ハワイは観光地としても日本人に人気があるため、海外不動産投資をするならハワイの物件を購入したいと考える人もいるのではないでしょうか。

ハワイは比較的リスクの少ないマーケットを持っているのが特徴的です。しかし、物件購入前に基本的な確認を怠ると、空室や修繕などに関する失敗をすることもあります。

あらかじめ物件の立地などを見極めることは、ハワイ不動産投資においても重要です。ハワイ不動産投資の注意点やリスクに加え、リスクヘッジの方法について解説します。

あらかじめ注意すべきハワイ不動産投資のポイント

ハワイの不動産市場は良くも悪くも明確な特徴を持っています。物件探しを始める前に把握するべきハワイ不動産市場の特徴について解説します。

利回りは比較的低い

ハワイの不動産市場には、表面利回りで2%〜4%台という物件もめずらしくありません。ハワイの不動産は、利回りを期待した不動産投資には向いていない点に要注意です。

ハワイは世界的な観光地なので、世界中から投資マネーが集まってきます。不動産市場においても、他のエリアと比較すると競争が激しい点が特徴的です。

このため、ハワイ不動産の価格は他のエリアの不動産よりも高くなっています。不動産投資における利回りの計算上、物件価格が高くなると利回りは低くなります。

物件価格が高い

ハワイ不動産は他のエリアのアメリカ不動産と比較しても割高です。エリアごとの不動産価格は以下グラフのようになっています。

※参照:Redfin, a national real estate brokerage.

アメリカの不動産ポータルサイトであるRedfinによると、ハワイの不動産価格は、2021年2月時点で$632,000です。ハワイの不動産はカリフォルニア州よりは安いものの、テキサス州やオハイオ州などと比較すると大幅に高くなっています。ハワイの都心部であるワイキキでは、20㎡の築古スタジオタイプで$20万を超えることもめずらしくありません。

長期的には右肩上がりで推移しているため、ハワイ不動産はキャピタルゲインや資産性重視の投資には適しています。インカムゲインを狙った投資をしたい場合は、ハワイにこだわらず、他のエリアと比較しながら検討するのが賢明です。

多額の自己資金が必要になることも

ハワイ不動産投資では、数少ないながらも日本国内にも融資している金融機関が存在します。しかし、日本の金融機関でハワイ不動産投資ローンを利用する場合は、融資限度額が最大で物件評価額の50%です。ハワイ現地の金融機関でローンを利用できることもありますが、フルローンを利用できる見込みは非常に薄いと言えます。

なお、融資限度額は物件価格ではなく物件評価額に準拠している点にも要注意です。例えば日本国内の金融機関でローンを利用する場合は、金融機関はアメリカの鑑定会社に購入物件の鑑定を依頼します。物件価格が市場相場よりも乖離している場合は、鑑定価格の方が低いために融資比率が下がります。融資比率が下がった結果、ローンを利用できても多額の自己資金を求められる場合があるので要注意です。

バケーションレンタルには規制がある

ハワイは世界的な観光地なので、収益を上げるためには、バケーションレンタルと言われるホテル運用も有効です。しかし、2021年時点では条例により、ホテル運用が可能なエリアはワイキキの指定エリアに制限されています。

ハワイ不動産であればどこでもバケーションレンタルが可能なわけではありません。バケーションレンタルの可否については、物件購入前にエージェントへの確認が必要です。

ハワイ不動産投資のリスク

海外の不動産市場で比較すると、ハワイは比較的リスクの少ない市場を持っています。しかし、全くリスクがないわけではありません。

空室リスク

日本人がハワイ不動産投資で物件を購入するのであれば、オアフ島の物件が第一候補となります。しかし、オアフ島はエリアによって交通利便性が大きく異なる点に要注意です。交通利便性が高いのは海岸に近い方のエリアで、北の山に近い方のエリアでは車がないと生活には不便と言えます。交通利便性が低いエリアでは、空室リスクが高くなる点に要注意です。車を持っていない人の主な交通手段はバスですが、バス停から遠いエリアは入居者に敬遠されます。

オアフ島で投資物件を選ぶときは、なるべくバス停に近いエリアを選ぶのが重要です。また、交通利便性が低いエリアの物件は、投資の出口で売却するときにも苦戦します。結果的に売却価格を下げざるを得なかったというケースもめずらしくありません。なお、オアフ島では「ホノルル・レール・トランジット」という鉄道が開通する予定です。

しかし、開通時期は延期を重ねており、計画された全線が開通する予定が2031年まであと送りされたとの報道も出ています。当初は部分的に早期開通する予定となっていましたが、2021年3月の時点では、最初の路線開通は2022年の予定です。

不動産会社に関するリスク

ハワイは日本との時差が大きいため、現地不動産会社とのコミュニケーションには注意を要します。また、アメリカ人のエージェントは日本語でのコミュニケーションができない場合も多いものです。不動産会社とのコミュニケーションに関するリスクは、物件を購入するとき以外に、賃貸管理を委託するときにも影響します。

賃貸管理会社とのコミュニケーションは、より確実に入居者を入れるためには重要なポイントです。ハワイ不動産投資では、物件購入時および購入後の管理にあたり、日系の不動産会社を利用するのがポイントになります。

税金と為替に関するリスク

ハワイでは物価が高いため、他の州と比較すると税金も高めです。固定資産税など一般的な税金に加え、VATと呼ばれる付加価値税もかかります。税金の種類と税率については、物件購入の前にエージェントへ詳細を確認するのが重要です。また、物件売却時には売却益に対して譲渡所得税が課税される点にも注意を要します。日本とアメリカは租税条約を締結しているため、二重に課税されることはありません。ただし、結果的に税額が高い方の税金を支払うことになります。

ハワイ不動産を売却すると、売却の取引はドル建てで行いますが、税金はドルを円に換算してから計算します。このため、購入時よりも円安が進んでいるときに物件を売却すると、売却益が膨らんで税金も高くなる点に要注意です。物件の売却を検討するときには、購入した時と為替を比較しながら売却時期を見極める必要があります。

自然災害のリスク

日本ではあまり頻繁に報道されませんが、ハワイは度々ハリケーンの被害に遭っています。ハワイ不動産投資では水害や風害などの対策が必要です。

また、ハリケーンの他に火山の噴火や噴火に伴う地震にも注意を要します。ハワイのコンドミニアム投資では築古物件を購入するケースも多いものです。建物はそれほど心配ないとしても、排水管などの設備は劣化していることもあります。

ハワイ不動産投資でリスクヘッジする方法

ハワイの不動産投資であらかじめ講じておくべきリスクヘッジについて解説します。重要なのは、物件の立地・不動産会社・損害保険に関するポイントです。

交通利便性の高いエリアで物件を選ぶ

ハワイに住む人の主な交通手段は車なので、車の交通利便性が高いエリアで物件を選ぶことが重要です。都心部のコンドミニアムを購入する場合は、バス停が近くにあるかなど確認を要します。

また、住宅街の戸建住宅などを選ぶ場合は、エージェントに入居者の特徴を聞きながら、車庫がある物件も検討するのが重要です。

日本人のエージェントを選ぶ

ハワイ不動産投資で不動産会社に関するリスクを下げるためには、日本人のエージェントを選ぶのも1つの方法です。ハワイには日本人も多く住んでおり、現地で不動産業を営む日本人もたくさんいます。webで検索すれば複数の不動産会社がヒットするため、問い合わせのレスポンスなどを比較しながら不動産会社を絞り込むと有効です。

なお、不動産会社を比較するときには、取り扱ってきた取引の件数や得意なエリアなど、実績に重点を置いてヒアリングすると、精度の高い比較が可能になります。

物件購入・売却時には為替の確認を

為替差損や税金の上昇リスクを避けるためには、なるべく物件購入時と為替が似通っているタイミングで物件を売却するのが有効です。なお、ハワイの不動産市場には世界中の投資家が注目しているため、投資家目線で見て「良い物件」はすぐに売れてしまいます。

物件購入時には、複数の物件を比較したらなるべく即決できるように、あらかじめ重視するポイントの優先順位をつけておくと、競争に負けない確率を上げられます。また、為替が良いときに即決すれば、後の為替リスク軽減も可能です。

火災保険の内容を精査する

ハワイ不動産を購入するときには、大半の場合はエージェントから火災保険の提案を受けることになります。保険会社は基本的にアメリカの会社なので、約款等は英語で書かれています。英語の専門文書を読解するのは手間がかかるものですが、可能な限り保険をエージェント任せにしない方が安全です。

最低限でも、保障の内容や保障額については把握することがリスクヘッジにつながります。保障額などが十分でないと判断したときには、エージェントを介して保険会社との交渉の必要です。

まとめ

ハワイの不動産市場は、例えば新興国などの不動産市場と比較すると安定性が高い点がメリットと言えます。

しかし、ハワイのコンドミニアムにもリスクがないわけではありません。立地の確認など基本的なことを怠ると、空室リスクや不動産会社に関するトラブルに遭ってしまいます。ハワイ不動産投資でリスクを下げるためには、投資家が主体性を持って物件や保険を選ぶことと、なるべく日本人エージェントのサポートを受けることなどが有効です。

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