の安さと利回りが良いマレーシア

日本人の移住先としても人気のマレーシアは、2018年1月1日に100万リンギット(2019年9月のレートでおよそ2,550万円)を超える資産の印紙税が3%から4%に引き上げられました。その影響で不動産市場への投資マネー流入が減少していますが、それでも不動産相場は上昇を続けており、マレーシア当局JPPHによると、2018年の全国住宅価格指数は前年比3.31%上昇しました。

首都クアラルンプールのコンドミニアム価格は平方メートルあたり1,800~2,000ドルで、賃貸利回りは2.3%~5.4%です(Global Property Guideより)。人気のエリアにありながら価格は安く、賃貸利回りは高いのがマレーシアのコンドミニアムの特徴と言えるでしょう。

4-3 堅調に価格上昇するタイ

タイ中央銀行が政策金利を4年ぶりに引き下げたことや、米中貿易戦争が影響したことで、タイ経済は鈍化が懸念されています。実際、コンドミニアム価格は昨年の6.3%上昇と比べると、2019年の第1四半期までの上昇率は1%に止まりました。

しかし、首都バンコクではコンドミニアム供給数は減少しているものの、市民の所得が増えていることで住宅需要は変わらずに強く、不動産価格は今後も堅調に推移することが予測されます。ただし、一部地域ではコンドミニアムの供給過剰となっていることもあり、投機的な動きを抑制するため、中央銀行は住宅ローンの融資基準を厳格化しています(JETROより)。

このようにタイのコンドミニアムを検討する場合は、不動産に関する政策方針にも気を配る必要があるでしょう。

4-4 主要都市で住宅価格の上昇が続くアメリカ

住宅価格の上昇が続いたアメリカも、ここ最近は伸びが鈍化しています。しかし主要都市では依然として住宅価格の上昇が続いており、2018年11月までの年間上昇率が高い都市は次の通りです。

ラスベガス

12.07%

フェニックス

8.1%

シアトル

6.33%

デンバー

6.22%

アトランタ

6.2%

ミネアポリス

5.77%

デトロイト

5.75%

タンパ

5.68%

サンフランシスコ

5.6%

ボストン

5.59%

(参考:Global Property Guide

前述したように、アメリカのコンドミニアムは節税対策にも役立ちますが、エリアを絞ることでキャピタルゲインも狙えます。ただし、現在も続く米中貿易戦争によって、FRBは「経済は減速する」との見方をしているので、アメリカ経済の動向についても注視する必要があるでしょう。

5 まとめ

海外のコンドミニアム投資は経済成長を背景に大きな収益が見込める一方で、世界経済の影響を受けやすい東南アジアなどには注意も必要です。また、経済動向や現地の外国人規制についてもこまめにチェックし、賃貸管理では日本とは異なる商習慣を把握することが大事になるでしょう。

なお、海外のコンドミニアム投資について調べる際は、セミナーに参加すると詳しい現地情報を入手できる場合もありますので、効率的に情報収集をしたい方は、検討してみてください。

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